ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1028話 準備が進んでいく

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「私たちの方からだけど、耐久度を無視すれば全部木工でもイケるだろうけど、やっぱり糸がくぐりぬける所って言えばいいのかな? 縦糸をたくさん並べる時に使う部分は、やっぱり金属がいいのよね耐久性も消耗品として取り換えるのもね」

「って事は、まず必要なのは、金属の加工できる人だよね。できればドワーフの優秀な人がいいんだけど、そういう人って武器関係に力を注いでるから、俺たちの作りたいような変わり物を作成してくれるドワーフの人材って、なかなかいないんだよね」

 人集めを考えた時にいきなり躓いた。木工であれば、俺もスキルを上げているので時間をかければ何とかなるが、金属の細かい加工はスキルだけじゃなくて、経験も才能も必要になってくるからな。

 金属の細工は、彫金等のスキルも関わってくるため、複数のスキルが関わってくるため一概にスキルだけでは作成が困難なのである。

 ドワーフは、鍛冶に限らず大工や木工など、一通り物作りをかじるが基本的には1つに絞りそれに打ち込む傾向が強いのだ。その点、老ドワーフたちは打ち込みすぎて飽きたとは言わないが、弟子を育てる以外は酒に目が向いてしまったらしい。

「変わり者のドワーフとかいないものかね?」

「とりあえず、リンドさんに聞いてみたら? ドワーフの街のヴローツマインの職人長だったんでしょ?」

「それもそうか。リンドに聞いていなかったら、ゼニスに頼んで良さそうな人を仲間に引き込もうか」

「後は、紡績関係。服飾じゃなくて、生地作りに長けている人も引き込んでおきたいわね。今まで手織りしていたとはいえ、生地の善し悪しを私たちが判断なんてできないしね」

「生地関係なら、商会の工房から引っ張ってこれそうだから、ゼニスに頼もう。もしダメでも生地作りをしている人は多いから、作る人だけ雇って検品を商会に任せるとかでもいいかな?」

 とりあえず、早急に必要な人材のチョイスをしていく。

 とにかく初めから必要だと思われる人材は、やはり金属の加工に長けた人物がそれなりの数必要だという事になった。

「ひとまず今日はここまでにしようか。俺は帰ってリンドに話を聞いてみるよ。お前たちは、ここに残ってまだ建物をいじる気満々だな。バザール、DP渡しておくから工房以外の部分に使っていいぞ。生活空間用に使ってくれ」

 そうやってバザールにDPを譲渡して、自由に使っていいように伝えておく。

「……と言う事なんだけど、リンド、良さそうな人材ってドワーフにいないか?」

「そうね。変わり者のドワーフは、年を取ったドワーフに多いからね。ヴローツマインでお酒さえ準備すれば、ダース単位でドワーフが集まると思うわ。明日にでも行ってみたら?」

 人材確保が大変だと思ったら、金属関係は思ったより簡単に何とかなりそうだった。

 次の日、リンドの意見を参考にヴローツマインに行って、掛け合ってみると……43人ものドワーフが集まってきた。

 全員がディストピアで、弟子を鍛えている酒狂いの老ドワーフと同じ世代のドワーフらしい。同じ世代と言っても、歳の差は200歳位あるみたいだけどな。寿命が長いと一世代が人の寿命より長くなるんだな・・・

 その中で、12人をゴーストタウンの工房に招いた。残りの31人が騒いだので、ヴローツマインの長に確認を取って、ゴーストタウンに連れて行く事にした。この31人のドワーフたちの仕事は、自分たちの得意分野の弟子を育てる事を条件に、ブラウニーたちの料理と酒を提供する事になった。

 この31人に関しては、俺からの給料は無い。自分達の裁量で行ってもらう事になっている。と言っても、こいつらは今までに稼いできた金額が金額だけに、仕事をしなくても遊んで暮らせるだけのお金を持っているのだ。

 だけど、さすがに個人で工房を作らせるとこっちの管理が大変なので、工房に関しては俺たちの工房の近くに空き地があるので、DPでサクッと総合工房を準備しておいた。

 基本的には、雇ったドワーフに色々頼むつもりだが、連れてきた方のドワーフの弟子たちに、俺たちの工房で使う部品が作れるのかを検証してもらうような形になるかな? ちょうどいい検証材料を手に入れられたと思えばいいか?

 雇ったドワーフたちを工房に連れて帰ってきて初めに一言、

「工房に必要なものがよくわからないから、この街で買える工房で必要な物を買ってきてくれ。基本的には、金属で細かい部品を作ってもらう事になると思う。購入できない必要なものがあれば、作っていくのがこの工房のスタイルになるのでよろしく頼む」

 ブーイングも出たが、酒の量が減るかもしれないと言った瞬間に、嘘のように静かになって買い物へ行ってくれた。

「2人共、とりあえず金属加工の方は問題なさそうだ。いつから始められるか分からにけど、織機に必要な部品の形とかを紙に書き出すなりして、ドワーフたちに伝えられるようにしておいて」

 送り出したドワーフたちの2人が慌てて戻ってきた。

「シュウ殿、鉱石類はどうしたらいいんだ? それも全部自分たちで購入した方がいいのか? それともまとめてやってくれるのか?」

「できれば自分たちで使う分は、自分たちで購入してくれ。金ならあるから、品質のいい物を自分たちで選ぶのも、仕事だと思ってくれ」

「了解した。後、炉については、自分たちで作ってもいいだろうか?」

「おぉ~じっちゃんたちは炉まで作れるのか! それは助かる。自分たちの使いやすいように、あっちの工房に好きなように作ってくれ。スペースが足りないなら、拡張も考えているから遠慮なく言ってくれ」

 酒が絡むと、馬鹿にも優秀にもなるドワーフたちが頼もしく見えた。

「俺たちは俺たちで、必要になる物を発注するか。電動工具みたいな物も欲しいよな。魔導具で、高速回転を得られる物がないか探してみるか?」

 ドリルに関しては、細かい部分も削る事の出来る、歯医者の音の凶器みたいなああいうのも欲しいな。なんてことを考えていた。

 こうして俺たちが来た事によって、閑静な場所だった所に活気があふれていった。

 近くのおばちゃんたちには、パートタイムで工房の掃除などを請け負ってもらっている。注文が多く気難しいドワーフもいるので、給料は高めに設定してほしいと、ゼニスに言われたのでその通りにしている。

 後で聞いたら、給料はドワーフへの対応だけでなく、周辺の住人のおばちゃんたちを味方につけるための物でもあったらしい。
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