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第1783話 シンラの策謀
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シンラがいつになく、真剣な表情で夕食を待っている……
シンラの前だけに、七輪が置かれアマレロがスタンバイしている。そのアマレロの手には……なるほど! キノコ狩りのときに、なかなか話さなかったエリンギがあったのだ。シンラは、それを真剣な表情で見つめていたのだ。
よく覚えているものだな、と感心していると、シンラに怒られて早よ座れと……すまんな。
目の前で調理しないと納得しないだろうって思い、お願いしていたのをすっかり忘れていたよ。
今日は珍しいことに、席がシンラの近くにスタンバイされていた。妻たちに話しを聞くと、シンラが俺の席はここだと言ったらしく、逆らえない真剣な表情だったので、俺の席が急遽移動になったらしい。
シンラの近くと言っても、プラム⇔シンラ⇔シオンの3人セットの椅子から、人ひとり分離れて俺、みたいな位置なので、近いと言ってもいいのだろうか? いつもはもっと離れているので、近いと言えば近いのだが……
ちなみに、普段俺が近くで食べていない理由は、上の子たちが俺の近くで食べているということもあるが、下の子たちは自分で取り別けなどできないから、母親たちが近くにいるのと……あまり近いと、プラムとシオンが怒るのだ。
シンラは俺に良く懐いているので、プラムたちが嫉妬しているのだとか。だから俺から近くによると、猫みたいに威嚇をしてくることがある。
下の娘たちに嫌われないか心配である。母親たちが言うには、もう少し大きくなれば、シンラにベッタリすることも無くなるはずだから、そうなれば問題ないだろう、と言われている。
下の子たちに影響されて、上の子たちが! とか言っていたら、頭をはたかれたな。前に、そんなことを下の子たちが続けていれば、上の子たちに怒られると言っていたのを忘れたの? みたいな感じで怒られたよ。
あ~すまんすまん。そんなに怒るなってシンラよ。
食事の挨拶が終わり、食事が始まる。いつもなら、真っ先にがっつき始めるシンラだが、今日はそんな様子は見られず、目の前のアマレロの調理をじっと見ている。お前って、そんなにキノコが好きだったか? とか思いながら、用意してもらった土瓶蒸しをいただく。
お猪口に出汁を注ぎ、出汁の香りを愉しむ。出汁は……昆布がベースかな? 醤油にミネラルの多い塩を足して、味を調えている感じだ。飲んでみると、みそ汁とかで感じる出汁とは一味違った。おそらく、土瓶蒸しの中に入れている、具材からも出汁が出ているのだろう。
スーッと喉を通り、鼻から香りが抜ける……焼き松茸のときは、残念な気持ちが強かったけど、土瓶蒸しは俺にあっているようだ。これなら、二十DP出してもいいな。天恵菇の二十倍の幸福感があるとは言えないが、それでも価値があると思う。
土瓶にスダチを搾り、お猪口に注ぐ。おぉ! 柑橘系のスダチを搾ることによって、予想を超えて味が変化した。良く分からない満足感が俺を満たす。中の具材を食べて一息ついた。
メッチャ美味かった。
満足感に満たされていると、隣からシンラの声が聞こえる。エリンギを焼いてもらっているようだが、バターと醤油で味付けするように、アマレロに訴えている。む~、お前ってこんな奴だったっけな?
変なことを考えていたら、シンラに呼ばれた。
何かと思うと、自分の収穫したキノコを、俺に食べろと言っている。シンラなりの優しさなのか、アマレロに渡された、エリンギのバター醤油焼きを口に運ぶ。
天恵菇も同じ味付けで食べたが、あれとは違った食感に味わいだ。シンラ、お前の採ってくれたエリンギは美味いぞ!
褒めていると、シンラが俺の方を向いてニヤリと笑った……こいつ、もしかして! 父親である俺を、毒見役にしたのか!?
シュウの被害妄想なのだが、それを指摘できる人間がここにはいなかった。シンラは、父親であるシュウに自分で取ったキノコを、食べてもらいたかっただけなのだ。でも、あのニヤリとした表情が、俺が悪戯をするときの顔に似ていると、妻たちが言っていた。
そのため、シンラの本当の気持ちは、プラムとシオン以外に伝わることなく、みんなで苦笑することとなった。プラムとシオンは、一番はシュウでもよかったが二番をゲットするために、アマレロを困らせていた。
シンラの本当の気持ちに気付いてあげられなかったが、シュウはシュウでそんな団欒も楽しんでいた。
土瓶蒸しの次に出てきたのは、キノコの傘のような揚げ物だ。ような、ではなくキノコの傘だった。
天恵菇の軸を切って、小麦粉をつけ、卵にくぐらせ、パン粉をつけて揚げる。正直、見た目がすごい。1つ250グラムもある天恵菇の傘の揚げ物、大きさで言えば、400グラムくらいのメンチカツを作れば、この大きさになりそうなくらい大きい。
そのままかぶりついてみたい気はしたが、そうすると全部を食べなくてはいけなくなる。他にも色々あるのだから、それは勿体ない。
待っていると切ってくれたので、そこを食べさせてもらう……やっぱり、キノコって油との相性がいいよな。めっちゃ美味い!
ん? 隣で炒め物の音がする。さっきまで七輪があった場所に、魔導カセットコンロが置かれ、炒め物が作られていた。もうね、匂いだけで何かわかったよ。豚キムチだ! シンラの前で作っているということは、俺の好きなエリンギ入りの豚キムチだろう!
シンラに期待する目を向けてみると、分かった分かったと言わんばかりの表情を返してくれた。良く分かっているじゃないか! 豚キムチってことは、白米が必要だな。 持って来てもらおう。
シンラたちの前に豚キムチが置かれ、3人とも美味しそうに食べている。母親たちにも配っており、みんなも美味しそうに食べてるな。じゃぁ俺も……あれ? 俺の前に豚キムチがないのだが? 俺の豚キムチはどこだ?
キョロキョロしていると、シンラと目が合った。悪い顔をして親指を立てている……こやつ、押すな押すな押せの合図、欲しい欲しいという奴にはあげない、を実行しやがったのか!? 周りから笑い声が聞こえてくる。
シンラは、俺がこうなることを予想して、少し遅れて豚キムチを出すようにアマレロに伝えていたのだ。シンラのコントに付き合わされた感は否めないが、豚キムチは美味かった。白米と最強のコンボ!
食事が終わり、休憩した後に子ども部屋へ向かい、シンラに逆襲をする。
お腹に顔をグリグリの刑だ! 覚悟しろ!
頭をシンラ、プラム、シオンの3人にペシペシ叩かれるが、1分間ほど無視してグリグリを続けてやったぜ。ついでにプラムとシオンにもグリグリしたら、本気で叩かれ髪の毛を引っ張られたわ。
シンラの前だけに、七輪が置かれアマレロがスタンバイしている。そのアマレロの手には……なるほど! キノコ狩りのときに、なかなか話さなかったエリンギがあったのだ。シンラは、それを真剣な表情で見つめていたのだ。
よく覚えているものだな、と感心していると、シンラに怒られて早よ座れと……すまんな。
目の前で調理しないと納得しないだろうって思い、お願いしていたのをすっかり忘れていたよ。
今日は珍しいことに、席がシンラの近くにスタンバイされていた。妻たちに話しを聞くと、シンラが俺の席はここだと言ったらしく、逆らえない真剣な表情だったので、俺の席が急遽移動になったらしい。
シンラの近くと言っても、プラム⇔シンラ⇔シオンの3人セットの椅子から、人ひとり分離れて俺、みたいな位置なので、近いと言ってもいいのだろうか? いつもはもっと離れているので、近いと言えば近いのだが……
ちなみに、普段俺が近くで食べていない理由は、上の子たちが俺の近くで食べているということもあるが、下の子たちは自分で取り別けなどできないから、母親たちが近くにいるのと……あまり近いと、プラムとシオンが怒るのだ。
シンラは俺に良く懐いているので、プラムたちが嫉妬しているのだとか。だから俺から近くによると、猫みたいに威嚇をしてくることがある。
下の娘たちに嫌われないか心配である。母親たちが言うには、もう少し大きくなれば、シンラにベッタリすることも無くなるはずだから、そうなれば問題ないだろう、と言われている。
下の子たちに影響されて、上の子たちが! とか言っていたら、頭をはたかれたな。前に、そんなことを下の子たちが続けていれば、上の子たちに怒られると言っていたのを忘れたの? みたいな感じで怒られたよ。
あ~すまんすまん。そんなに怒るなってシンラよ。
食事の挨拶が終わり、食事が始まる。いつもなら、真っ先にがっつき始めるシンラだが、今日はそんな様子は見られず、目の前のアマレロの調理をじっと見ている。お前って、そんなにキノコが好きだったか? とか思いながら、用意してもらった土瓶蒸しをいただく。
お猪口に出汁を注ぎ、出汁の香りを愉しむ。出汁は……昆布がベースかな? 醤油にミネラルの多い塩を足して、味を調えている感じだ。飲んでみると、みそ汁とかで感じる出汁とは一味違った。おそらく、土瓶蒸しの中に入れている、具材からも出汁が出ているのだろう。
スーッと喉を通り、鼻から香りが抜ける……焼き松茸のときは、残念な気持ちが強かったけど、土瓶蒸しは俺にあっているようだ。これなら、二十DP出してもいいな。天恵菇の二十倍の幸福感があるとは言えないが、それでも価値があると思う。
土瓶にスダチを搾り、お猪口に注ぐ。おぉ! 柑橘系のスダチを搾ることによって、予想を超えて味が変化した。良く分からない満足感が俺を満たす。中の具材を食べて一息ついた。
メッチャ美味かった。
満足感に満たされていると、隣からシンラの声が聞こえる。エリンギを焼いてもらっているようだが、バターと醤油で味付けするように、アマレロに訴えている。む~、お前ってこんな奴だったっけな?
変なことを考えていたら、シンラに呼ばれた。
何かと思うと、自分の収穫したキノコを、俺に食べろと言っている。シンラなりの優しさなのか、アマレロに渡された、エリンギのバター醤油焼きを口に運ぶ。
天恵菇も同じ味付けで食べたが、あれとは違った食感に味わいだ。シンラ、お前の採ってくれたエリンギは美味いぞ!
褒めていると、シンラが俺の方を向いてニヤリと笑った……こいつ、もしかして! 父親である俺を、毒見役にしたのか!?
シュウの被害妄想なのだが、それを指摘できる人間がここにはいなかった。シンラは、父親であるシュウに自分で取ったキノコを、食べてもらいたかっただけなのだ。でも、あのニヤリとした表情が、俺が悪戯をするときの顔に似ていると、妻たちが言っていた。
そのため、シンラの本当の気持ちは、プラムとシオン以外に伝わることなく、みんなで苦笑することとなった。プラムとシオンは、一番はシュウでもよかったが二番をゲットするために、アマレロを困らせていた。
シンラの本当の気持ちに気付いてあげられなかったが、シュウはシュウでそんな団欒も楽しんでいた。
土瓶蒸しの次に出てきたのは、キノコの傘のような揚げ物だ。ような、ではなくキノコの傘だった。
天恵菇の軸を切って、小麦粉をつけ、卵にくぐらせ、パン粉をつけて揚げる。正直、見た目がすごい。1つ250グラムもある天恵菇の傘の揚げ物、大きさで言えば、400グラムくらいのメンチカツを作れば、この大きさになりそうなくらい大きい。
そのままかぶりついてみたい気はしたが、そうすると全部を食べなくてはいけなくなる。他にも色々あるのだから、それは勿体ない。
待っていると切ってくれたので、そこを食べさせてもらう……やっぱり、キノコって油との相性がいいよな。めっちゃ美味い!
ん? 隣で炒め物の音がする。さっきまで七輪があった場所に、魔導カセットコンロが置かれ、炒め物が作られていた。もうね、匂いだけで何かわかったよ。豚キムチだ! シンラの前で作っているということは、俺の好きなエリンギ入りの豚キムチだろう!
シンラに期待する目を向けてみると、分かった分かったと言わんばかりの表情を返してくれた。良く分かっているじゃないか! 豚キムチってことは、白米が必要だな。 持って来てもらおう。
シンラたちの前に豚キムチが置かれ、3人とも美味しそうに食べている。母親たちにも配っており、みんなも美味しそうに食べてるな。じゃぁ俺も……あれ? 俺の前に豚キムチがないのだが? 俺の豚キムチはどこだ?
キョロキョロしていると、シンラと目が合った。悪い顔をして親指を立てている……こやつ、押すな押すな押せの合図、欲しい欲しいという奴にはあげない、を実行しやがったのか!? 周りから笑い声が聞こえてくる。
シンラは、俺がこうなることを予想して、少し遅れて豚キムチを出すようにアマレロに伝えていたのだ。シンラのコントに付き合わされた感は否めないが、豚キムチは美味かった。白米と最強のコンボ!
食事が終わり、休憩した後に子ども部屋へ向かい、シンラに逆襲をする。
お腹に顔をグリグリの刑だ! 覚悟しろ!
頭をシンラ、プラム、シオンの3人にペシペシ叩かれるが、1分間ほど無視してグリグリを続けてやったぜ。ついでにプラムとシオンにもグリグリしたら、本気で叩かれ髪の毛を引っ張られたわ。
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