ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1064話 幸運スキル3セットのおかげ?

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 昨日はゲームに集中しすぎてえらい目にあった。楽しかったけど、それを塗り替えるようなブラウニーの怒り様は、本当に怖かった。危うく飯抜きにされるところだったぜ。

 自分で料理を作れるとは言え、ブラウニーに比べればかなり味が落ちる。たまにみんなで料理の過程を楽しんで食事を食べるなら分かるけど、美味しいものを食べられる状況で食べれないとか、拷問だからな!

 ふぅ……落ち着け俺! それだけは何とか回避したんだから、蒸し返さない方が俺の精神的に良いだろう。

 その代わりに、シルキーとブラウニーにミキサーのような物や、みじん切り器のような物を作ってほしいとお願いされてしまった。

 まぁ、綾乃がいないからする事がなくて、ちょうどいいっちゃちょうどいいんだけどな。

「バザール。何から手を付けるか?」

「ん~そうでござるな~。やっぱり構造が簡単な手動みじん切り器がいいのではないでござるか?」

「やっぱりそこからが無難かな? 確かにあれは、大まかに3つのパーツで作られてるから、分かりやすいもんな」

「そうでござるよ。だけどブラウニー殿は、今更なんで手動の物が欲しいと言ってきたでござるか? シュウ殿の家であれば電気を使いたい放題でござるし、最新の電化製品も召喚し放題でござるのに」

「あ~それは、自分たちで使うためじゃなくて、一般家庭にも普及させたいみたいなんだ」

 俺の家では最新家電がセットされているから、確かに不要なんだけど、料理教室をしている時にみじん切りに時間がかかって大変なのだそうだ。

 ディストピアは裕福なので、わざわざ魔物の食材でも固い部分は食べる必要はなくなっている。だけど、ゴーストタウンではそうはいかない。

 ディストピアの残りと言ったら言葉が悪いが、食べなかった部分を美味しく食べれるように調理するには、手間暇をかけないといけないのだ。一番簡単なのは、柔らかくなるまで煮込む事だが、作るのは簡単でも火の管理などを考えると大変なのである。

 そこで肉そのものを加工する、ミンチにして食べやすくして、ハンバーグなどにすれば硬い肉も、それなりに美味しく食べれるのだ。

 ただ、硬い魔物の肉をミンチにして売る、と言うのは商売にならないので、やるなら自分の家でやるしかないのだ。そのために手動みじん切り器があれば便利じゃないか? と言う事でお願いされたのだ。

「そうだったのでござるか。でも、そのみじん切り器に使う刃物の事を考えると、高くならないでござるか?」

 言われてみれば、単純に3枚の刃をつければ、包丁の3倍の値段か? 作り方にもよるけど、鍛造だと長持ちするだろうけど、値段は跳ね上がるよな?

 地球みたいに大量生産を出来る環境があれば別だけど、さてどうする?

「刃物の事は俺達が考えてもいい考えが浮かばないから、ドワーフに相談しに行くべ」

 隣の工房でなにやら忙しく手を動かしているドワーフの1人を捕まえて、今の状況を聞いた。とりあえず、普通の仕事をしているだけなので、話す分には何の問題も無いという事だった。

 簡単な経緯と、今から作る物を手書きして説明した。

「……と、まぁこんな感じで手動のみじん切り器の刃について相談しに来たんだけど、俺なりに切れる刃って量産は難しいよな?」

「ミンチマシーンなら、ヴローツマインで作っておるぞ? ブラウニーの店で出てる、ソーセージを自分たちで作りたくて、ドワーフが総力を挙げて作った物じゃ!」

 胸を張って言うがそれって、業務用とでもいうべきものだろ。どう考えても一家に一台っていうのは無理な代物だ。自分たちの味付けのソーセージが食いたいからって、ミンチマシーンを自力で作るとかさすがドワーフだな。

 ピリ辛にしたのが、ドワーフのおススメらしい。酒がすすむとか、呑兵衛執念恐るべし!

「それは、店で使うような奴だろ? 俺たちが作ろうとしてるのは、各家庭でも簡単にみじん切りに出来るものなんだよ」

「ミンチは、みじん切りの延長にあるような物じゃから、それがあれば家庭でもミンチを作りやすくなるって事かの?」

 ちょっと違う気はするけど、なんか納得してもらえたので突込みはなしだ。

「ちなみにどの位の刃を予定しているんじゃ?」

 大きさを説明して、刃の取り付ける部分の高さをずらしている事も説明する。

「ふむ、思った以上に小さい刃ですな。これなら、鍛造ではなく魔物の素材を使うのはどうじゃ?」

「魔物の素材?ドロップ品って事か?」

「そうじゃ。確かディストピアと交易が始まってから、魔物の素材で持ち込まれたものがあったのじゃが、切れ味はいいのじゃが、刃の部分がナイフに使うには短くて、暇な爺共が暗器みたいなのを作って遊んでいたはずじゃ。それならほとんど加工しなくても、使えるのではないかの?」

 ちょうどいい素材がありそうで助かるんだけど、その素材を落とす魔物って何処にいるやつなんだ? 数を確保できないと普及させれないのだが……と思ったら、ゴーストタウンのダンジョンの中にいるそうだ。

 15~20センチメートル程の昆虫タイプの魔物らしい。聞いた印象だと、デカいクワガタか? その昆虫の攻撃に使う武器がドロップするのだが、使い道が無いので買取りもしていないらしく、ダンジョンに放置されているらしい。

 中には切れ味は良いので、拾って投げて使っている冒険者もいるらしい。

 基本的には放置されている物なので、冒険者見習いの食い扶持稼ぎにはちょうどいいんじゃないか? と言う話になり、思い立ったドワーフが冒険者ギルドに交渉しに行ってしまった。興味がある物に対しては、とにかく行動が素早いんだよな。普段からその位って無理か。

 素材になりそうなものがすぐに見つかって運がいい気がするけど、幸運3セットのおかげなのだろうか?

 ステータスの運って何に影響するか、よくわかんないんだよな。ゲームとかならクリティカル、必中攻撃になったりするんだろうけどな。この世界ではどういう風に作用するんだろうか?

 どうでもいいことを考えていたら、冒険者ギルドに交渉に行っていたドワーフが帰って来た。多分明日にでも、素材が手に入るらしい。
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