ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
2,511 / 2,518

第2511話 少しは調子が戻ったか?

しおりを挟む
 探索から戻ると、子どもたちの元気な声が聞こえてきた。

 やはり、俺では限界があったな。こういう時はやはり、姉弟や母親の方がいいんだろうな。悲しいけどしょうがない事だろう。別に嫌われているわけでもないから、良しとしよう!

 部屋に戻れば、ディストピアの家にいた時とは違い、シンラ・プラム・シオンがこちらに向かって走って来て、足に抱きつきこちらを見上げている。

 その様子が可愛かったので、3人の頭を撫でてしまった。

 プラムとシオンが目を細めている姿を見ると、ミーシャたちと血が繋がっていると感じるな。同じ年位の時に頭を撫でると、こんな顔をしていた気がする。今でもたまにこんな顔をするっけな?

 最近は恥ずかしいのか、顔を伏せてしまうから俺の視線からだと見えないんだよな。しゃがんだ時にでも、頭を撫でてみようかな?

 遅れてミーシャたちがやって来て、シンラたちを回収……抱きかかえてくれた。俺が疲れていると考えたのか、下の子たちを離してくれたのだろう。優しい子たちだな。

 ミーシャたちは状況を理解してくれているんだろうな。向こうでは、まだ1日過ぎてはいないはずなのに、しっかりと状況把握ができているとか、天才なのではないだろうか?

 そんなことを考えていると、バカな事考えないでしゃっきりしてくださいって突っ込まれてしまった。

 やはり俺の思考は家族に簡単に読まれてしまうようだ。ドッペルを介しても俺の思考が読まれるということは、スキルなどの効果ではなく、単に家族だからバレやすい何かを持っているということだな。

 ミーシャたちは、シンラたちを抱えたところで、重く感じることはない。この子たちは、100キログラム位であれば、簡単に持ち上げてしまうくらいのステータスがあるからな。

 前を向いたまま抱かれているのはシンラだけだが、プラムとシオンはスミレとブルムにラッコのように抱き着いている。シンラの事も好きだけど、姉の事も好きな子たちだからな。

 いつもの様子のまま夕食になるかと思ったら、今日はいつもと違った感じの食事風景となる。

 昨日の夜は、シンラたちが食事を戦争のように料理を取り合わずに、昔のミーシャたちみたいに今日あった事を3人が同時にしゃべる感じだ。

 なんか懐かしさを覚えるし、ミーシャたちも優しい表情で聞いている。

 ミーシャたちは、シンラたちが生まれてお姉さんになったと思ったけど、今の様子を見ていると大分変った気がする。お姉さんなんだけど、一足先に大人になってしまったような印象を受ける。悪い意味ではないので、成長を感じる。

 食事が終わると、ミーシャたちがシンラたちをお風呂に入れてくれるようで、お風呂へ連れて行ってくれた。ライラとマリーも一緒についていったが、ピーチだけはここに残っている。

 どういうことか気になっているとすぐに理由が判明する。

「まずはディストピアの家の件なのですが、ミーシャちゃんたちがいる場所に、DBSを搭載したお風呂場と食堂、トイレを準備してもよろしいでしょうか? 憑依する場所は通常の場所で行い、お風呂と食事、トイレはこちらの時間に合わせる形ですね」

 お風呂と食堂とトイレは、ミーシャたちが向こうに戻って行動しないといけないので、あまり時間をかけ過ぎると向こうとこちらの時間がズレすぎてしまうので、憑依する場所以外はDBSに変えてしまいたいようだ。

 でもさ、俺に聞く必要あるんかそれ? バザールの本体も向こうにいるし、四大精霊たちも今回はかなり動いているって話だし、そいつらに頼めばいいんじゃないか? 俺に言ってもここからは元の世界をいじれないから、俺に言う必要なくね?

「始めは四大精霊の方たちに頼んでいたのですが、目的とは違う部屋にDBSを搭載させると、通常の10000倍以上のDPが必要だったので、確認をさせていただいています」

「こっちで10000倍は無いけど、向こうだったらいくらでも使っていいだろ。DPなんていくらでも入ってくるんだからさ。いざとなれば、バザールが作りためておいたアダマンタイト製の武器を還元してくれるから、気にせずに使っていいぞ」

 大量にDPが必要だから、許可を取りたかっただけだったな。別に俺に聞かなくてもいいのにな。1割くらい残っていれば、使うのには十分な量だし気にする必要はないのにな。

 こっちで手伝ってくれるミーシャたちの負担を減らせるなら、その100倍だろうがかまわんからな。妻たちの使う部屋にもDBSを置きたかったら、許可出すから気にせずにDPを使ってくれ。

 バザールには、DPを分け与える形と、あいつが管理しているダンジョンから得られるDPしか操れないので、ここは四大精霊たちに任せるのが一番だな。あいつらには制限がかかっていないから、特殊な能力以外は全部解禁されている。

 この話はすぐに終わったので、俺も子どもたちを追いかけてお風呂に入ることにした。

 お風呂場に到着すると、変な光景を目の当たりにする。

 シンラが1人で太々しく座っているのだ。体も洗わずにスライムたちを纏わりつかせた状態で、どっかりと座っている。

 何をしているのかミーシャに聞いてみると、俺が来るのを待っていたらしい。

 姉たちじゃダメだったのか? とシンラに聞きながら頭を洗っていると、来る気がしたからおとーに任せると言われたわ。姉たちに面倒なことをさせずに、俺に面倒なことを押し付けたかっただけのようだ。

 なんとも面倒に育ってしまったものだ。

 その内一人で入れるようにならんと、プラムとシオンに全身洗われることになるぞ、などと思いながら髪の毛の泡を落としてやる。

 その時に一瞬ブルッとしていたが、寒かったのだろうか? まさか、ここで小便をしてないよな……子どもだからあり得るか? 一応綺麗に流して、スライムたちにコッソリ綺麗にしておくように命令する。

 その後は、いつもと変わらず、スライム風呂とも呼べるものに浸かったシンラは、おっさんのように太い声を出していたな。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョン作成から始まる最強クラン

山椒
ファンタジー
ダンジョンが出現して数十年が経ち、ダンジョンがあることが日常となっていた。 そんな世界で五年前に起きた大規模魔物侵攻により心に傷を受けた青年がいた。 極力誰とも関わりを持たずにいた彼の住んでいる部屋に寝ている間にダンジョンが出現し、彼はそこに落ちた。 そのダンジョンは他に確認されていない自作するダンジョンであった。 ダンジョンとモンスターにトラウマを抱えつつもダンジョン作成を始めていく。 ただそのダンジョンは特別性であった。 ダンジョンが彼を、彼の大事な人を強くするダンジョンであった。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...