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真相・前編
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私がこの世界に来た時。あの瞬間を、アルバートは二度繰り返していた。槍で囲まれていたのは、再現だ。あの時は確か、アルバートに謁見している誰かがいて、突然現れた私に周囲は皆呆気にとられながら警戒していた。どうやら異世界からやってきたとわかった時に、アルバートは言った。「いらっしゃい」「可哀想に」
「よりにもよってこの私のところに来るなんて、災難と言う他ないのではない? せいぜい生き延びてごらん」
酷く意地悪く微笑んでいた。悪魔のように。あの角や鋭く磨かれた爪がよく似合う性悪の顔をしていた。二度目のアルバートには無いものだ。
客人扱いはされなかった。私は使用人に混ざってメイドをしていた。しょっちゅう同僚に水をかけられたり、小突かれたりと、人間は魔族に嫌われていることを認識した。重い水を繰り返し運んだ日の嫌がらせで、食事が粗末な豆のスープだけだった時は悲しくて泣くかと思った。
でも私は泣かなかった。泣いたのはもっと後。使用人時代は、殺されるまでは笑顔で乗り切ろうと決めていた。時々はちあうアルバートにも、意地でも笑顔を見せ続けた。気味悪そうに遠巻きにされたのは最初だけ。冷たい無視に慣れた頃、アルバートは私に声をかけるようになった。
「ナツミは私が怖くはないの」
なんて返事をしたのか覚えていない。媚びを売るようなことを言ったかもしれない。有力者に好かれておこうという打算が働いた気がする。そしたら楽に生きていけると思っていた。
いつしか屋敷から、私をいじめた人達が姿を消した。
私の食事だけ豪華になった。
自室に帰ると、見慣れない贈り物がある。
ある夜アルバートに呼び出された。私はまだ使用人の服を着ていた。
彼の自室は広かった。重い色の家具が多い。お茶ができるスペースがあるのは、今の私の部屋と同じ。アルバートは機嫌良く酒をあおっていた。
「よく来たね」
この頃にはもう彼の私に対する態度は軟化していた。とはいっても、時折凶悪な素顔を見せることもあった。今のように塗り固められた優しさのみではない。その夜もそう、「試してみよう」と本人が言っていたとおり、遊び半分な気持ちだったのだろうと予想がつく。
試し……何をって、そう、セックス。
強引で無理矢理な行為だった。私は泣きながら処女を無くした。泣けば泣くほど彼は嬉しそうで、「領主様」と呼ぶ言葉を名前で呼ぶように強制した。その日から「アルバート」と呼ばなければいけなくなってしまった。
屋敷で彼を名前で呼び捨てる人物はいない。私以外にはいなかった。
何が気に入ったのかその日を境に、私の生活はおかしくなる。どこからずれてしまったのか。仕事を終えて部屋に戻ると、アルバートがいる。謎の贈り物がどんどん増えていく。使用人服が見当たらなくて、一人で着られないドレスをあてがわれた。同僚だった子達に着付けてもらう複雑な気持ち。
狭かった自室が他人に使われていて、新しい部屋として案内されたのが今のあの部屋。天蓋付きのベッドだなんて、雑談で少し憧れを話しただけだったのに。
「よりにもよってこの私のところに来るなんて、災難と言う他ないのではない? せいぜい生き延びてごらん」
酷く意地悪く微笑んでいた。悪魔のように。あの角や鋭く磨かれた爪がよく似合う性悪の顔をしていた。二度目のアルバートには無いものだ。
客人扱いはされなかった。私は使用人に混ざってメイドをしていた。しょっちゅう同僚に水をかけられたり、小突かれたりと、人間は魔族に嫌われていることを認識した。重い水を繰り返し運んだ日の嫌がらせで、食事が粗末な豆のスープだけだった時は悲しくて泣くかと思った。
でも私は泣かなかった。泣いたのはもっと後。使用人時代は、殺されるまでは笑顔で乗り切ろうと決めていた。時々はちあうアルバートにも、意地でも笑顔を見せ続けた。気味悪そうに遠巻きにされたのは最初だけ。冷たい無視に慣れた頃、アルバートは私に声をかけるようになった。
「ナツミは私が怖くはないの」
なんて返事をしたのか覚えていない。媚びを売るようなことを言ったかもしれない。有力者に好かれておこうという打算が働いた気がする。そしたら楽に生きていけると思っていた。
いつしか屋敷から、私をいじめた人達が姿を消した。
私の食事だけ豪華になった。
自室に帰ると、見慣れない贈り物がある。
ある夜アルバートに呼び出された。私はまだ使用人の服を着ていた。
彼の自室は広かった。重い色の家具が多い。お茶ができるスペースがあるのは、今の私の部屋と同じ。アルバートは機嫌良く酒をあおっていた。
「よく来たね」
この頃にはもう彼の私に対する態度は軟化していた。とはいっても、時折凶悪な素顔を見せることもあった。今のように塗り固められた優しさのみではない。その夜もそう、「試してみよう」と本人が言っていたとおり、遊び半分な気持ちだったのだろうと予想がつく。
試し……何をって、そう、セックス。
強引で無理矢理な行為だった。私は泣きながら処女を無くした。泣けば泣くほど彼は嬉しそうで、「領主様」と呼ぶ言葉を名前で呼ぶように強制した。その日から「アルバート」と呼ばなければいけなくなってしまった。
屋敷で彼を名前で呼び捨てる人物はいない。私以外にはいなかった。
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