悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人

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第60話 念願の天ぷら

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 ケヴィン王子とローランドさんの戦いを止めた後、暫くは周囲から注目されてしまう生活が続いたけど、数日経つとそれも落ち着いてきた。
 あとは、森の妖精の噂が完全に忘れられたら助かるんだけど……と、そんな事を考えながら、今日も森へ。
 そして、前から挑戦していた、和食の中の和食といえる料理の一つに挑戦し、

「出来たっ! ……うん、美味しいっ!」

 百点満点とは言えないものの、天ぷらを作り上げた!

「ん? 前から変な事してたけど……お嬢ちゃん。何やこれ?」
「あ、そっちは近付いちゃダメ! 油だから、凄く高温なのよ。飲んだりする事も出来ないわよ!」
「んん? 前に作ってくれたスープは旨かったけど、これは違うんか?」
「あれは、水に味を付けて、あれ自体を飲む料理だったけど、これは食べる物じゃなくて、調理する為の物なのよ」
「ん-、難しいけど、要はこれは食べ物やないって事やな?」

 ときメイの世界に揚げるっていう調理方法が無いのか、それともダニエルが知らないからなのかは分からないけれど、とりあえず油は飲んじゃダメだって説明し、そこは理解してもらえた。
 流石に、こんなのを飲んだら身体に悪い……というか、その前に火傷しちゃうしね。
 しかも、この世界では油といえば牛脂しかないらしくて、大量の牛脂を熱して揚げる用の油にしているから、結構重そうだし。
 私としては、天ぷらにはゴマ油を使いたかったんだけど……どうやったらゴマ油って作れるんだろう。
 ゴマは植物だから、木魔法で植えられそうだけど……し、搾れば良いのかな?

「お姉様。私もいただいて宜しいですか?」
「お姉ちゃん。ボクもー!」
「はいはい。じゃあ、ナーシャちゃんはこれを。セシルとダニエルには、こっちをどうぞ」

 野菜を細かく切って揚げたかき揚げの小さなのをナーシャちゃんに。セシルとダニエルには、大きなのをあげると、皆美味しそうに食べてくれた。

「お姉様。このような食べ物は初めて食べました。とっても美味しいです」
「ホントは、もっとサラッと揚がるんだけどね。そうすると、軽くてサクサクで更に美味しいんだけど……」

 流石に牛脂を液体にした油では無理だったかな?

「いやいや、お嬢ちゃん。そうは言うけど、こないな食べ物は見た事も聞いた事もないし、十二分に旨いけどな……って、お嬢ちゃんが食べてるのは、こっちのとはまたちゃうけど、それは何なんや?」
「これ? ししとうの天ぷらよ。食べてみる?」
「……ん。これは微妙な苦味が……けど、旨いな」
「でしょ? 私は好きなんだけど……少し苦味があるから、セシルやナーシャちゃんには、こっちの方が良いかも」

 家庭で作る天ぷらの定番、サツマイモの天ぷら。
 ウチの家は塩か天つゆだったけど、これは何もつけなくても甘くて美味しいよね。
 久々の天ぷらを嬉しく思いつつ、タクアンがしっかり漬かって、食べられるようになったら、定食風にして食べようっと。
 さて、天ぷらの次は……味噌汁? いやいや、流石に味噌は無理かな。
 確かお味噌って、発酵食品だよね?
 菌とか良く分からないし、代わりは……お吸い物?
 となると、ダシ……鰹節は無さそうだけど、昆布なら手に入るのかな?

「ねぇ、ダニエル。この辺りに海ってあるの?」
「いや、お嬢ちゃん。無茶いうたらアカンわ。ここは内陸国やで」
「えっ!? そうなの!?」
「なんや、知らんかったんか? まぁワイらには関係ないっちゃ無いけど、人間は国を跨ぐんは大変なんやろ? 何や大きな壁で囲まれてるし」

 あー、国境か。
 ユリアナの転移魔法を使えば越えられるけど……ときメイの舞台を飛び出すのはちょっと怖いから、また街に売っていないか探しに行こーっと。
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