ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,514 / 2,518

第1514話 名案?

しおりを挟む
 時間稼ぎでしかないが、ダンジョンの最下層にキャスリングで飛ばしながら対策を考える。

「主殿、スケルトンやエルダーリッチ、人造ゴーレムを撤退させたでござる」

 先程まで仮定名セラフと戦っていたスケルトンたちが戻って来た。また戦う必要が出てくる可能性があるので、ゲートの近くで待機していてもらっている。

 エルダーリッチは、次の戦闘では使わないので俺たちの話を後ろから聞いている。正確には、バザールの後ろで待機しているとでも言う感じだろうか?

 2つ目のダンジョンに飛ばした。それでもいい案は生まれてこない。ダンジョンだけがドンドン壊されていく。1つ目のダンジョンをDPで直していくが、直りが良くない気がする。切り裂かれた部分が特に時間がかかっている印象だ。余波で壊れた部分はすぐ直っているのに、何故だ?

 あの剣に、切り裂く以外の特殊能力がついているってことなのだろうか? 俺がダンジョンマスターだって知ってるから、神がダンジョンに特効のある武器か能力を持たせていても不思議じゃねえな。

「シュウ、ダンジョンって1階の高さをどのくらいできるの?」

「一応、上限はないと思うけど、何でだ?」

「例えばさ、1階から900階まで床を抜いて、一番上から隙間がないくらいに大きな岩を落とすのはどう?」

「ダンジョンの中で、メテオみたいな事をするってことか? 試してみるか」

 3つ目のダンジョンは100階から900階までの床を抜いて、100階から50階も床を抜いて岩を待機させておく。

 突破された時のために、4つ目のダンジョンの確認も滞りなく。

 仮定名セラフを3つ目のダンジョンの最下層へ飛ばす。タイミングを見計らい、岩を落とす。

 予想より仮定名セラフのスピードが速く、600階あたりで接触した。

 さすがにあれだけ大きな岩を切り裂く事は出来なかったようで、押しつぶされるような形で最下層へ押し戻されていた。

 ズドーンと聞こえそうな光景を見て、俺たちは小さくガッツポーズをした。多少なりともダメージを与えられたと感じたからだ。

 ダンジョンの監視装置を使って仮定名セラフを映し出すが、予想外の行動をとっていた。

 岩で埋め尽くされた状態で剣を振ることなどまずできないのに、仮定名セラフは立って剣を振り回していたのだ。

「どういうことなの?」

 綾乃は絶句するような声で聞いてきた。

「可能性だけで言えば、分解じゃなくて、消滅させている?」

「魔法を使った形跡も無いでござるし、これは刃に触れた部分は、文字通り消えている可能性があるでござるね。セラフのいる場所がだんだん広くなっているでござる」

「武器の性能にもビックリしているけど、それ以上にあの岩の重量と勢いで、ノーダメージに見える状況の方がびっくりしているんだけど」

 俺のセリフを聞いて、2人も同意してくれた。

「とりあえず、動きの邪魔をするっていう意味では、砂でも大量に流し込んでおくか?」

 岩の上に500階分位の砂を召喚して埋めておく。これで多少時間が稼げそうだな。修復中のダンジョンはそのまま砂で埋め尽くしておくか?

「シュウ、砂じゃなくて溶岩とかに出来ない?」

 綾乃から極悪な提案がある。確かに、溶岩であればダメージを与えられるかもしれない。綾乃の提案に乗ってダンジョンの1つを溶岩で埋め尽くしてみた。粘性の高い溶岩を準備し、ダンジョンもそれ用に改造する。

「粘性が高くても、移動可能だったら突き抜けたりしてくるかな?」

「どうでござるかね? ダメージを受けないのでござれば、水みたいに強引に突破できる可能性はあるでござるな」

 砂の方は上手くいっているようで、消している端から埋まっていくので、時間がかかっているようだ。

「それにしても、岩からノーダメージで切り抜けたカラクリが気になるな。さすがにあれだけの質量で押しつぶされれば、アダマンタイト製の盾でも変形すると思うんだけどな。それを無傷って、どれだけ頑丈なんだ?」

「バリア的な何かがあるのかもしれないでござるな」

「アンチマジック的なシールドじゃなくて、物理攻撃にも対応する何かってこと?」

「結界っぽい何かが常に張られているのかもしれないってことか? でも、結界じゃあの質量は防げないから、神器をまだまだ隠し持っているってことかな?」

 俺たちの中で、神器を複数説が強くなっていた。

 とりあえず、砂により妨害は効果的だということが分かったので、時間稼ぎは何とかなるかな? 砂が無限に湧き出る穴を作り、仮定名セラフが減らした分を自動的に補充してもらっている。

 仮定名セラフはじわじわといる位置が高くなっているが、それでも十分に時間稼ぎになっている。

 思ったより時間を稼げているため、溶岩を準備したダンジョンがまだ活躍できていない。活躍できるか分からないけどね。

「時間を稼げている間に、他の対策を考えようか」

 先程までは、時間がなく慌ただしかったが、多少落ち着いて考えられるようになった。

「どこかに隔離できればいいんだけどね」

「あの剣の前だと、どんな結界も物質も無意味でござるからな、封印みたいなスキルや魔法がなければ難しいでござるな」

「隔離ね……空間的に別の場所に連れて行ければ……」

 そこまで言って、ふと気付いた。

「別の空間なら、マイワールドに放り込んでゲートを潰せば、あいつを隔離できないか?」

「それなら、ゲートを作らなくてもいいんじゃない? キャスリングでマイワールドの中に放り込めば、ゲートすら必要ないよね?」

「それだ! でも、マイワールドに飛ばす前に、溶岩の効果だけは確認しておこう」

 仮定名セラフが頑張って砂を掘り進んでいる間に、ドンドンと準備を進めていく。一応、次元の壁を切り裂けることを前提に対策を進めている。

 マイワールドは、数字を変えれば繋がった空間ではなくなるのだが、可能性の1つとしてそれすらも切り裂けることを前提にしている。

 隔離をするマイワールドを中心に、3つまでマイワールドを生み出し、移動してもすぐ対応できるようにした。

 マイワールドの配置は、無理やり言葉にすれば、ルービックキューブみたいな感じで、1つ1つが区切られている。それが、何千何万と存在している。なので、今まで作ったマイワールドから離れた位置に隔離エリアを作成して、まわりも一緒に作成していざという時に対応できるようにした。

 念のため、マイワールドにいる人たちを全員避難させないとな。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

処理中です...