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第5章 新たな試練

第122話 エロ薬の効果

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「うー。これ……変な味がするんだけど」
「そう? でも魔力はしっかり回復すると思うよ」
「何だか、喉に引っ掛かると言うか、喉越しも悪いんだけど」
「まぁ薬だからね。ほら、良薬口に苦しって言うだろ?」

 今更ながら、何のラベル表記も無いビンを不審に思ったのか、ジロジロとビンを眺め、時折俺をジト目で見てくる。
 だがソフィアは既に薬を飲んだ後だ。
 後は効果が表れるのを待つだけだ。

「どう? こう身体が熱くなって、魔力が湧きでてくるって言う感じがしない?」
「そうかしら? あまりそんな感じは……って、どうしてウチに近寄るの?」
「え? いや、瞬間移動で宿……じゃなくて、家に送ろうと思って」
「そ、それで、どうしてウチにくっつく必要があるの?」
「あぁ、いつもユーリヤと使っているだろ? 密着していないと使えないが、ドアじゃない方の瞬間移動もあるんだ」
「そ、そうなの? ……言われてみれば、確かにユーリヤちゃんと突然消えた事があったわね」

 何かを思い出そうとしていて、ソフィアがどこか遠くを見ているので、静かにそっと肩に手を回す。
 すると、一瞬ビクッと驚いたものの、それ以上何も言わず、受け入れるようにして目を閉じた。
 普段のソフィアなら、こんな事をすれば、即座に何か言ってくるはずなのに、何も言って来ない。
 これは……薬が効いている!?
 行ける! 行けるぞ! この薬の効果は本物だっ!
 じゃあ、この薬を誰に使おうか。やはり巨乳三銃士は外せないよな。
 ニーナは上司と部下の関係にあるし、いろいろと後が面倒臭い事になるから、やっぱりジェーンだろうか。
 シャロンは伝説のロリ巨乳だし、発情期になると凄いらしいし、その凄さを体験してみたい気もする。とはいえ、上級者向きの気もするから、やっぱりジェーンだな。
 よし、決まりだ。残りのエロ薬をジェーンに飲ませて、あんな事やこんな事をしてしまおう。

「ねぇ、まだなの? ウチ、ずっと待って居るんだけど」
「あぁ、ごめんごめん。じゃあ、行こうか」
「もぉっ! 自分から誘ったんだから、ちゃんとエスコートしなさいよね」

 誘った?
 ソフィアをどこかへ誘ったっけ?
 まぁいいや。実験は成功したし、さっさとソフィアを送って、ジェーンの所へ行こう。
 ……あ。せっかくだから、念のためもう少し確認しておこうか。
 今は肩に手を回しただけだし、もう少し触ってみよう。

「じゃあ、行くぜ」

 時々フローレンス様にやるように、右手をソフィアの脚に添え、ソフィアをお姫様抱っこする。
 ほんのり汗ばんだソフィアの脚を持ち上げるが、何も言ってこない。
 それどころか、ソフィアが自ら腕を首に回し、俺に抱きついてきた。
 うん、間違いない。普段のソフィアなら、こんな事絶対にしないからな。
 しかし……フローレンス様と同じ格好なのに、ソフィアの胸が押し付けられる事はない。
 フローレンス様をお姫様抱っこをする時は、いつもムラムラしてしまうのだが、ソフィアには……うん、無いな。

「テレポート」

 ソフィアを抱きかかえたまま瞬間移動し、地面に降ろす。

「ソフィア、着いたよ」
「うん……って、ちょっと待って。ここ、ウチの家じゃない」
「ダメなのか?」
「だ、ダメって事は無いけど……初めては男の人の家じゃないの? というか、ウチの部屋は無理よ? その、片付いていな……じゃなくて、部屋へ行くまでにメイドたちも居るし……」

 ソフィアは何を言っているのだろうか。
 俺は早くジェーンの所へ行きたいのだが。

「よく分からないけど……ソフィアは顔が赤いし、熱もあるんじゃないのか? さっき抱き上げた時に触れた脚も、俺に回していた腕も体温が高かったしさ」
「そ、それは、自分でもどうしてかは分からないけど、ちょっと変な気分で……って、何を言わせるのよっ!」
「いや、勝手にソフィアが言っただけだろ? とにかく、早くベッドに入って、休んだ方が良いんじゃないか?」
「はぁぁっ!? あ、アンタ、ウチをその気にさせておいて、何なのよっ!?」
「な、何が?」
「何が……って、アホーッ! 何で、アンタはいつもそうなのよっ!」

 何だ? 一体、何がどうなっているんだ?
 薬の実験台にしたのは悪かったと思うが、惚れ薬とエロ薬の両方の効果を持つ薬を飲んだはずなのに、ソフィアが俺に惚れるどころか物凄く怒っている。

「そ、ソフィア! イフリートは止めろ! 街の中だぞ!? というか、自分の家のすぐ目の前で、何をする気なんだ!? 近所迷惑だぞ!?」
「この辺り一帯なら、ウチの領地だからどうにでもなるわよっ! このアホーッ!」
「ファイアーボールはやめろーっ!」

 咄嗟に口を塞いで呪文詠唱を止めたものの、ソフィアが顔を真っ赤にして俺を見つめている。
 うーん。薬を中途半端な量しか飲まなかったから、効果が十分じゃなかったのだろうか。
 それとも、過去の人のイタズラにしてやられただけなのか?
 どっちが正解なのか、手でソフィアの口を塞いだまま考え事をしていると、

「うぉっ! 噛むなよっ!」

 軽く指を噛まれてしまった。
 うん、あの薬はイタズラだな。
 本物なら、本気では無いにしても、惚れた相手の指を噛んだりしないだろうし。
 アオイもそう思うだろ?

『……ノーコメントです』

 何故かアオイは何も言ってくれなかったが、

「アホーッ!」

 カラスみたいに叫ぶソフィアを置いて、一先ず逃げる事にした。
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