ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,507 / 2,518

第1507話 ミヤの1日

しおりを挟む
 キャンプに行ってから、下の子たちが「お風呂」や「温泉」という言葉に反応するようになった。1歳にもなっていない赤子が、しっかりと言葉を認識して反応できるものなのだろうか?

 それと、ミヤとかなり仲良しになっている。どうやら、同じような湯船に入っていたミヤを、仲間と認識しているような気がする。

 昼間は、だいたい下の子たちの側で寝ているか、一緒に遊んでいる姿が確認されている。体が大人に近付き、精神も子どもから大人になったのか、行動が変わってきている気がする。

 夜は相変わらず、俺の部屋にあるお気に入りの寝床に戻ってくるのだが、妻たちといたしているときにネコドアを開けて入ってきて、妻と顔を見合わせてしまうこともあるのだ。それでもマイペースに自分の場所で寝るあたり、太いネコだな。

 っと、今日は休みで、たまたま何をしようかと思っていたときに、ミヤを見つけたので追跡をしてみることにしたのだ。

 この時間は何処に行くのだろう?

 今の時間は、朝食が終わって少し経っており、8時を少し過ぎた頃だ。

 いつものパターンなら、何処かで寝るのだと思うが、この方向は子ども部屋ではなく、外に向かっている気がするのだが……

 ミヤはそのまま、外に出てしまった。

 何やらキョロキョロしているが、悪さでもするつもりなのだろうか?

 何かを発見したミヤは、そちらに向かって走り出す。魔物でもない普通のネコが、俺の追跡から逃れるスピードで走れるわけもなく、簡単に追跡が可能だった。わざわざ気配も消しているので、ミヤもさすがに気付いていないようだ。

 ミヤが到着した場所は、スライムたちが集まって日向ぼっこをしている場所だった。

 なるほど! 始めにキョロキョロしていたのは、スライムたちを探していたのだろう。場所が分かっていれば、キョロキョロする必要はなかったはずだな。あいつらって、決まった場所にいないから、探す必要があるんだよね。

 こんなところに来て何をするつもりなのだろうか?

 ミヤは躊躇せずに、スライムたちの上に乗り寝そべり、毛繕いを始めた。身嗜みに気を使っているのかな? 毎日誰かに(俺が大半なのだが)ブラッシングをしてもらっているのに、自分でもしているんだな。

 おっおっお?

 ミヤだけでなく、うちのネコたちがほとんど集結してきた。全員がスライムたちの上で寛ぎ毛繕いをし始めた。

 しばらくすると、ネコたちが集まりお互いに舐め合い始めた。

 ミヤもその輪の中にいるってことは、みんなに受け入れられているようだな。

 30分ほど経つと、ネコたちが家に戻り始めた。あれ? あそこで寝るんじゃないのか?

 ミヤの後を着いていく。他のネコは、自分の特等席にでも向かったのかな?

 ミヤは子ども部屋に向かうようだ。ネコやケットシーたちのためのネコドアを通って中に入っていった。

 俺もコッソリと子ども部屋に入っていく。

 ウルたちも中にいて、下の子と一緒に遊んでいた。面倒を見ているのだろう。その輪の中にミヤがトコトコと歩いて入っていく。

 ミヤに気付いたシンラが声をあげる。それにつられて、プラムとシオンも声をあげた。

 ミヤもいつになく大きな鳴き声をあげて応えた。鳴き声をあげた後は、下の子たちに近付いて体の何処かに肉球を押し付けてから、真ん中あたりにゴロリと寝転がった。

 そんな様子を見たウルたちから、いらっしゃい、と声をかけられているので、かなりの頻度で来ているのだろう。

 ミヤの行動も気になるけど、子どもたちが何をして遊んでいるのかも気になるな。

 半年を過ぎた下の子たちは、いつの間にかハイハイをするようになり、お姉ちゃんたちを追いかけたり、シンラはプラムとシオンに追いかけられたりしている。まぁハイハイというよりは、ほふく前進に近いのでずりばいかな。

 疲れたのか、シンラがパタリと倒れ寝始めた。そこにプラムとシオンもやって来て、両サイドをガッチリ固定して眠りについた。

 ウルは近くで待機していたスライムたちに声をかけ、ベッドになるように命令していた。

 スライムたちが紙ほどに薄くなり、下の子たちの下へ体を入れてから、ゆっくりともとに戻った。これで、安心して寝てもらって大丈夫だ。

 ミヤに視線を戻すと……いなかった。何処に行ったか探すと、部屋の所々に置かれている小鍋に入っていた。すっぽりとはまるのが気持ちがいいのかな?

 俺の部屋に置いてある専用の寝床も、すっぽりとはまるタイプが多いもんな。

 ウルたちは、下の子たちが寝てしまったので、何をしようかと話し合っている。その中で、ミヤがまたあの鍋の中に入っている、と話していたので、ミヤの寝床なのだろう。

 お? ミヤの入っている鍋に、新しく2匹が入ろうとしている。2匹入ればキツいのに、3匹で入ろうとするなんて、狭いところ好きにも程があるだろ。

 ミヤたちは昼食まで寝ると食堂へ向かい、昼食を食べ終わると、また子ども部屋で下の子たちと遊んでは寝て、寝ては遊んで、夕食になるとまた食堂へ向かう。

 その後は、下の子たちに便乗して、ミヤもお風呂に入るようだ。

 湯船の隅にある、ケットシー用に作った浅い湯船に浸かり、専用のシャワーのボタンに手を置いて、体をマッサージしていた。

 イメージは、上下左右から強めのシャワーが出ている感じかな?

 ケットシーに用意して欲しいと言われて、用意した魔道具である。ケットシーもマッサージは気持ちいいようで、それを利用しているミヤもしたたかだな。

 キレイ好きなのは良いのだが、あまりお風呂に入りすぎても体に良くないのでは? と、思うところはある。日々の体調チェックをしているが、今のところ問題はないので、問題が出たら止めよう。

 おい! うつ伏せから仰向けに寝転がって、お腹をシャワーでマッサージを、始めたぞあいつ!

 満足したのか、体をブルブルふって水を飛ばしている。

 ネコ・ケットシー専用の全身ドライヤーの中に入り、全身を乾かしてから家の中の散歩を始めた。

 目的地もなくウロウロと30分ほど歩いたら、俺の部屋に入っていった。そらそろ寝るのか?

 特に変わったことは何もなかったけど、何となく馴染めているようで良かった。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...