ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,094 / 2,518

第1094話 要検証

しおりを挟む
「やっと……抜けられた……」

 うんざりするほど泥まみれになった。マジで嫌になる。

「さっさと一番近くの部屋を掃除して風呂に入ろう」

 力なくそう言うと、妻たちは今までにないほど必死な様子で返事をした。これは、ドッペルたちの風呂が終わったら、生身の方も風呂に入らないと不快感が取れないかもな。

 近くの部屋にいた魔物、ゴーレムを瞬殺して、入浴できるようにコンテナを設置していく。

 俺は落ちた回数が少なかったので、妻たちを優先して風呂に入らせた。今さっきのゴーレムが湧いたとしても、1人で問題なく対処できるレベルの魔物だったので、1人で見張りをしている。

 これなら上の階の沼地の魔物の方がよっぽど厄介だったな。

 それにしてもアイアンゴーレムか。ここにきて鉄鉱石か。洞窟タイプだから、おそらくは壁からも掘る事ができるだろうな。でも、ここに来るまでの上5階分の沼地が厄介だな。

 食べ物さえどうにかなれば、この街ですべてが完結できそうだな。その食べ物を育てる畑を土木組が担当しているのだから、2~3年様子を見れば育ちやすい作物などの目途も経つだろう。そこから先が大変だろうけどな。

 さて、このダンジョンは部屋にいても魔物が湧くタイプか……俺のダンジョンと同じタイプだな。

 神のダンジョンは、1フロアタイプでなければ湧く事はほとんどない。その代わり徘徊タイプの魔物が結構な頻度で入ってくるから、善し悪しなんだけどね。

 それは良いとして、排除しないとな。

 壁や床から這い出るように出てくるアイアンゴーレムを見つめ、武器をかまえる。ゴーレムなので鈍器を使っている。相性の問題で、斧や鈍器が有効なのでチョイスした武器である。

 Lvは75付近、一般的な冒険者から見ればそこそこ強い相手だが、俺から見れば雑魚である。鈍器を一振りすれば2体が、二振りすれば2体がドロップ品に変わる。そうやって6体のアイアンゴーレムを処理した。

 ドロップした鉄鉱石を拾って、何か違和感があったので、まじまじと見てみる。

 鉄鉱石以外にも何かが含まれているのがわかった。何だろな? ちょっと鉄とは違う何かが光っているように見えるが、大した事は無いかな? 不純物がある事で金属が堅くなる事だってあるんだから、問題ないだろう。

 この世界では鉄鉱石の産出場所で多少違いがあるので、別々に保存しておくのが一般的である。その例にならって鉄鉱石を分かるように、違うケースにドロップした鉄鉱石を入れて収納の指輪にしまう。

 純鉄にしてしまうのであれば話は変わるけどね。

 初めに処理してから、およそ1時間くらいかな? コンテナの設置に20分位、お湯を張るのに20分位、こまごました事に10分で、みんなが風呂に行ってから10分経つか経たないか。

 ん? 思ったより湧くペースが速くないかな? 俺のダンジョンでも6~12時間くらいは湧く周期があるのに、このダンジョン1時間しか経ってないのにすでに湧いている。

 魔物の強さを考えると、こいつらを倒せる程度だけではダメな気がする。この頻度で沸くとなると、セーフエリアが無ければ、かなりきついことになる。

 1人で1部屋を制圧できる戦闘力とまではいわないが、1パーティー6~10人だったとして、2~3人で余裕をもって倒せる程度の戦闘力が無ければ、休憩をとる事すらできないだろう。上の階層の沼を突破できる事を考えれば、不可能ではないか?

 そんな事を考えていると、お風呂から上がって来た嫁の内年長組の皆が俺の近くへ来た。

「ご主人様。先にお風呂へ入れさせていただきありがとうございます。下の娘達は憑依を解いて、生身の方でシャワーを浴びています。私たちが残ってここにいますので、お風呂の方へどうぞ」

「了解。下の娘たちが戻ってきたら、お前たちも憑依を解く感じか?」

「そうですね。できればすぐに行きたかったのですが、さすがにご主人様がここに残ってくださっているのに、全員で生身に戻るわけにはいかないので、下の娘たちが戻ってからですね」

「了解。一応報告しておくと、1時間くらいで沸いてきたから、このダンジョンは湧きが早いかもしれない。注意してくれ」

「分かりました。では、私たちが見ておきますのでゆっくりお風呂へ入ってきてください」

 そう言われてお風呂へ向かう。妻たちが風呂に入っている間に魔法で綺麗にしてはいたが、やっぱりお風呂に入りたくなるくらいは精神的に体が汚れたので、ボディーソープで綺麗に洗い湯船につかった。

 俺一人の入浴シーン何て誰得なので省くが、あまりに長かったようで心配したピーチが入って来て、声掛けをしてくれたこと以外は特に何もなかった。

 年長組が生身でシャワーを浴びて戻ってきても、まだ出ていなかったので心配されたようだ。自分で思ってた以上に長く入っていたらしい。

 まだ夕食までは時間があるので、近くの部屋の湧き状況も確認しようという話になり、2人1組になってサクサクッと魔物を処理していく。

「まだどこも湧いてない?」

 夕食が終わり、しばらく経ってもまだ魔物が湧いてないようなのだ。近くの部屋に魔物を倒しに行く前に湧いてから、2時間程が経っているがまだどこの部屋にも湧いていないらしい。

 大体1時間1時間の間隔で湧いていたのに、2時間経った今もまだ湧いていない。まだ寝るまで時間があるから、のんびりと様子を見る事になった。

 湧いたのはそれから1時間後、前に倒した時から3時間経った時に全部の部屋で同時に魔物が湧いた。

 湧いた魔物、アイアンゴーレムを処理してから集まって話し合いを始めた。

 その結果、理由は分からないが湧くタイミングが、フロア毎に管理されているのではないか? という事になった。

 それを調べるために今日は、同じように魔物を倒す事にした。と言っても、休んだりしないといけないので、交代交代で担当する部屋を決めた。

 人造ゴーレムを持ってくるのを忘れたのが痛いな。スケルトンたちでも良かったんだけどな……DPで召喚した魔物でやると、対処に困るので今回は無しだしな。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...