ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
2,177 / 2,518

第2177話 起きるのも一苦労

しおりを挟む
 朝、目が覚めると、窮屈だった……体のあちこちが圧迫されており、少し呼吸も苦しいが、抱き枕のように抱いている人は……多分ミリーだな。

 昨日の事を思い出そうとして、少し頭痛がする。あまり飲んでいないつもりだったが、久々に飲んだにしては量が多かったのかもしれないな。回復魔法をかけて、状態を和らげる。

 昨日はプールでお酒を飲んだ後、ミリーと一緒にみんなが寝ている部屋に戻ったんだったな。子どもたちは、7人で集まってその周りにケットシーたち等、子どもたちにつけている従魔たちが寝てたんだっけな。

 妻たちも半分ほど寝ており、残りの妻たちは小さな声で窓際で話していたのを覚えている。

 そのまま酔っぱらって俺は……あ~空いていたベッドの隙間で、ミリーを抱きかかえて寝たんだっけ? 違うな、腕枕というよりは俺も抱き枕にされているから、抱きかかえられてというべきか? 抱き合ってが正しいかな?

 俺は腰の位置に手を回しているが、ミリーは両腕で俺の頭を抱き抱えているような状態なので、起きることは出来ない。それに、後ろからも誰かが抱き着いており、俺のお腹に手を回し、首の後ろあたりに顔があるようで、首の後ろがこそばゆい。

 たまにスンスンと俺の首のあたりのニオイを嗅いで、フフフとか言っているので、どんな夢を見ているのか心配になってくる。でも笑い声で、後ろにいるのはライムだということが分かった。

 何でライムが抱き着いているのかは分からないが、こちらも寝ているので身動きの取れなくなっている一因だな。その他にも、寝息が聞こえているので、近くにかなりの数の妻たちが寝ていると思われる。

 少し離れた場所で、シンラのくしゃみが聞こえた。それにビックリしてプラムとシオンの声が聞こえるが、すぐに静かになった。体制は違うだろうが、俺とシンラって挟まれて寝てるな。まだまだ幼いし、姉妹だから俺たちとは違うけどな。

 みんなが起きてないってことは、目が覚めるのが早かったってことだよな。なら二度寝でもするか。少しもぞもぞして、体勢を整えるとすぐに夢の中に入った。

 頭を叩かれる感触で目が覚めた。

 あまり大きくない柔らかな物で叩かれている。しかも複数。感覚的に3つかな?

 前後の感触も残っているので、ミリーとライムが近くにいるのは分かっている。それ以外は、良く分からないな。でもこの状況を考えると、子どもたちの誰かに頭を叩かれているのだと思う。

 1つは黙々と叩いている感じで、残りの2つは力強く叩いている。クスクス笑っている声が聞こえてくるので、何人かは近くでこの様子を見ているのだろう。

 そして、ウルやミーシャたちは頭を叩くなんてことはしないので、下の子3人だろう。ミーシャたちのする過激な起こし方は、近くに俺以外がいるとできないからな。それに、あの過激な起こし方はいつの間にかしなくなっていたから、今こうやって起こすのは下の子たちだけだな。

 後頭部に近い方を叩かれているので、急に手に噛み付くような仕草はできない。子どもたちを驚かす方法がないかと考えていたが、

「シュウ君、起きたんでしょ? 変な悪巧みしないでおきなさい」

 俺が起きたことに気付いていたミリーは、起きるように促してきた。どうしてばれたんだろうな? 多少動きはしたけど……寝息なんかで誤魔化せなかったのかな?

 抱き着いているミリーから離れようとしたが、

「起きるにもこの状態じゃ起きられないんだが?」

「おとー、起きる!」

 シンラの声が聞こえると、一番優しかった叩く感触がどんどんと強くなってくるのが分かる。

「もう起きてる起きてる。叩くのは止めてくれ。ってか、何で俺はシンラたちに叩かれて起こされたんだ? ミリーたちが目を覚ましてるなら、ミリーたちが起こしてくれればいいのに」

「じゃんけんに勝った!」

 何人でじゃんけんしたのか分からなかったが、シンラが勝ったのになんでプラムとシオンも叩いてるんだ?

 そんなことを考えていると、後ろから抱き着いていたライムが離れたので、叩く手を意識して……体を回転させ3人のうち誰かの手に噛み付こうとした。

 狙いをめがけて、歯をたてないようにガブリッ!

 としようとしたが、ミリーが回転した俺を元に戻すようにまた俺の事を抱きかかえた。無理にやれば首だけ愚きっとなるはずなのだが、そんなことは無く良く分からない間に体が元の位置に戻っていた。

「シュウ君、悪戯したらまた子どもたちにいろいろ言われるよわよ。そういう事はしないのっ」

 怒られてしまった。これだけ叩かれてるんだから、少しくらい悪戯しても良くない?

「そんなことしてると、朝食に遅れてまた怒られることになるけど、良いの?」

 そう言えば、前にもシンラたちにいたずらして、拗ねられて機嫌を直してもらうのに時間がかかって、食事の時間に遅れたことがあったな。それは拙い。早く起きねば!

 ミリーの腕をどかしてから体を起こす。俺が起きても、なんかのゲームだとでも思っているのか、プラムとシオンのペチペチ攻撃が止まらない。起きて頭が無くなったので、今度は一番近くの腰のあたりを叩いてくる。

 この子たち程度の力なら痛くもないんだけど、少しやられた振りをして……理だdつしようとしていたシンラも一緒に捕まえて抱きかかえる。

 そのまま立とうと思ったが、3人の体が思ったより大きくなっており、抱きかかえて立つのが少し難しかった。それなら、スライムを呼んで、1人ずつ乗せて完成。

 初めはミーシャたちがやっていたスライム乗りだけど、大きくなってからはやっておらずシンラたちに引き継がれたんだよな。体の大きさを考えると、ミーシャたちはスライムに乗るには、少し大きくなりすぎた。

 妻たちに挨拶すると、久しぶりにおはようのキスを求められたので、口をゆすいでから求めてきた妻たちに、軽くキスをしていく。これするとさ、自分がタダの変態なのではないか? といつも思うんだよな。

 自分の考えの根本を作る年代を日本で過ごしたためか、今だにこういうのに馴染めていない気がするな。妻たちは満足しているようなので、たまにしているが……とっかえひっかえ節操なくキスをしているような状況だからな。

 日本だったら、男に呪い殺されるか、女に刺されて殺されるかもしれないな。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...