ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
1,888 / 2,518

第1888話 どうするのが正解か?

しおりを挟む
 俺は勘違いをしていた。

 この世界には、本当の神を祀った宗教は無かった。聖国の宗教みたいなのが横行し、好き勝手にやっているだけだと思っていた。地球でも色々な宗教があるのだから、自然発生してもおかしくないと考えていた。

 実際、その通りではあるのだが、地球と違うところは……俺が神の存在を知っていて、そいつらがこの世界を遊戯盤として遊んでいることを理解している。

 あまり干渉しないだけで、干渉することは可能なのだ。特に、俺が神のダンジョンを3つすべて攻略したことで、創造神からちょっかいが増えるぞ、みたいなことを言っていたのを思い出したのだ。

 その1つが、今回の宗教騒ぎなのだと思う。

 話がずれたが、昔にチビ神が俺の妻たちの祈りを受けて、ムッハーとか言っていたのを思い出させられた。正しく祈れば神に届くのだ。その見返りと言っては変だが、妻も子どもたちも加護のようなものを貰っている。

 今回の宗教騒ぎでは、信者たちの祈りを受けて神託を受けた人間が、様々なアイテムを受け取ったのだろう。それを使って権力者を懐柔したり、金儲けしたり、そのお金を使って色々工作をしたりしているのだと思う。その1つが……5つというべきか? それが、今回の騒動を引き起こした原因だろう。

 で、神的には、その宗教の存在はありなのか無しなのか?

『どういうこと?』

 神たちからすれば、神託を降ろして祈りを捧げてもらえるようになるのは、良い事だろう? だけど、1人で占有するれば、チビ神みたいにねたまれるわけだろ。許容される範囲なのか、そうじゃないかが知りたいってことだ。

『ん~無関係の人間に神託を使うのは、結構リスクがあるからね。成功しらたラッキー! みたいに、適当にできる物でもないのよ。あんたの世界では良く分からない宗教があるけど、他の世界では勇者やダンジョンマスターが作った宗教が、根付いている所もあるのよ』

 なるほど。身を守るために宗教を作った人間もいるってことか。根付いていて、対象がはっきりしていれば、その神は安泰ってことか……ちなみに、リスクってどんなもんなんだ?

『存在値の大幅減少ね』

 なんとなく意味は分かるが、もっとわかりやすく説明してくれ。

『どう表現するのが分かりやすいかな……存在値って言うのはね、私たちが生存するうえで必要なエネルギー? みたいなものね。賭けで増やしたり、正しく祈ってもらったり様々ね。所有物も存在値に含まれるから、私はうはうはなのよ!』

 想像してた通りだな。要は、俺が送っている品々も、妻やシルキーたちが送っている物も、全てがお前の存在値を高めているってことか。じゃぁ前回のバトルで大儲けしたんだろ? かなり存在値が高まったってことだよな?

『そうよ! もうね、一生遊んでいけるだけの存在値が貯まったような物よ!』

 アホ、存在値が無くならなければ死なないのに、一生分って表現はおかしいだろ。話を元に戻して、宗教に関しては神としてはリスクは高いけど、許容されている行為ではあるんだな?

『そうね。ただ、存在値が一定以上の神は、関係者にしか神託を降ろせないわね。例えば、現状で私が神託を降ろせたとして、1000回降ろしたところで消滅することは無いわ。きちんとした数字は分からないけど、10回くらい降ろすと消滅するくらいがラインかな?』

 チビ神の能力じゃ、何万回降ろそうと宗教は出来なそうだけどな。

『ムキー!「バナナくうか?」食べないわよ! ふぅ……落ち着け私、今日も可愛い! このやり取りも久しぶりね。そして、バナナも健在なのね』

 そうだな。ダンジョン農園で取れた、美味さ抜群のバナナだぞ! 食うか?

『食べる!』

 素直でよろしい。あ、バナナミルクも一緒につけてやろう。王蜜バージョンだ! ってかさ、お前も宗教とか作って祀ってもらいたいのか?

『モグモグ、ゴクゴク……本当に美味いわね、これ。病みつきになるわ! って、私の宗教? めんどくさいからヤダよ。勝手に祀ってくれるなら構わないけど、宗教みたいなのは見返りをしなきゃいけなくなるからね。とにかく面倒なのよ』

 勝手にやらせておけばいいじゃん。何が面倒なんだ?

『初めのうちはそれでもいいかもしれないけど、神託でできた宗教の内、99.99パーセントは金儲けの手段に変わるから、ずっと正しい祈りを貰えるわけじゃないのよ。で、金儲けに腐心するお偉方が増えると、反対に私たちの存在値が削られていくわけ。

 あんたの世界の新しくできた宗教は、正しい祈りが続けられなくなれば、瓦解するようなシステムになってるんだよね。神の間では、通称【免罪符による存在値錬金法】って呼ばれているわ』

 長い通称だな。存在値が少なくなった神たちの、博打みたいな方法ってことはなんとなくわかった。そして、この博打を仕掛けた神の後ろに本命がいそうなことも、理解した。とはいえ、宗教がらみになると対応しにくいのが難点だな……

 情報、ありがとさん。シルキーたちに言って適当に、食べ物を送っておいてもらうわ。

 さて、面倒なことになったな。グリエルたちを呼んで、チビ神との話を共有しておこう。

「っと、ゼニス。商会の撤退はどのくらいになりそうだ?」

「2日もあれば問題ないかと」

「商会の関係者や家族で付いてきたい人たちは、一緒に移動できるように通達を出してくれ。1週間を目処に準備をしてくれ。荷物は、いったんブラウニーたちに回収してもらって、門を出る時には収納系のアイテムは使用禁止にしてくれ。ほとんど何も持っていない状態で街の外に出れるようにしてほしい」

「それは、少し無理が無いですか?」

「言いたいことは分かるが、通行料とかで荷物の半分以上を取られるかもしれないだろ? だから、先にジェノサイドキャラバンを街の外に待機させておいて、ブラウニーたちに地下通路でも掘って、キャラバンに荷物を運ばせようと思うんだ。そうすれば、取られるのも最小限で済むだろ?」

「そう言うことでしたか。シュウ様がターゲットにされているとなれば、商会をピンポイントで攻撃してくる可能性がありえますからね。その対策として、荷物は持たずにジェノサイドキャラバンと合流ですか。考えましたね」

「考えたと言うか、自分が妨害するならどうするか、考えただけだよ。だけど、もし冤罪を押し付けられそうになったら、実力で排除してくれ。問題は問題だけど、キャラバンと合流できれば何とでもなるしな」

 他にも取ってきそうな行動に対して、対応方法を4人で考えていく。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...