チルアカ

藍色綿菓子

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外出

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「マリアがね、いろんな魔法を見せてくれるんです」
「私の方がすごい魔法使えるし……」
「見せてくれないなら無いのと同じですよ」
「今度の休みに見せるからね」
「楽しみにしてます」
 アルバートが大人げない張り合いをしてくる。今日の食事は謎のスープにパンとケーキ。ケーキ! 辛かったりしない? と思って先にケーキを食べてみた。ちゃんと甘い。ベリー系の酸味を感じる。美味しい。ケーキを確保してスープとパンを食べる。他にも紫の魚やらなにやら色々皿は食卓にあるが、私の食べるものではないという認識にある。
「町に雑貨屋や菓子屋があるんですって」
「マリアは余計なことしか言わないな。町か」
「町。行ってみたいなぁ! どんなところでしょう。私の住んでたところとは違うんでしょうね」
 久々に頭が痛んだ。最近はマリアの話ばかりして、元の世界を思い出すことが減ってきていたことに今気がついた。
「町ね。行こうか? 今度の休みに」
「えっ……」
 マリアと行ければ、という話だった。私にとっては。マリアと出かける外出許可が欲しい……今そんなこと言ったら絶対へそを曲げる。この返事はイエスの他ない。そして後日マリアとも出かけよう。そうしよう。

 黒いフードをすっぽり被って顔は見えない。目元にうっすらと透ける紫の布が垂れ下がる。アルバートも私も、同じ装束をまとっていた。お忍びで行くらしい。領主だもんね。顔知られてると人とか集まるか。
 馬のような生き物にアルバートは華麗にまたがる。角の生えた馬のような生き物は前足を獰猛に振るった。アルバートが私に手を伸ばす。足を置く金具に足をかけて、彼の手を取って、どうにかのぼろうと頑張ったけど上手くいかない。馬の身長高い。ちょっと揺れるし、馬の機嫌も悪くなってきている気がする。車が欲しい。あぁ、頭が……。
「しかたないな」
 アルバートが苦笑した。両腕をこちらに伸ばす。彼は大きく屈んで私を脇の下から抱きかかえた。花のような香りが鼻腔をくすぐる。近すぎる距離にドキドキした。抱き上げられて馬に乗せられる。背中にアルバートの低い体温を感じる。
「なんか、やです」
 アルバートは困ったように笑っていた。「なんか嫌ってなんだよ」俯く。
「恥ずかしい?」
 相手の顔が見れない。あえてそらし続けてやった。
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