ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,334 / 2,518

第1334話 家族サービスは大変

しおりを挟む
 あれから1週間、勇者たちはやっと俺の領から出て行った。

「結局、なんだったでござるかな? あれ以降、街を調べる事なく森や移動を繰り返して、遠くから行商人を見ていただけでござる」

「ユグちゃんの話を聞く限り、商隊の様子をみて運んでいる物の予測とかしかしてなかったって、本当に何を考えてたんだろうね」

「まぁ、出て行ったからどうでもいいんじゃね? 分からん事を考えるのは、時間の無駄でしょ? それより、今度からは、領地の中に入れるのもやめよう。今回の勇者みたいに嘘を言って入ってくる可能性があるからな。グリエルはどう思う?」

『そうですね。やはり街に近付けさせないよりは、領内にいれない方がいいですね。街で鍛えていたクロスボウの使い手を一時的に関所に送りましょう。そこで、関所の兵士を訓練してもらいましょう。ゴーレムも関所に回しましょう。予備で作ってもらった分を使えば、関所に回しても問題ないです』

 ゴーレムを予備で作っておいてよかったな。慌てて追加で作る必要は無かったから助かった。後でゆっくりと予備分を作ろう。3人で手分けをすれば、それほど時間もかかるまい。

 これ以上話す事も無かったので、今日の話し合いは終了した。

 いつも簡単に終われば楽なのにな。内容によっては、そういうわけにいかない事もわかるけど、長いと非効率で疲れるからな。

 父親から聞いた覚えがあるが、会社に無駄に会議を長くする人がいるようで辟易するとか言っていた。30分もあれば、十分終わる報告会を3時間とか行う上司がいるんだってさ。

 2時間半もあればいろんな事出来るのに、無駄な報告会や会議はいらんな。

 その上司も、同じ内容をネチネチと言うから無駄に時間がかかるんだとか。資料をまとめて、報告すればすぐに終わるって言っているのに、それをしない報告者も時間を無駄にし過ぎだな。

 父親主観の意見なので、何処まで鵜呑みにしていいのか分からないが、ネットにはそれに類似するような情報が実際にあったから、あながち間違いでもないとは思うけどね。

 っと話が逸れた、グリエルやガリア、ゼニスが優秀過ぎて忘れかけていた記憶がよみがえってしまったな。

 よし、する事がなくなったから娘たちと遊ぶか!

「シュウ、とりあえずゴーレムを作るわよ。予備がないといざって言う時に困るから、早めに作ってあげるべきね」

「そうでござるな。さっさと必要個数作って送るでござる」

「え? ちょっと! 俺、久々に娘たちと遊ぼうかと……」

「この前も砂場で遊んでたじゃない。あんまり遊んでばかりいると、仕事しないの? とか言われて心を砕かれるかもしれないわよ?」

「うっ……でも、最近あまり遊べてないからさ、娘たちと遊べなくて俺がさ」

「そんな事はどうでもいいでござるよ。早めにゴーレムを作るでござるよ! 痛い! 痛いでござる!」

 娘たちと遊ぶ事を、そんな事呼ばわりしたバザールをどついた。普通にどついてもダメージにならないので、無駄に聖拳をまとわしてから頭やあばらをどついている。

 俺の抵抗もむなしく、綾乃に引っ張られて工房に向かう事になった。綾乃を殴るわけにはいかないからな。

 3日目の昼頃にゴーレムを作り送り出した。

「よっしゃー! 終わった! これで娘たちと遊べる! 何をしようかな」

「ったく、シュウは何かあれば娘娘って、その内嫌われるわよ。パパウザいとか、パパ臭いってね。あまりべったりするのは良くないと思うわよ」

 パパウザい、パパ臭い、パパ嫌い……

「ちょっと! 何で私が言っただけでダメージ受けてんのよ! どんだけ耐性がないの? 確かにあんなに可愛い子たちから嫌われたと思うだけで、泣きそうになるかもしれないけど、私が言っただけでそんなにダメージを受けないでよ」

 だって娘たちに嫌いって言われたら、その場で倒れる自信があるぞ。

「ここは日本ではないでござるよ。よく覚えていないでござるが、父親が嫌いになる娘って、日本だけだったって話でござるよ。思春期の子どもたちは親を嫌いになる傾向があるでござるが、毛嫌いするような娘がいるのは日本だけだったと思うでござる」

「私もそれ聞いた覚えがあるわ。私は特に父親の事が嫌いと思った事はないから分からないけど、加齢臭が嫌だった覚えはあるわね。でも私に言わせたら、足が臭いって言うのと同じような意味ね。足が臭い=嫌いとはならないでしょ」

「そうかもしれないけどさ。もしもだぜ、娘たちが日本のアニメとかに影響されてそうなったらどうする?」

「そんなアニメあったでござるか?」

「少女アニメやマンガも読んでたけど、記憶にないわね」

「でござるか。あまり過剰に反応していると、本当に嫌われるかもしれないでござるから、ほどほどに可愛がるのがいいでござるよ」

 両手両膝をついてガックリしていたが、バザールたちに励まされて立ち直った。綾乃は恩着せがましく「励ましてあげたんだから、今度何か奢りなさいよ!」とか言っていた。

「……ん? ってか、綾乃が余計な事言わなければ、俺がこんな風にならなかったんじゃないか? お前が元凶なのに何故俺が奢らなきゃいけないんだよ! それに、よく家で飯食ってるじゃねえか! 地球の高級レストランのシェフに引けを取らない、ブラウニーたちが作ってる飯をな!」

 バレた! と言わんばかりの顔をして、走って逃げて行った。

 ったく、ささくれた心を娘たちに癒してもらおう。

「ご主人様、静かにしてください。みんな、おやつの前のお休み中ですよ」

 おうふ! よくよく考えたら、みんな昼寝の時間じゃないか! 寝ている姿もかわいいのだが、娘たちが起きてしまうと部屋を追い出されてしまった。

 妊娠している妻たちに捕まり、娘たちの寝顔を見る事もかなわなくなってしまった。

 でも、娘たちが可愛いとはいえ、妻たち……特に妊娠している3人を放っておくわけにもいかないので、ご機嫌取りではないが最近の様子を聞いて、すこしイチャイチャする。妊娠が分かってから、する事をしていないので、3人の妻の欲求が爆発しそうだったのだ。

 3人とイチャイチャしていたら、扉が急にバーーンと開かれ、ウルを先頭に4人の娘たちが入って来た。

「「「あっ! イチャイチャしてる!」」」

 といって、私も! 私も! と騒ぎだしてしまった娘たち3人。妊娠組3人は苦笑いをして、自分のいた場所を娘たちに譲ってくれた。ウルはミーシャたちみたいに俺にくっつくことはせず、俺の右に座ったスミレを挟んで反対側に座っている。

 今度は、しっかりと妻たちとの時間を作らないとな。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...