ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2084話 好き嫌いは個人の自由だ!

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 庁舎で仕事を終わらせた俺は、グリエルたちに一応確認して拠点となる建物へと帰っていく。

 うん、子どもたちの元気な声がしているな。雨の音も聞こえるので、外で遊べずに拠点の中で何かして遊んでいるのだろう……にしては、楽しそうな声がしている気がする。何をしているんだろうか?

 子どもたちの声のする方へ向かうと、昨日みんなで寝た広い部屋から楽しそうな声が聞こえていた。

 何かゲームをしているような印象だな。

 …………

 〇天堂のリ〇グフィット・アド〇ンチャーを、をミーシャたちがしていた。あの子たちのレベルであのゲームをすれば、すぐに壊してしまうだろうが、ステータスを抑える腕輪をつけているので問題なさそうだ。

 あれで運動をしているのかね? 姉たちの後ろで真似をしているシンラたちの姿が微笑ましい。

 シンラたちは姉たちの真似をして遊んで、ミーシャたちは母親たちの説明を聞いて動いているので……ミーシャたちもしっかりと理解して遊んでいるのではなく、何となく動きが面白くて遊んでいるのだと思う。シンラたちは、まぁ、ミーシャたちの真似をしたがるからな。

 昼食の時間はもう少し先だから、遊んだ後にシャワーを浴びてからお風呂になりそうだな。

 少し離れた位置から子どもたちの様子を見ながら、俺はのんびりと本を読むことにした。このタイミングで邪魔するのも悪いので、楽しんでいるならそのまま楽しんでいた方がいいだろうしな。妻たちは気付いているが、子どもたちは遊びに集中していて気付いてないからな。

 手の空いていた妻たちは俺の近くに集まり、一人ひとり違う本を読みながら、今日の午前中の様子を教えてくれた。

 その際に驚いたことが1つあり、ミーシャたちが使っているコントローラーは、綾乃がミーシャたちの力に合わせて、作ってくれたものらしい。作ったと言っても、クリエイトゴーレムと魔核で、強度と柔軟性などをあげて使えるようにしてくれたようだ。

 制限する腕輪をつけているのに、そんな改造が必要だったのか気になり聞いてみたら、ミーシャたちはすせーたすを制限しても、あの程度のコントローラーなら簡単に壊してしまうそうだ。

 これはミーシャたちだけでなく、この世界の人たち全員に入れるのだが、地球に比べて全体的に力が強い。レベル10の子どもとレベル1の大人が喧嘩をすれば、レベル10の子どもが勝ってしまうことがあるくらいには、ステータスの恩恵が理不尽なのだ。

 レベルをあげるのは大変苦労するので、このくらいの理不尽があってもおかしくはないのだろう。だけど、ステータスに表せられない強さもあるし一概には言えないが、素人同士の喧嘩なら十中八九レベルの高い方が勝つというものだ。

 高いレベルの所為で、ミーシャたちは日常生活に苦労していた時期があり、制限の腕輪は本当に助かったな。いくら強いとは言っても、家族全員がこの子たちより強いから大きな問題にはなっていなかったけどね。

 制限しても、元気に遊ぶと力の加減を間違えて物を壊してしまうため、今使っているコントローラーを綾乃に作ってもらったんだってさ。他にも、ゲーム用のコントローラーも綾乃謹製らしい。俺も力加減を間違えて、いくつか壊した覚えがあるから、作ったのを思い出した。

 普通に使ってたから、カスタマイズした事忘れてた。

 それにしても、シンラたちは姉たちの真似をしているのだろうが……なんかワチャワチャしているだけにしか見えないな。

 30分ほどすると、家具の調整や鍛冶工房の棟の枠を作り終えたメンバーが戻って来て、ミーシャたちが俺が帰ってきたことに気付いた。

 鍛冶工房の棟の方は枠を作ったとしても、外である程度活動する必要があったので、それなりに濡れてしまったようだ。お風呂を使うから汗をかいているであろう、子どもたちを誘いに来てくれたみたいだ。

 あの子たちがお風呂から上がったら、昼食の時間になるかな。

 さて、今日の昼食は何かな……とっても懐かしい匂いがしていたから、日本の料理なのだと思う。1日1回は日本食を食べているのに、何でか知らないが日本料理って懐かしく感じるんだよな。今住んでいるのがこの世界だからかね? 日本じゃないから、恋しく、懐かしく感じるのかもしれない。

 シンラはいつも通り、プラムとシオンより早く出てきて、飲み物を強請ってくる。さて、食事の前の水分はどうしたものか……ここは、シルキーに確認してからだな。

 シンラを抱っこして、シルキーたちに聞きに行く。初めに発見したのはミドリだったので、ミドリに聞くことにした。

 量を飲むとご飯が食べれなくなるので、シルキー特性のスポーツドリンクを少し飲むことになった。ちょっと不服そうではあるが、ミドリに言われたので渋々我慢している感じだな。

 シルキーの中でダントツに怖いのがミドリだったりする。スカーレットは普段から厳しいが、怖いわけではない。怒られれば怖いのだが、そう言う意味では普段は温厚だけど、本気で怒っている時は俺でも恐怖を感じる。

 強さだけで言えば圧倒的に強いダマやバッハでも、尻尾が下がって股の間に入るレベルの怖さだ。メグちゃんは怒られることは無いが、シリウス君はたまに悪さをするので怒られて小さくなっている。

 ちなみにミドリが怒りだすと、周りから生きている存在が全て消える。悪戯好きのスライムも猫も、ミドリだけには絶対に悪戯をしない位には危ない。

 子どもたちもそれを分かっているので、シンラは渋々と了承をしたのだろう。

 他の子たちも上がって来て、食事が始まった。

 今日のお昼は、牛丼パーティーみたいだな。牛丼のチェーン店みたいに大量に作って、トッピングを楽しむように食事をするようだな。種類を食べれるように、小さいどんぶりも準備されていた。

 シンラたちでも、3種類くらいは楽しめるであろうサイズの物と、御茶碗ほどのサイズと通常の物が揃っていた。今日は体を動かしていないが、午後は色々と疲れると思うので、通常サイズで3つ位は食べれるかな。

 地球にいたときには、大盛り1杯でお腹いっぱいだったことを考えると……大分大食いになったな。

 家の牛丼の玉ねぎは、シャキシャキの少し煮込まれた玉ねぎと、つゆをたくさん吸ってしんなりした玉ねぎの2つが準備されている。個人の好みがあるので、シルキーたちが両方準備してくれている。

 個人的には、つゆを吸ってしんなりしている方が好きなので、そちらを注文する。

 1つ目は……まだ食べたことの無かった、マヨ明太のトッピングだ。牛丼にマヨネーズはどうなのかと思ったが、食べてみて分かった。好きな人はとことん好きな味だと言うことが……個人的な話なら、シンプルに七味をかける方が好きだな。

 2つ目は……俺の王道、とろろのトッピングだ。でも、今日はこれにオクラもトッピングしてみた。とろろのトッピングは好きだけど、俺はシンプルなのが一番好きなのかもしれないな。

 3つ目は……さっぱり食べたかったので、おろしポン酢のトッピング……これはあまり期待していなかったのだが、正直美味い。さっぱり食べるのには向いているな。夏場の熱くて食欲の落ちている時なんかはいいかもしれん。

 あ、俺は、紅ショウガ反対派です。異論も反論も認めますが、派閥を変えるつもりはありません! だから君たちよ、自分のこの身を押し付けてくるのは止めなさい。牛丼には無限の可能性があるから、個人でそのおいしさをかみしめてください。

 俺は、紅ショウガが嫌いなわけではなく、牛丼の味が紅ショウガに侵食されるのが嫌いなだけです。そう言う意味では、マヨ明太は主張が激しかったな。とろろはオクラもトッピングした所為で、主張が強かった。おろしポン酢は、ポン酢のさっぱり感が良かったかな。

 俺の好みを最終的に考えるなら、シンプルに七味だけがベストなのかもしれないな。

 そんなことを考えている俺の向かいでは、シュリが15杯目のどんぶりを積み上げていた。
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