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第1章 ゴミスキルと古代兵器
第7話 寂しがり屋のクリス
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クリスを連れて宿に戻ると、一人追加になった事を伝え、追加料金を払って部屋へ。
二部屋になる訳ではなく、同じ部屋に泊まる事になるみたいで、そこまで追加費用が高くなくて助かった。
「お兄ちゃん、ごめんなさい。クリスの分まで払ってもらっちゃって」
「ははは……まぁ明日からは、冒険者として一緒に頑張ろうね」
現在の所持金は、これまで貯めていた小遣いだけだ。
殆ど使う事がなかったので、それなりにあるけど、節約はしなければならない。
……シャルロットが教えてくれた魔銃をどこかで買い取ってもらう事が出来れば、少し余裕が出るんだけどね。
「えーっと、お風呂は……あ、なるほど。このお湯とタオルで身体を拭くんだ」
安い宿だから……というか、そもそも宿にお風呂が無いのが普通なのかな?
部屋に運ばれていた木桶と、かなりぬるいお湯とタオルを前にして、先ずはクリスに譲る。
「クリスから先に使って良いよ」
「あの、お兄ちゃん。ありがたいけど……こ、ここで?」
「みたいだね。あ、僕はそっちを見ないようにするから」
「え……う、うん」
僕が背中を向けると、ちゃぷちゃぷと水の音が聞こえてきた。
「お兄ちゃん。もう、いいよ」
暫くして声が掛かったので、僕も身体を拭く為に服を脱ぐと、
「お、お兄ちゃんっ!?」
「ん? クリス、どうかしたの?」
「そ、その……な、何でもないっ!」
どういう訳かクリスが焦りながら、チラチラとこっちを見てくる。
何が珍しいのか分からないけど、一先ず身体を拭き、新しい服に着替えると、
「じゃあ、とりあえず今日は就寝しようか」
クリスをベッドに促す。
「うん。じゃあ、クリスは床に寝るね」
「何を言っているのさ。せっかくベッドがあるんだから、一緒に寝れば良いじゃないか」
「え……で、でも……」
だけど、クリスは床で寝ると言いだし、ベッドを使うように促しても何故か躊躇している。
攫われたと言っていたし、これまでずっと床で寝る事を強要されていたのだろうか。
それとも、宿泊代金を僕が出した事に負い目を感じているのだろうか。
「クリス。クリスは、これから僕と一緒に行動する仲間……ううん、家族みたいなものなんだからさ。変に遠慮なんてしなくて良いんだよ」
「か、家族……クリスと、お兄ちゃんが?」
「あぁ。これから一緒に仕事をして、寝食を共にするんだからさ」
「……クリスは、お兄ちゃんと一緒に寝ていいの?」
「もちろん」
僕の言葉を聞いて、クリスが嬉しそうに抱きついて来る。
あー、クリスはまだ子供だもんね。
人肌が恋しいというか、一人で寝るのは寂しいのかな。
一緒にベッドへ行き、横になってもクリスは僕の胸に顔を埋めたままで、離れない。
クリスの柔らかい茶髪を撫でながら、僕も兄弟で――ジェームズとこんな風にくっついて眠っていた時期が……いや、無いな。
血を分けた実の兄弟だけど、ジェームズとは幼い頃から仲が悪かった事を思い出し、クリスの方が弟みたいだ……と、そんな事を思っている内に、夢の世界へと旅立つ。
そして、
『おはようございます、ご主人様。今は朝の七時です。そろそろ起きる時間です』
翌朝になると、昨日同様にシャルロットがメイド風に起こしてきた。
まだ視界がハッキリとしていないけれど、僕の胸に抱きついたままのクリスを起こそうとして、その頭に手を伸ばすと、何か変なものに手が触れる。
フサフサした毛の塊? でも、クリスの髪の毛はサラサラしているし、こんな手触りにはならないと思うんだけど。
これは何だろうかと思いながら、謎のフサフサを触っていると、
「ひゃうっ! お、お兄ちゃん……そこは、そこはダメだなのーっ!」
クリスが僕の上で身体をくねらせる。
それから少しして、ようやく視界がハッキリと映るようになると、
「おはよう、クリス……って、えっ!? クリス、その頭は……」
「あ、うん。その、お兄ちゃん。黙っていて、ごめん。クリスは猫耳族っていう獣人なの。それでね、獣人族って分かり難くするマジックアイテムがあって……」
上半身を起こして僕の上に跨って座るクリスが、今にも泣き出しそうな顔で僕を見つめてきたんだけど、その頭には大きな茶色い猫みたいな耳があって、お尻から尻尾が生えていた。
獣人っていうのは初めて見るけど、確か魔法が使えない代わりに、動物みたいに優れた身体能力を持つ……だったかな?
「クリスが猫耳族でも、僕の家族には違いないよ」
「……お兄ちゃん! ありがとうっ! クリスは、お兄ちゃんとずっと一緒に居るねっ!」
そう言って、クリスが再び僕に抱きついてきたけど……どうやら、かなりの寂しがり屋さんみたいだ。
二部屋になる訳ではなく、同じ部屋に泊まる事になるみたいで、そこまで追加費用が高くなくて助かった。
「お兄ちゃん、ごめんなさい。クリスの分まで払ってもらっちゃって」
「ははは……まぁ明日からは、冒険者として一緒に頑張ろうね」
現在の所持金は、これまで貯めていた小遣いだけだ。
殆ど使う事がなかったので、それなりにあるけど、節約はしなければならない。
……シャルロットが教えてくれた魔銃をどこかで買い取ってもらう事が出来れば、少し余裕が出るんだけどね。
「えーっと、お風呂は……あ、なるほど。このお湯とタオルで身体を拭くんだ」
安い宿だから……というか、そもそも宿にお風呂が無いのが普通なのかな?
部屋に運ばれていた木桶と、かなりぬるいお湯とタオルを前にして、先ずはクリスに譲る。
「クリスから先に使って良いよ」
「あの、お兄ちゃん。ありがたいけど……こ、ここで?」
「みたいだね。あ、僕はそっちを見ないようにするから」
「え……う、うん」
僕が背中を向けると、ちゃぷちゃぷと水の音が聞こえてきた。
「お兄ちゃん。もう、いいよ」
暫くして声が掛かったので、僕も身体を拭く為に服を脱ぐと、
「お、お兄ちゃんっ!?」
「ん? クリス、どうかしたの?」
「そ、その……な、何でもないっ!」
どういう訳かクリスが焦りながら、チラチラとこっちを見てくる。
何が珍しいのか分からないけど、一先ず身体を拭き、新しい服に着替えると、
「じゃあ、とりあえず今日は就寝しようか」
クリスをベッドに促す。
「うん。じゃあ、クリスは床に寝るね」
「何を言っているのさ。せっかくベッドがあるんだから、一緒に寝れば良いじゃないか」
「え……で、でも……」
だけど、クリスは床で寝ると言いだし、ベッドを使うように促しても何故か躊躇している。
攫われたと言っていたし、これまでずっと床で寝る事を強要されていたのだろうか。
それとも、宿泊代金を僕が出した事に負い目を感じているのだろうか。
「クリス。クリスは、これから僕と一緒に行動する仲間……ううん、家族みたいなものなんだからさ。変に遠慮なんてしなくて良いんだよ」
「か、家族……クリスと、お兄ちゃんが?」
「あぁ。これから一緒に仕事をして、寝食を共にするんだからさ」
「……クリスは、お兄ちゃんと一緒に寝ていいの?」
「もちろん」
僕の言葉を聞いて、クリスが嬉しそうに抱きついて来る。
あー、クリスはまだ子供だもんね。
人肌が恋しいというか、一人で寝るのは寂しいのかな。
一緒にベッドへ行き、横になってもクリスは僕の胸に顔を埋めたままで、離れない。
クリスの柔らかい茶髪を撫でながら、僕も兄弟で――ジェームズとこんな風にくっついて眠っていた時期が……いや、無いな。
血を分けた実の兄弟だけど、ジェームズとは幼い頃から仲が悪かった事を思い出し、クリスの方が弟みたいだ……と、そんな事を思っている内に、夢の世界へと旅立つ。
そして、
『おはようございます、ご主人様。今は朝の七時です。そろそろ起きる時間です』
翌朝になると、昨日同様にシャルロットがメイド風に起こしてきた。
まだ視界がハッキリとしていないけれど、僕の胸に抱きついたままのクリスを起こそうとして、その頭に手を伸ばすと、何か変なものに手が触れる。
フサフサした毛の塊? でも、クリスの髪の毛はサラサラしているし、こんな手触りにはならないと思うんだけど。
これは何だろうかと思いながら、謎のフサフサを触っていると、
「ひゃうっ! お、お兄ちゃん……そこは、そこはダメだなのーっ!」
クリスが僕の上で身体をくねらせる。
それから少しして、ようやく視界がハッキリと映るようになると、
「おはよう、クリス……って、えっ!? クリス、その頭は……」
「あ、うん。その、お兄ちゃん。黙っていて、ごめん。クリスは猫耳族っていう獣人なの。それでね、獣人族って分かり難くするマジックアイテムがあって……」
上半身を起こして僕の上に跨って座るクリスが、今にも泣き出しそうな顔で僕を見つめてきたんだけど、その頭には大きな茶色い猫みたいな耳があって、お尻から尻尾が生えていた。
獣人っていうのは初めて見るけど、確か魔法が使えない代わりに、動物みたいに優れた身体能力を持つ……だったかな?
「クリスが猫耳族でも、僕の家族には違いないよ」
「……お兄ちゃん! ありがとうっ! クリスは、お兄ちゃんとずっと一緒に居るねっ!」
そう言って、クリスが再び僕に抱きついてきたけど……どうやら、かなりの寂しがり屋さんみたいだ。
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