英霊召喚 ~ハズレと呼ばれた召喚魔法で、過去の大賢者を召喚して史上最強~

向原 行人

文字の大きさ
87 / 343
第5章 新たな試練

第87話 回想……Wだっこ

しおりを挟む
 いつもの小部屋でジェーンとユーリヤを連れて移動し、空間収納魔法で聖銀を取り出した上で待って居ると、少ししてフローレンス様が現れた。

「すみません。お待たせいたしま……」

 あれ? フローレンス様が扉のすぐ傍で固まったぞ?

「フ、フローレンス様?」
「ヘンリー。私という者がありながら、待って居る短時間で子供を作って、しかも産ませるなんて……」
「フローレンス様、落ち着いてください。僅か数分で子供は産めませんよ!」
「じゃあ、最初からジェーンのお腹に居たの!? 酷い! 私を騙したのね!?」
「いえ、騙すも何も……第一ユーリヤは赤ちゃんじゃないですし」
「……コホン。さて、ヘンリー。冗談はこのくらいにして、この子と貴方の関係を説明してくれるわね?」

 随分と長い沈黙の後、フローレンス様が椅子に腰かけたけど、この一連の会話はボケだったのだろうか。それともマジだったのだろうか。
 流石にボケだと思いたいのだが。

『……仮にボケだったとしても王族相手に突っ込む訳にもいきませんし、ここは聞かなかった事にしておきましょう』

 アオイのアドバイスに従い、一旦ユーリヤの事は置いておく事にする。

「フローレンス様。第三王女直属特別隊として活動していた聖銀探索ですが、見事持ち帰る事に成功いたしました」
「凄いわ。流石、ヘンリーね。で、その子は?」

 あ、あれ? フローレンス様のリアクションが随分と薄いんだけど。
 もしかして、さっきの会話はボケじゃなくて、マジだったの?

「それで、聖銀が採れる洞窟の最終階層にドラゴンが居たのですが、その……対話? している過程で随分と仲良くなりまして……この姿に変身してついて来ると」
「……えっと、ちょっと待ってね。聖銀を守るドラゴンが女の子に変身して、ヘンリーについて来たって事?」
「その通りです」
「……ホントに?」
「本当です」
「……隠し子とかじゃなくて?」
「あの、俺は未だ十五歳なんですけど」

 よりにもよって隠し子って。
 そもそも俺は、子供を作るような事すらした事がないんだよっ!

「ユーリヤ。フローレンス様にご挨拶して」
「わたしユーリヤ」
「えっと、人語も理解しているんですが、この通り断片的にしか話せないので、ご容赦ください」

 ジェーンの時は割と普通だったのに、ユーリヤがフローレンス様から逃げるように俺の後ろへ隠れてしまった。
 ……あ、もしかして、周囲に土が無いと落ち着かないのかな? 元はアースドラゴンだし。

「ふぅーん。ドラゴンが人間の女の子にねー……それで、その子はこれからどうするのかしら? 王宮で保護した方が良い?」
「そうですね。俺も学校がありますし……ユーリヤ。フローレンス様の居るこのお城で暮らすかい?」

 ユーリヤの小さな頭に手を置き、柔らかい髪の毛を撫でながら聞いてみると、

「にーにもいっしょ?」
「いや。俺は違う所に居るんだけど、いつでも会いに来れ……」
「やだっ! ユーリヤ、にーにといっしょ!」

 ある程度予想はしていたけれど、全力で拒否され、俺の脚に抱きついてくる。

「あらあら、ヘンリーってばモテモテなのね」
「あははは……懐かれました」
「仕方ないわね。学校を卒業して正規に仕官したら、ヘンリーも学校寮を出る訳だし、それまで待っておくわ」

 ……フローレンス様は何を待つと言っているのだろうか。
 若干聞いてみたい気もするけれど、何となく怖いのでやめておこう。

「フローレンス様。このユーリヤなんですが、実は色々あって親と逸れてしまったんですけど、アースドラゴンの目撃記録とかってありませんか?」
「私は知らないけど、宮廷魔術士に聞いてみたらどうかしら? 後で断っておくから、後日宮廷内の資料庫へ行ってみると良いわ」
「おぉ、凄い。宮廷の資料庫を閲覧出来るんですか!? ありがとうございます」

 宮廷の資料庫は、禁書とされる魔導書なんかもあったりして、簡単に入れるものでは無いはずだ。
 ユーリヤの親の情報はもちろん調べるが、他にもいろいろ漁ってみたい。まぁ今日言って、すぐに入れる訳では無さそうだけど。

「あと、最初に申し上げた聖銀の事なんですが……」
「……あ、うん。そう、聖銀よね、聖銀。ヘンリーは流石よね。魔族を倒す為――国民を守る為に尽力してくれて本当にありがとう」
「あ、いえ。お褒めの言葉をいただき、ありがとうございます」

 ……うん。これ、最初に聖銀の事を報告した時、フローレンス様は全く聞いて無かったな。

「えーっと、この聖銀なんですが、魔族を倒す武器を作る為に利用していただければと考えています。そこで、腕の良い鍛冶師を紹介いただければと思いまして」
「なるほどね。では、私の名の下に、鍛冶師ギルドへ最高の鍛冶師を紹介するように伝えておきましょう」
「そうですね。貴重な材料ですので、超一流の鍛冶師に鍛えていただければと思います」
「ヘンリー。一先ず、第三王女直属特別隊の報告としては以上かしら?」
「はい。そうですが」
「そ、そう。じゃ、じゃあ、少しだけ……少しだけヘンリーと二人切りにさせて欲しいのだけど」

 こ、これは、もう一つの任務――お姫様抱っこや頭なでなでをやらされるパターンか!?
 だが、久しぶりと言えば久しぶりなので、仕方がないか。

「ジェーン。悪いんだけど、ユーリヤを連れて、少しだけ席を外してくれないか?」
「畏まりました。ユーリヤちゃん、少しこっちへ来……」

 ジェーンがユーリヤへ話しかけると、

「やだー! にーにといっしょ!」

 ユーリヤが子供の様に駄々をこねる。
 ……いや、ユーリヤは見た目通り子供なんだけどさ。

「あー、さっきの王宮で暮らす話が不味かったのかも。……ユーリヤ、俺はお姫様とお話するだけだから。少しだけお姉ちゃんと待っていてくれないかな?」
「やだー! にーにといっしょー!」

 困った。ユーリヤが俺の脚にくっついて離れようとしてくれない。

「フローレンス様。いかがいたしましょうか?」
「むぅ……分かった。その幼女は残る事を許しましょう」

 え? そう来るのか。
 てっきり、もう一つの任務を諦めると思ったのに。

「ジェーン。すまない、少しだけ外で待っていてくれるか?」
「畏まりました。では、私は部屋の外に居りますので」

 ジェーンが部屋を出た途端、

「ヘンリー! もうっ、寂しかったんだからー!」

 フローレンス様が俺に抱きつき、強制的にお姫様抱っこをさせられる。

「にーに、だっこ! だっこー!」

 それを見たユーリヤにまで抱っこを強請られ、フローレンス様とユーリヤを抱っこしたり頭を撫でたりと、いつもの二倍頑張らなければならなくなってしまった。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

処理中です...