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第5章 新たな試練
第91話 司書係シャロン
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フローレンス様に案内され、王宮の地下にある資料庫へやって来た。
「先程説明した通り資料は自由に閲覧可能となっているわ。とはいえ一部制限もあるけれど、その辺りは司書係から説明がありますから」
「分かりました。ありがとうございます、フローレンス様」
フローレンス様に礼を告げると、資料庫の入口で固まって居る小柄な茶髪の少女に目を向ける。
王族のだというのにフードを被ったままなのだが、フローレンス様も気にしている様子は無いし、もしかしたら何か事情があるのかもしれない。
一先ず、俺からも触れないでおこう。
「えっと、貴方が司書係さんですか?」
「……ひゃ、ひゃいっ! わ、私が資料の管理をま、任されているシャロンですっ!」
随分とオドオドとした女の子だなと思いながら、資料庫の説明を待って居るのだが……落ち着きなくキョロキョロと周囲を見ては、時折俺の顔を上目遣いで見てきて、また周囲に目をやるだけで、全く説明をしてくれない。
「あの、資料庫の説明をお願いしても良いですか?」
「ふぁっ、ふぁい! す、すみません。えっと、ヘンリーさんは正式な仕官前の学生さんなので、本来は資料庫に入れません。ですがフローレンス様のご依頼により、第一資料庫が特定条件下で閲覧可能となっています。しかし、第二資料庫以降は立ち入り不可となっていますので、注意してください」
「特定条件下といのは?」
「その、私が傍に居る事です」
「えっ? それってつまり、どんな資料を調べようとしているのか、逐一チェックするという事でしょうか?」
「あ、いえいえいえ。そういう意味ではなくて、資料の中には魔法の本などもあるので、何かあった場合に対応出来るようにするため、私と居る事が条件となっているんです」
魔法の本か。確かに、知らずに開いた途端、何らかの罠が発動したりしたら困るな。
というか、資料庫ってそんな本まであるのかよ。
だったら、俺が閲覧不可な第二資料庫以降には、どんな物があるんだよ。
「では、早速資料を見せていただきたいのですが、そのシャロンさんは俺に付きっきりで他のお仕事とか大丈夫なんですか?」
「だ、大丈夫ですよ……いつも暇ですし」
いつも暇なのかよ。
この人の仕事って一体何なんだろう。
重厚な扉を開けて貰い、中へ入ると見渡す限りの棚だった。
シャロンさん曰く大半が書物で、一部それ以外の物となっているらしい。
一先ず、ドラゴンに関する情報を纏めている棚があると教えて貰い、その場所へ。
「えっと、ドラゴンとの接触情報については、ここから、ここまでの資料に載っているかと」
「う……結構ありますね」
「建国時からずっと綴られていますから。あ、あの……良ければ私もお手伝いしますよ?」
「では、アースドラゴンの目撃情報について調べて貰えますか?」
「り、了解です。何か見つけたら、声を掛けますね」
シャロンさんにも手伝って貰い、早速示された資料を端から目を通そうとすると、
「にーに。ユーリヤは?」
「えっと、ユーリヤも手伝ってくれるって事?」
ユーリヤが手伝うと言って、小さな頭をコクコクと縦に振る。
「ユーリヤって、人間の字は読める?」
「……わかんない。でも、ユーリヤのもじは、ちょっとわかる」
えーっと、ドラゴンの文字? なら少し分かるけど、人間の文字は分からないって事かな。
だとしたら、ユーリヤに出来る事は無い気がするのだが。
『ヘンリーさん。ドラゴンの子は、私たちよりも遥かに大きな魔力があります。文字は読めなくとも、本に込められた力などを検知出来たりしないでしょうか』
(なるほど。俺には出来ない資料の探し方だな)
「じゃあユーリヤは、何か魔力を感じる場所があったら教えて。でも、勝手に本を持ち出したり、開いたりしたらダメだからね」
「わかったー。にーにをよぶねー」
そう言って、ユーリヤがテケテケと走って行く。
早速何か感じる物があったのだろうか。
一先ず呼ばれるまでユーリヤは自由にさせておいて、一冊目の本を開く。
「建国時……六千年くらい前の本か。よく、こんなに良い状態で残っているな」
「あの、私が定期的に、状態保存の魔法を掛けて回っていますので」
「なるほど。それがお仕事の一部ですか?」
「そんな所です」
アオイが魔王と戦ったと言うのが五千年前で、その頃から魔法があった訳だから、定期的にメンテナンスをしていれば、当時の資料も保存出来るのだろう。
流石に何も処置をしていなければ、読めた物ではないだろうけどさ。
「あの、ヘンリーさん。こういう資料は……」
「なるほど。良いですね。ありがとうござます」
「……ヘンリーさん、これは?」
「ふむふむ。興味深いですね」
シャロンさんがドラゴンに関する情報があれば、見せに来てくれる。
非常に有り難いのだが、その都度その小柄な身体と、身体に不釣り合いな大きな胸が押し付けられるのだが……気付いていないのだろうか。
一先ず何冊か資料を読んで分かった事は、ドラゴンにはアースドラゴンの他に、レッドドラゴンやブルードラゴン、サーペントドラゴンにブラックドラゴンなど、様々な種類が居るらしい。
あと、今から四千年前から三千年前頃に、二匹のアースドラゴンの目撃情報が頻発している。
その二匹はおそらくツガイだろうとも記載されており、ユーリヤが行方不明になって、必死になって探していた両親ではないだろうか。
その後は目撃情報が全くない事から、千年かけて探し続け、他の場所――別の大陸などへ渡ってしまったのではないだろうか。
流石にどこへ行ったかは分からないので、別の大陸の国の資料を取り寄せなければ、ユーリヤの親を探すのは難しいかもしれない。
ちょっと悲しい気持ちになっていると、
「にーに! きてー!」
少し離れた本棚から、ユーリヤの呼ぶ声が聞こえて来た。
「先程説明した通り資料は自由に閲覧可能となっているわ。とはいえ一部制限もあるけれど、その辺りは司書係から説明がありますから」
「分かりました。ありがとうございます、フローレンス様」
フローレンス様に礼を告げると、資料庫の入口で固まって居る小柄な茶髪の少女に目を向ける。
王族のだというのにフードを被ったままなのだが、フローレンス様も気にしている様子は無いし、もしかしたら何か事情があるのかもしれない。
一先ず、俺からも触れないでおこう。
「えっと、貴方が司書係さんですか?」
「……ひゃ、ひゃいっ! わ、私が資料の管理をま、任されているシャロンですっ!」
随分とオドオドとした女の子だなと思いながら、資料庫の説明を待って居るのだが……落ち着きなくキョロキョロと周囲を見ては、時折俺の顔を上目遣いで見てきて、また周囲に目をやるだけで、全く説明をしてくれない。
「あの、資料庫の説明をお願いしても良いですか?」
「ふぁっ、ふぁい! す、すみません。えっと、ヘンリーさんは正式な仕官前の学生さんなので、本来は資料庫に入れません。ですがフローレンス様のご依頼により、第一資料庫が特定条件下で閲覧可能となっています。しかし、第二資料庫以降は立ち入り不可となっていますので、注意してください」
「特定条件下といのは?」
「その、私が傍に居る事です」
「えっ? それってつまり、どんな資料を調べようとしているのか、逐一チェックするという事でしょうか?」
「あ、いえいえいえ。そういう意味ではなくて、資料の中には魔法の本などもあるので、何かあった場合に対応出来るようにするため、私と居る事が条件となっているんです」
魔法の本か。確かに、知らずに開いた途端、何らかの罠が発動したりしたら困るな。
というか、資料庫ってそんな本まであるのかよ。
だったら、俺が閲覧不可な第二資料庫以降には、どんな物があるんだよ。
「では、早速資料を見せていただきたいのですが、そのシャロンさんは俺に付きっきりで他のお仕事とか大丈夫なんですか?」
「だ、大丈夫ですよ……いつも暇ですし」
いつも暇なのかよ。
この人の仕事って一体何なんだろう。
重厚な扉を開けて貰い、中へ入ると見渡す限りの棚だった。
シャロンさん曰く大半が書物で、一部それ以外の物となっているらしい。
一先ず、ドラゴンに関する情報を纏めている棚があると教えて貰い、その場所へ。
「えっと、ドラゴンとの接触情報については、ここから、ここまでの資料に載っているかと」
「う……結構ありますね」
「建国時からずっと綴られていますから。あ、あの……良ければ私もお手伝いしますよ?」
「では、アースドラゴンの目撃情報について調べて貰えますか?」
「り、了解です。何か見つけたら、声を掛けますね」
シャロンさんにも手伝って貰い、早速示された資料を端から目を通そうとすると、
「にーに。ユーリヤは?」
「えっと、ユーリヤも手伝ってくれるって事?」
ユーリヤが手伝うと言って、小さな頭をコクコクと縦に振る。
「ユーリヤって、人間の字は読める?」
「……わかんない。でも、ユーリヤのもじは、ちょっとわかる」
えーっと、ドラゴンの文字? なら少し分かるけど、人間の文字は分からないって事かな。
だとしたら、ユーリヤに出来る事は無い気がするのだが。
『ヘンリーさん。ドラゴンの子は、私たちよりも遥かに大きな魔力があります。文字は読めなくとも、本に込められた力などを検知出来たりしないでしょうか』
(なるほど。俺には出来ない資料の探し方だな)
「じゃあユーリヤは、何か魔力を感じる場所があったら教えて。でも、勝手に本を持ち出したり、開いたりしたらダメだからね」
「わかったー。にーにをよぶねー」
そう言って、ユーリヤがテケテケと走って行く。
早速何か感じる物があったのだろうか。
一先ず呼ばれるまでユーリヤは自由にさせておいて、一冊目の本を開く。
「建国時……六千年くらい前の本か。よく、こんなに良い状態で残っているな」
「あの、私が定期的に、状態保存の魔法を掛けて回っていますので」
「なるほど。それがお仕事の一部ですか?」
「そんな所です」
アオイが魔王と戦ったと言うのが五千年前で、その頃から魔法があった訳だから、定期的にメンテナンスをしていれば、当時の資料も保存出来るのだろう。
流石に何も処置をしていなければ、読めた物ではないだろうけどさ。
「あの、ヘンリーさん。こういう資料は……」
「なるほど。良いですね。ありがとうござます」
「……ヘンリーさん、これは?」
「ふむふむ。興味深いですね」
シャロンさんがドラゴンに関する情報があれば、見せに来てくれる。
非常に有り難いのだが、その都度その小柄な身体と、身体に不釣り合いな大きな胸が押し付けられるのだが……気付いていないのだろうか。
一先ず何冊か資料を読んで分かった事は、ドラゴンにはアースドラゴンの他に、レッドドラゴンやブルードラゴン、サーペントドラゴンにブラックドラゴンなど、様々な種類が居るらしい。
あと、今から四千年前から三千年前頃に、二匹のアースドラゴンの目撃情報が頻発している。
その二匹はおそらくツガイだろうとも記載されており、ユーリヤが行方不明になって、必死になって探していた両親ではないだろうか。
その後は目撃情報が全くない事から、千年かけて探し続け、他の場所――別の大陸などへ渡ってしまったのではないだろうか。
流石にどこへ行ったかは分からないので、別の大陸の国の資料を取り寄せなければ、ユーリヤの親を探すのは難しいかもしれない。
ちょっと悲しい気持ちになっていると、
「にーに! きてー!」
少し離れた本棚から、ユーリヤの呼ぶ声が聞こえて来た。
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