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第1380話 緊急事態
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俺はチビ神の要請通り質の悪いユニークスキルに目覚めた勇者と、その毒牙にかけられた人たちを始末して、ディストピアに戻ってからしばらくしたある日、俺はいつも通りに庁舎へ仕事へ向かった。
「今日はっと、それなりに報告書が上がってるみたいだな。ふむふむ、やっぱり時々外から来た冒険者に新人の若い冒険者が絡まれることが度々あるな。不当に絡むと奴隷落ちだって、街に入る前に説明しているのにな」
大体そういうバカなことをしているのは、Cランクで伸び悩んでいるアホ共っぽいんだけどな。自分の稼ぎが後輩たちに負けはじめて、今までいた街から逃げるように出て来た、落ちぶれた冒険者が多い気がするな。
でも、同期より実力があって天狗になっている奴らが、儲けられるっていう理由でゴーストタウンに来て出鼻を折られ、下のランクの冒険者にあたる奴らもいたっけ。
まっとうに生きてれば、それなりの生活ができるのに、冒険者は破滅願望でもあるのか?
しばらく考えて、その考えを破棄した。だって身を崩すのは冒険者だけじゃないもんな。ただ実力主義で喧嘩が強いってことで、問題になるから目に付くだけだな。
半分くらい報告書を読んだところで俺の執務室の窓ガラスが割れた。
俺は慌てて収納の腕輪から剣と盾を取り出し、部屋の中を見回す。何事かと思った隣の部屋にいたグリエルとガリアも、リビングアーマーを連れて部屋に入って来た。
俺の部屋に入ってきたモノは空を飛んでいた。白い……ってハク!?
「とーたん! ぴーちかーたんが! ぴーちかーたんが!」
ハクの上からミーシャが飛び降りてきて、俺の腕に収まるとそう言って涙を流しながら訴えてきた。
「っ!? ピーチに何かあったのか!? グリエル、急いで連絡をとってくれ。俺はミーシャをなだめるから」
泣きじゃくるミーシャを優しく撫でてやる。何で泣いているのかも訳も分からない状態だが、ピーチに何かあったのは間違いない。お腹にいる子供に危険はないだろうか? ピーチは大丈夫なのだろうか? 不安を抱えながらミーシャを落ち着かせる。
焦る気持ちはあるが、目の前で娘が泣いているのに慌てるわけにはいかない。
グリエル早く来てくれ! と考えていると、バンッと大きな音をたてて扉が開かれる。
「シュウ様、どうやらピーチ様が破水されたそうです。予定日より早いですが、お子様が生まれそうだとの事です。そして、ピーチ様が破水してすぐに近くにいたミーシャ様がいなくなってしまい、探していてこちらへの連絡が遅れてしまったみたいです」
ミーシャがいなくなって慌てたんだろうな。マップ先生でいる場所は分かるはずだけど、そんな考えができないくらいに慌てていたことがうかがえる。
多分、ピーチが破水してどうしていいか分からなかったミーシャが、近くにいたハクを捕まえて、俺のところに駆けつけてくれたってことかな?
「ピーチ様は初産で、まだ破水したばかりなので生まれないとは思いますが、今はピーチ様の近くにいてあげてください。しばらくは、本当に読んでいただきたい報告書だけメールさせていただきます。おそらくライラ様アリス様のお子様も生まれてくると思いますので」
そう言われて庁舎を追い出された俺は、泣き疲れて寝ていまったミーシャを抱いて馬車に乗り込み家に急ぐようにお願いした。
家に着くと一番心配していたであろうミリーが到着を待っていた。泣きつかれたミーシャをミリーにあずけて、ミリーの近くで待機していたブラウーに状況を聞いた。
ミーシャが泣きじゃくっているから何かあったのかと思ったが、特に何かがあったわけではなくどうしていいか分からなかったミーシャが、俺のところに突撃してきた、って感じで間違ってないようだ。
それを聞いてピーチには何もなかったことに安堵した。そうすると次の心配事が、他の娘たちは大丈夫だろうか?
「スミレ様もブルム様も、ウル様がなだめて落ち着かせています」
ウルがお姉ちゃんとして頑張ってくれたみたいだな。とにかく娘たちの下へ急いだ。
子ども部屋のベッドの上には、スミレとブルムの頭を撫でているウルがいた。2人の頭を撫でているが、不安に押しつぶされそうな表情をしていた。
俺はそれを見て確信した。ウルも不安でどうしていいか分からないのに、それを押し殺して妹たちのために動いていたのだと。
俺を見たウルは泣きそうな顔をしていた。
俺は駆け寄ってウルを抱き上げる。
「よく頑張ったね。妹たちの面倒を見てくれてありがと。ピーチは何ともないから大丈夫だよ」
そう伝えてあげると、我慢して必死に繋いでいた糸がプッツリと切れたように泣き始めた。ピーチが破水してミーシャがいなくなったとはいえ、他の子どもたちを従魔たちに任せていたのはよろしくない。せめて親のカエデとリンドは近くにいてほしかったな。
そう思っていたがその2人は、ミーシャがいなくなって混乱しているミリーをなだめたり、破水したピーチに付き添っていたため、子どもたちに手が届かなかったみたいだ。ミーシャが予想外の行動をとったために、全てがズレてしまった感じだな。
これからもこういうことがあるだろうから、誰かは絶対に近くにいてあげられるようにしないとな。
俺も予定日の2週間前くらいからは、家で仕事をすることにしよう。そんなことを考えながらウルの背中を撫でている。
「本当によく頑張ったね。ミーシャがいなくなって、ウルもどうしていいか分からなかったのにね。本当にありがと」
もう1度言葉にして感謝を伝える。
10分程泣いたら疲れて眠ってしまった。ミリーもミーシャをベッドに寝かせて、4人の様子を見てくれている。
「ミリー、しばらくここをお願いしていいかな? ピーチの様子を見て、部屋の準備をしてくるよ」
「わかったわ、シュウ君。ピーチや他のみんなのこともお願いね」
静かに娘たちの部屋を出て、ピーチの下へ急いだ。
「今日はっと、それなりに報告書が上がってるみたいだな。ふむふむ、やっぱり時々外から来た冒険者に新人の若い冒険者が絡まれることが度々あるな。不当に絡むと奴隷落ちだって、街に入る前に説明しているのにな」
大体そういうバカなことをしているのは、Cランクで伸び悩んでいるアホ共っぽいんだけどな。自分の稼ぎが後輩たちに負けはじめて、今までいた街から逃げるように出て来た、落ちぶれた冒険者が多い気がするな。
でも、同期より実力があって天狗になっている奴らが、儲けられるっていう理由でゴーストタウンに来て出鼻を折られ、下のランクの冒険者にあたる奴らもいたっけ。
まっとうに生きてれば、それなりの生活ができるのに、冒険者は破滅願望でもあるのか?
しばらく考えて、その考えを破棄した。だって身を崩すのは冒険者だけじゃないもんな。ただ実力主義で喧嘩が強いってことで、問題になるから目に付くだけだな。
半分くらい報告書を読んだところで俺の執務室の窓ガラスが割れた。
俺は慌てて収納の腕輪から剣と盾を取り出し、部屋の中を見回す。何事かと思った隣の部屋にいたグリエルとガリアも、リビングアーマーを連れて部屋に入って来た。
俺の部屋に入ってきたモノは空を飛んでいた。白い……ってハク!?
「とーたん! ぴーちかーたんが! ぴーちかーたんが!」
ハクの上からミーシャが飛び降りてきて、俺の腕に収まるとそう言って涙を流しながら訴えてきた。
「っ!? ピーチに何かあったのか!? グリエル、急いで連絡をとってくれ。俺はミーシャをなだめるから」
泣きじゃくるミーシャを優しく撫でてやる。何で泣いているのかも訳も分からない状態だが、ピーチに何かあったのは間違いない。お腹にいる子供に危険はないだろうか? ピーチは大丈夫なのだろうか? 不安を抱えながらミーシャを落ち着かせる。
焦る気持ちはあるが、目の前で娘が泣いているのに慌てるわけにはいかない。
グリエル早く来てくれ! と考えていると、バンッと大きな音をたてて扉が開かれる。
「シュウ様、どうやらピーチ様が破水されたそうです。予定日より早いですが、お子様が生まれそうだとの事です。そして、ピーチ様が破水してすぐに近くにいたミーシャ様がいなくなってしまい、探していてこちらへの連絡が遅れてしまったみたいです」
ミーシャがいなくなって慌てたんだろうな。マップ先生でいる場所は分かるはずだけど、そんな考えができないくらいに慌てていたことがうかがえる。
多分、ピーチが破水してどうしていいか分からなかったミーシャが、近くにいたハクを捕まえて、俺のところに駆けつけてくれたってことかな?
「ピーチ様は初産で、まだ破水したばかりなので生まれないとは思いますが、今はピーチ様の近くにいてあげてください。しばらくは、本当に読んでいただきたい報告書だけメールさせていただきます。おそらくライラ様アリス様のお子様も生まれてくると思いますので」
そう言われて庁舎を追い出された俺は、泣き疲れて寝ていまったミーシャを抱いて馬車に乗り込み家に急ぐようにお願いした。
家に着くと一番心配していたであろうミリーが到着を待っていた。泣きつかれたミーシャをミリーにあずけて、ミリーの近くで待機していたブラウーに状況を聞いた。
ミーシャが泣きじゃくっているから何かあったのかと思ったが、特に何かがあったわけではなくどうしていいか分からなかったミーシャが、俺のところに突撃してきた、って感じで間違ってないようだ。
それを聞いてピーチには何もなかったことに安堵した。そうすると次の心配事が、他の娘たちは大丈夫だろうか?
「スミレ様もブルム様も、ウル様がなだめて落ち着かせています」
ウルがお姉ちゃんとして頑張ってくれたみたいだな。とにかく娘たちの下へ急いだ。
子ども部屋のベッドの上には、スミレとブルムの頭を撫でているウルがいた。2人の頭を撫でているが、不安に押しつぶされそうな表情をしていた。
俺はそれを見て確信した。ウルも不安でどうしていいか分からないのに、それを押し殺して妹たちのために動いていたのだと。
俺を見たウルは泣きそうな顔をしていた。
俺は駆け寄ってウルを抱き上げる。
「よく頑張ったね。妹たちの面倒を見てくれてありがと。ピーチは何ともないから大丈夫だよ」
そう伝えてあげると、我慢して必死に繋いでいた糸がプッツリと切れたように泣き始めた。ピーチが破水してミーシャがいなくなったとはいえ、他の子どもたちを従魔たちに任せていたのはよろしくない。せめて親のカエデとリンドは近くにいてほしかったな。
そう思っていたがその2人は、ミーシャがいなくなって混乱しているミリーをなだめたり、破水したピーチに付き添っていたため、子どもたちに手が届かなかったみたいだ。ミーシャが予想外の行動をとったために、全てがズレてしまった感じだな。
これからもこういうことがあるだろうから、誰かは絶対に近くにいてあげられるようにしないとな。
俺も予定日の2週間前くらいからは、家で仕事をすることにしよう。そんなことを考えながらウルの背中を撫でている。
「本当によく頑張ったね。ミーシャがいなくなって、ウルもどうしていいか分からなかったのにね。本当にありがと」
もう1度言葉にして感謝を伝える。
10分程泣いたら疲れて眠ってしまった。ミリーもミーシャをベッドに寝かせて、4人の様子を見てくれている。
「ミリー、しばらくここをお願いしていいかな? ピーチの様子を見て、部屋の準備をしてくるよ」
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