ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第2426話 一抹の不安と昔話

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 SSランク冒険者が、ダンジョン襲撃をしてくれることになったので、俺たちがする必要が無くなった。SSランク冒険者が失敗すれば、俺たちがしなければならないから、失敗するんじゃないぞ。

 そうんなことを考えながら、得た情報をまとめておく。

 些細な事でもまとめておき、しっかりと伝えておくことで、事故の確率を減らせれば御の字である。

 一番最悪なシナリオは、ダンジョンの中が快適で、SSランク冒険者が寝返って敵に回ることなんだよな。

 一目見て、その良さが分かるものではないだろうが、ある程度時間をかけてしまうと……生活が快適でこの世界の街では、生活できなくなるかもしれないんだよな。

 敵に回るようだったら遠慮はしないけど、SSランク冒険者は素行が良いやつらが多かったはずだから、一度クエストを受ければ最後まで成し遂げてくれるはずだ。

 得られた情報は多くないが、必要な情報……相手の使う毒や麻薬の話はしておかないと、トラップに引っかかって終わる可能性があるから、調べた特性をしっかりと書き込んでおこう。

 俺たちが書ける情報が無くなったので、後はレイリーたちに任せることにした。



 バザールは、拷問の手伝いを続けるようなので、俺と綾乃で敵の監視をすることになった。

「しばらくは、敵に動きは無いと思うけど、次はあるのかね」

「拷問して得た情報からは、敵軍の大きさが全く分からないのよね?」

「そうだな~。自分たち以外にも、戦闘できる集団がいるということは知っているようだけど、実際にあった事はないらしいから、それが事実なのかもわからないんだよな。仲間にまで隠しているのは、今回みたいなことを想定してなのかね?」

「どうなのかしらね。ただ単に、自分たち以外にはいないけど、知られたくないからいるように思わせていた……って言う可能性も、ゼロじゃないでしょ?」

「ゼロじゃないけど、無いんじゃないかな。だって、ダンジョンでいくらでもレベリングできる環境があるから、養殖すること自体は簡単だと思うから、戦力がいるにはいると思うけど……その規模が予想できないのがな、難点なんだよな」

「ここまで情報が無かったことって、今までになかったのよね。情報がないって、本当に厄介ね」

「これより情報が少ない事は……2度あったかな。両方とも、フレデリクって言う俺がこの世界に来て初めての街であった事だな」

 全くの情報がゼロってわけじゃなかったが、ほとんど情報が無いに等しい状況だった。レベルも今ほど高くなく、一歩間違えれば死んでもおかしくなかった……

「いや、死にそうになったことも含めれば、3回になるな。フェンリルの討伐と王国の奴隷兵の襲撃、最後が聖国から攻めてきたSSSランク冒険者の3回だな」

「そういえば、聞いたことがある話ね。特にSSSランク冒険者は、かなり危なかったんだっけ?」

 フェンリルも王国の奴隷兵も危なかったけど、隠し兵器を準備しておいたから何とかなった面はあるよな。備えあれば憂いなしってか。

 だけど、SSSランク冒険者の時は、使っている暇がなかったか効果がなかったかは忘れたが、死にかけたのは間違いないけど、チビ神が体を改造してくれて、何とか穴に落としてメグちゃんに殺してもらえなければ、本当に危険だっただろうな。

 今戦っても、勝てるか分からんだろうな……それだけ良く分からない能力だったからな。

「そんなに危険だったのね。死にそうになったって意味では、もう1回あるんじゃなかった。油断して狙撃されて、奥さんたちが城を半壊させたんじゃなかったっけ?」

 あ~あったな。俺自身は魔法薬で治療されただけだから、意識がない間にすべて終わっていたから、あれはあまりピンとこないんだよな。

 まぁ、戦闘をしてって意味では、この3回がヤバかったな。どれも、相手の方が確実にこっちを上回っていたからな。今思い出しても、少し震えるわ……

「まぁ少なくとも、今回派遣された軍が敗北したことを知らない限り、追加の兵力が出てくることは無いと思うけど、それがどのタイミングで発覚するかだな」

「念のため、あいつらが野営しようとしてた証拠を、消して置かなくてもいいのかしら?」

「……ふむ。確かに発見を遅らせるという意味では、有効な手段だな。移動してきた痕跡も途中まで消しておくか」

 ダンジョンマスターの能力を使って、大人数が移動した痕跡をきれいさっぱり消してゆく。

「あっ、そういえば、あの軍隊ってどうやってダンジョンと連絡を取っているんだろうな?」

 無線のような物を使っていた形跡はないが、どうやって情報のやり取りをしていたのだろうか? レイリーとバザールに、追加で引き出してほしい情報として、お願いしておいた。

 その結果は、予想以上に早く得られたようだ。

 20分もしないうちに、連絡手段は少数の部隊を移動させて、連絡係のようなことをさせていたようだということが分かった。なんというか、原始的な伝令方法だな。

「なんか、原始的ね」

 綾乃も俺と同じ感想だけど、俺はその方法をとることに心当たりがある。

「多分、ダンジョンの中と外を繋げられてないんじゃないか? 全部のダンジョンがそうではないけど、無線が通じないダンジョンがあるんだよな。ダンジョンマスターが作るダンジョンでは少ないと思うけど、鉱石が多いところで作るとなりがちな現象だ」

 ダンジョンによっては、階層間を電波が跨げなかったりするんだよな。強固な壁の判定がされて、電波が通らなかったりな。

 多分、敵性ダンジョンマスターは、あのダンジョン以外にほとんどダンジョンを作った事がないんだろうな。電波の通り道を作ったり、ケーブルを外まで伸ばせば、無線で連絡を取れるようになるけど、そこまで頭が回らなかったんだろうな。

 この連絡方法なら、報告がなくて向こうがじれて探さない限りは、こっちは平和でいられるかな?

 その時間はどのくらいだろうか? 1週間? 2週間? それとも1ヶ月?

 どのくらいの余裕があるか分からないが、それまでにSSランク冒険者が来てくれることを祈ろう。
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