ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,573 / 2,518

第1573話 驚きの事実再び

しおりを挟む
 目が覚めるとベッドにいた。よく自分のことを観察すると、服も変わっていた。

 1人で意識のない人間を着替えさせるのは、かなり大変だけど複数人いる上に、力まで強いのであれば問題なく着替えさせられるか。

 それにしても、一瞬の早業だったな。

 いくら高レベルになろうとも、体の欠陥といっていいのか、体が頑丈だったとしても抗えない攻撃が存在するんだな。正直、あそこまであっさり落ちるとは思わなかった。

 普通なら苦しいとか感じるんだろうが、そんなことを思う前に落ちたからな。

 体は問題なく動くようだな。

 手をグーパーグーパーしたり、肩を回してみたりするが、違和感はない。さすがにシンラを助けるために妻たちが動いただけで、俺を殺そうとかしているわけじゃないからな。動けないように毒を盛るなんてことは無いよな。

 時計を見ると家に戻ってきてから、おそらく3時間ほどが経過している。って、そう言えば何でシンラたちがあの時間に起きてたんだ?

 あまりに酷いコスプレを見たせいで、俺は混乱していたようだ。時間にすると、深夜1時にシンラたちが起きていて、妻たちも普通に相手にしていたな。昼寝とかのタイミングで、あの時間に目が覚めたのかな?

 それとも、普段からあの時間に動き回ってることがあるのかな?

 まだ朝食には早い、起きるのにも早いってことで、寝よう。

 さっきまで寝ていたが、問題なく寝入ることができた。

 朝食の時間になり、ミーシャたちに過激な方法で目覚ましをされ、3人を抱えて食堂へ向かった。

 いつもと変わらない光景に、いつもと変わらない食事、いつもと同じとはいえ、朝はビュッフェ形式なので、数十種類の中から自分で食べたいものを選べるから、変わらない食事といっていいのか迷うところである。

 ビュッフェ形式だったとしても、どうしても食べたいものが無いときは、その日の気分で近くにいる妻か、ブラウニーたちに取って来てもらうんだけどね。

 ただ、今日は誰にお願いしても取ってきてくれなかったので、自分でメニューを考えてバランスよく食事をした。

 食事も終わり食堂を出ようとしたところで、シュリに捕まった。そして、食堂の隅へ連れていかれ正座をさせられている。

 何が起きたかといえば、シンラのことについて怒られているのだ。シンラが喜んでいる間はよかったが、嫌がった時点で何でやめなかったと。

 これに関しては、何をどう説明しても理解の得られるものでは無いと分かっているので、下手な言い訳はせずに、精神的に混乱していたため可愛い息子に癒されていたと説明した。

 だからといって、許されるわけもなく1時間ほど説教をされた。最後に「子ども部屋へ行き、シンラがあなたのことを嫌がらなければ、これ以上の説教は無し、嫌がったらしばらく接触禁止」と言われ、少し絶望気味に足を運んだ。

 今日も元気に追いかけっこの最中だった。

 シンラは俺を見つけると、もの凄い勢いで駆け寄ってきて、抱っこをせがんできた。

 よかった!嫌われてなかった。よしよし、姉妹から助けてやるぞ! 起きているときくらい、自由にさせてほしいよな。

 両脇に手を入れ高い高いをする感じで持ち上げると、喜んでくれた。上下に動かすとさらに機嫌がよくなり、笑い声をあげている。

 ただ、シンラが喜べば喜ぶほど両足にかかる圧力が強くなる。強くなると言っても赤ちゃんの力で抱き着いたり、頭突きをしたりしてくるだけなので、痛くもかゆくも……いや、足の指の間を攻めるのはやめてくれ、さすがにそこはこそばゆい。

 それにしても、プラムとシオンは何でこんなにシンラのことが好きなのだろうか? もっと大きくなったら、シンラ離れをするのかな?

 そう言えば、姉のウルたちと一緒に寝るときもあるみたいだけど、そのときはシンラじゃなくて姉の誰かに抱き着いているんだっけ? 抱き着き癖があるだけかな? それだけだったら、プラムとシオンで抱き合えば解決なのだが、シンラがいないと怒るからな、何なんだろうな。

 シンラに許されたことを喜び子ども部屋を出る。最後に、次からはシンラが嫌がるまで、あんなことをしないように注意された。お腹に顔をうずめるのは、始めは喜んでいたので問題ないらしい。たまにやってみよう。

 日課というか、仕事をしに庁舎へ向かう。いつもより睡眠時間が短かったので、眠いが午前中しか仕事をすることがないので、終わってから軽く昼寝でもすればいいだろう。

 いつものように報告書を読み、全部確認が終わる直前に綾乃とバザールが執務室に入ってきた。あいつらがここに来るのは珍しいので、ビックリしたがそろそろあの怪盗ムキムキの報告があるらしいので呼ばれたんだと。

 報告書を読み終わり、俺たち3人は怪盗ムキムキについて話をした。

 結論。地球から来た人じゃないか。ただ、コスプレのあのチョイスはありえないと、意見が一致した。あのムキムキ具合なら、もっといいやつがあっただろ! って思う。スーツ着てるのに隆起した筋肉が分かるくらいピッチピチだったしな!

 グリエルから報告が上がった。

 暗部が捕まえた後に奴隷の首輪を使って、強制的に尋問をしたところ、転生者の自称義賊だったらしい。

 文字にすると短いのだが、なかなか濃い内容である。

 そもそも転生者って、地球のときの記憶をもってこの世界に生まれ変わったということらしい。そして、義賊として何故ゴーストタウンを狙ったのかと言えば、どこの街へ行ってもゴーストタウンの噂を聞き、羽振りもよさそうだということで、住人から高い税金を巻き上げている! と考えての行動らしい。

 義賊と名乗ったことから、こいつの過去に行った覚えている範囲の義賊行為を聞き出し、商会情報網を通じて確認を取ったところ、9割方は義賊行為と判明した。残りの1割ほどは、勘違いの単なる泥棒。

 義賊行為だと判明したのは簡単で、名前の上がった街には商会が無い、もしくは商会が撤退した街だったからだ。特に撤退した街では、儲けていた俺の商会にありえないほどの税金をかけて、赤字に転じているところもあったのだとか、どんだけ金取ってんだよ! 普通、優遇すんだろうが!

 とりあえず、自分勝手ではあるが住んでいる人たちのために行動したことは評価していた。だけど、考え違いはよくなかったな。街の中で完結している人が多いこの世界で、義賊行為をすれば住人にお金をばらまいても、結局取り上げられてしまうのだ。

 それだけじゃなく、普通に暮らしていた人にも重税がかかり、奴隷落ちになったりしてしまった人たちも多くいるだろう。

 調べた結果を突き付けられた怪盗ムキムキは、泣き崩れたとか。自分の行為の結果、不幸になる人の方が多かった事実に耐えれずに泣いたようだ。

 悪い奴だけど悪い奴ではなさそうだ。矛盾しているけど、こいつはこいつで圧政を引いている街のために動いたのだ。そこは評価しよう。

 で、こいつをどうするか? という話になったのだが、暗部預かりとした。暗部で働かせるとか言い出したので、しっかり管理するように伝えた。そして、勘違いだった1割の街には、商会を通じて事情を説明して、盗まれた額の5割増しでお金を渡しておいてもらった。

 圧政を敷いていた街にはって? そんなところに払う金は、びた一文無いわ! どうせ出回った金の大半を回収してんだろうしな。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...