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第1065話 すんなり完成?
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ドワーフのおっちゃんが冒険者ギルドと交渉をした次の日の昼。
「いくら掃いて捨てるように放置されてる物とは言え、これはすごいな」
「いえいえ、ダンジョンに放置されている物を拾っただけなので、毎日この量と言うわけにはいかないですよ。今までのドロップ品でダンジョンに吸収されていない物を、初心者を使って拾ってきてもらっただけですからね」
冒険者ギルドの職員が、例のドロップ品を納品しに来てくれたのだが、その量が尋常じゃなかった。俺的には30~40個程あれば多いかな? と思ってたのだが、200個以上も納品されたのだ。
多い分にはいろんな実験ができるので、こちらとしては助かるのだが。
「値段は大丈夫だったんですか?」
ドワーフのおっちゃんが交渉した時に、ある程度のお金を渡してきているが、俺たちが考えていた値段を考えると50個も買えば足りなくなるのだが。
「それは大丈夫です。ゴーストタウンでは儲けさせていただいていますので、何の問題もありません。それに、今回の実験が上手くいけば継続で買取りをしていただけるという話でしたので、先行投資のような物です」
「いやいや、さすがに最初お話ししていた金額で、不足分をお支払いしますよ」
「いえいえ、これだけ多くの納品になったのはこちらの一方的な都合なので、もし心苦しいというのであれば、是非実験を成功させていただければと思います」
互いに不利益を受け持とうと押し問答になっている。が、冒険者ギルドがお金を受け取らないので、この戦況は不利だ。負け戦はする意味はない!
ってそんなこと考える必要なんてないんだけどな。冒険者ギルドの人にも期待されているので、上手く利用できるように頑張ろう!
冒険者ギルドの人は、にこにこして帰っていった。
「大丈夫でござるか?」
俺はバザールにそう質問されながら、納品されたドロップ品を見る。
「ん~見た感じ、刃のサイズにはあっていると思うけど」
15センチメートル位の昆虫型魔物から獲れるにしては、大きい刃のような物を見ながら考える。何と言うか、思ったより分厚いんだよな。俺たちが求めているのは薄い奴なんだけど、3~4倍厚いんだよね~
「ちょっと分厚いでござるな、そのまま使うでござるか?」
「物は試しで作ってみないと分からないから、サイズ分けしてそのまま使ってみようかな?」
俺達は不安になりながらも、作業を進めていく。
「って、どうやって刃を固定するか? この世界には小さいネジってないんだよな。万力みたいな物に使う大きいのはあるんだけどな、どうすっか?」
刃の部分はしっかりと固定しないといけないのだが、その固定方法が思いつかないのだ。しばらくにらめっこをしていると、バザールが何かを思いついたようだ。
何をするのか言わずに作業を始めたので、その様子を見守る事にした。
バザールが始めた事は、刃の付け根側に3つの小さな穴をドリルであけていた。それをドワーフが用意してくれている刃をつける中心の軸に付けようとしているのだ。
刃の位置は高さ違いで4つ程配置するみたいだな。一般家庭で使うならちょっと大きめかな? と思うサイズだけど、ドワーフの意見を取り入れて大きさを決めているので、これでいいのだろう。
もともとは、みじん切り器の予定だったのだが、ミンチも出来るようにとサイズを大きくしたのだ。容器に3分の2程肉を入れてミンチをすれば、4~5人分ほどのハンバーグの種になるミンチが出来る予定だ。
バザールは、ドワーフが用意してくれた軸に更に加工するようにお願いしていた。どうやら、軸に板状の突起を作ってそこに刃を固定するようだ。ネジがないのにどうやって付けるんだ?
30分位で作業が終わり、ドワーフが何やら不思議な小物を持ってきていた。小さなネジの様な見た目なのだが、螺旋状の突起が付いていない物だ。しかも軸になる中心の棒にパイプのように穴が開いていたのだ。
それを使ってみじん切り器の軸に刃を固定する様だ。ただきつくハメるだけじゃとれるけどどうすんだ?
そしたら、ラジオペンチのような物を取り出して、ドワーフの持ってきた小物を上下から挟みつぶしたのだ。そうすると小物の先が潰れて簡単には外れない状態になった。なるほど、ネジがないけど固定する方法はあるのか。そういえば、地球にいた頃にテレビであんなのを見た覚えがあるな。
「完成でござる! 一度試すでござる」
バザールの声を聴いて、残りのドワーフもみじん切り器を見に来た。そして、おっさんかおばさんか分からんけど、何で肉を持ってきてるんだ?
あ~、実験するためにはこの辺で使われてる、硬い肉で試さないといけないのか。分かるけど、その後ろから明らかにソーセージを作る道具を持ち込んでるやつは何だ? ミンチをハンバーグじゃ味気ない? おい、最後のお前、調味料までしっかり準備してたのか?
これはどうやっても止まらないやつだな。このサイズで、ソーセージを作る量のミンチを作るのは大変だぞ? って、ドワーフが全員ウォームアップを始めた。肩を回したりストレッチをしたり……
って、いつの間にバザールの考案した方法の、みじん切り器が5個も準備されていた。しかも、騒ぎを聞いて駆け付けたブラウニーが、ソーセージを作ると知って場を仕切り始めた。
これにはドワーフたちもかなわないようで、しっかりと指示に従って作業を始めた。それよりも、いつの間に作ったのか、ハンドルを回すタイプの蓋も準備していた。俺は紐を引っ張るタイプの物しか知らなかったのだ。
どうやら驚かせるのと同時に、どっちの方が使いやすいかの実験も兼ねていたようだ。
結果は、予想以上にしっかりと固定出来ていたので、実用になるとブラウニーから評価をもらえた。評価が高かったのは、紐タイプよりハンドルタイプの方が使いやすかった。
「いくら掃いて捨てるように放置されてる物とは言え、これはすごいな」
「いえいえ、ダンジョンに放置されている物を拾っただけなので、毎日この量と言うわけにはいかないですよ。今までのドロップ品でダンジョンに吸収されていない物を、初心者を使って拾ってきてもらっただけですからね」
冒険者ギルドの職員が、例のドロップ品を納品しに来てくれたのだが、その量が尋常じゃなかった。俺的には30~40個程あれば多いかな? と思ってたのだが、200個以上も納品されたのだ。
多い分にはいろんな実験ができるので、こちらとしては助かるのだが。
「値段は大丈夫だったんですか?」
ドワーフのおっちゃんが交渉した時に、ある程度のお金を渡してきているが、俺たちが考えていた値段を考えると50個も買えば足りなくなるのだが。
「それは大丈夫です。ゴーストタウンでは儲けさせていただいていますので、何の問題もありません。それに、今回の実験が上手くいけば継続で買取りをしていただけるという話でしたので、先行投資のような物です」
「いやいや、さすがに最初お話ししていた金額で、不足分をお支払いしますよ」
「いえいえ、これだけ多くの納品になったのはこちらの一方的な都合なので、もし心苦しいというのであれば、是非実験を成功させていただければと思います」
互いに不利益を受け持とうと押し問答になっている。が、冒険者ギルドがお金を受け取らないので、この戦況は不利だ。負け戦はする意味はない!
ってそんなこと考える必要なんてないんだけどな。冒険者ギルドの人にも期待されているので、上手く利用できるように頑張ろう!
冒険者ギルドの人は、にこにこして帰っていった。
「大丈夫でござるか?」
俺はバザールにそう質問されながら、納品されたドロップ品を見る。
「ん~見た感じ、刃のサイズにはあっていると思うけど」
15センチメートル位の昆虫型魔物から獲れるにしては、大きい刃のような物を見ながら考える。何と言うか、思ったより分厚いんだよな。俺たちが求めているのは薄い奴なんだけど、3~4倍厚いんだよね~
「ちょっと分厚いでござるな、そのまま使うでござるか?」
「物は試しで作ってみないと分からないから、サイズ分けしてそのまま使ってみようかな?」
俺達は不安になりながらも、作業を進めていく。
「って、どうやって刃を固定するか? この世界には小さいネジってないんだよな。万力みたいな物に使う大きいのはあるんだけどな、どうすっか?」
刃の部分はしっかりと固定しないといけないのだが、その固定方法が思いつかないのだ。しばらくにらめっこをしていると、バザールが何かを思いついたようだ。
何をするのか言わずに作業を始めたので、その様子を見守る事にした。
バザールが始めた事は、刃の付け根側に3つの小さな穴をドリルであけていた。それをドワーフが用意してくれている刃をつける中心の軸に付けようとしているのだ。
刃の位置は高さ違いで4つ程配置するみたいだな。一般家庭で使うならちょっと大きめかな? と思うサイズだけど、ドワーフの意見を取り入れて大きさを決めているので、これでいいのだろう。
もともとは、みじん切り器の予定だったのだが、ミンチも出来るようにとサイズを大きくしたのだ。容器に3分の2程肉を入れてミンチをすれば、4~5人分ほどのハンバーグの種になるミンチが出来る予定だ。
バザールは、ドワーフが用意してくれた軸に更に加工するようにお願いしていた。どうやら、軸に板状の突起を作ってそこに刃を固定するようだ。ネジがないのにどうやって付けるんだ?
30分位で作業が終わり、ドワーフが何やら不思議な小物を持ってきていた。小さなネジの様な見た目なのだが、螺旋状の突起が付いていない物だ。しかも軸になる中心の棒にパイプのように穴が開いていたのだ。
それを使ってみじん切り器の軸に刃を固定する様だ。ただきつくハメるだけじゃとれるけどどうすんだ?
そしたら、ラジオペンチのような物を取り出して、ドワーフの持ってきた小物を上下から挟みつぶしたのだ。そうすると小物の先が潰れて簡単には外れない状態になった。なるほど、ネジがないけど固定する方法はあるのか。そういえば、地球にいた頃にテレビであんなのを見た覚えがあるな。
「完成でござる! 一度試すでござる」
バザールの声を聴いて、残りのドワーフもみじん切り器を見に来た。そして、おっさんかおばさんか分からんけど、何で肉を持ってきてるんだ?
あ~、実験するためにはこの辺で使われてる、硬い肉で試さないといけないのか。分かるけど、その後ろから明らかにソーセージを作る道具を持ち込んでるやつは何だ? ミンチをハンバーグじゃ味気ない? おい、最後のお前、調味料までしっかり準備してたのか?
これはどうやっても止まらないやつだな。このサイズで、ソーセージを作る量のミンチを作るのは大変だぞ? って、ドワーフが全員ウォームアップを始めた。肩を回したりストレッチをしたり……
って、いつの間にバザールの考案した方法の、みじん切り器が5個も準備されていた。しかも、騒ぎを聞いて駆け付けたブラウニーが、ソーセージを作ると知って場を仕切り始めた。
これにはドワーフたちもかなわないようで、しっかりと指示に従って作業を始めた。それよりも、いつの間に作ったのか、ハンドルを回すタイプの蓋も準備していた。俺は紐を引っ張るタイプの物しか知らなかったのだ。
どうやら驚かせるのと同時に、どっちの方が使いやすいかの実験も兼ねていたようだ。
結果は、予想以上にしっかりと固定出来ていたので、実用になるとブラウニーから評価をもらえた。評価が高かったのは、紐タイプよりハンドルタイプの方が使いやすかった。
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