神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

第１章 ゴミスキルと古代兵器

第38話 クリスとマリー

『カーティスさん！　お願いします。魔鋼鉄、魔鋼鉄ですよっ！』

　冒険者ギルドを出てから、シャルロットのテンションが少し変だ。
　まぁ魔鋼鉄が近くにあった！　と思ったらマリーさんの事だったし、他の魔鋼鉄は遠いし……で、シャルロットを修理出来そうになかったのが、突然直せるかもってなったのだから、仕方ないのかもしれないけど。

「けど、魔鋼鉄が作れる巨大な魔石は、強い魔物からしか取れないって言っていたよ？」
『大丈夫です。強い魔物を倒しましょう！　カーティスさんとクリスさんなら大丈夫ですよ』
「いや、さっきみたいな魔物なら確かに大丈夫だと思うけど、僕より前衛のクリスの方が危ないからさ」
『いえ、私の見立てでは、クリスさんの身体能力はかなり高いですので、大丈夫です』

　騎士を撒いたので、高い特急馬車に乗る必要が無くなった。
　なので、普通の乗合馬車に揺られているうちに眠ってしまったクリスの頭を撫でながら、シャルロットの言う事を考えてみる。
　確かに獣人族のクリスは身体能力が高いだろうけど、まだスキルも授かっていない子供……それも女の子にあまり無理をさせたくないというのが本音だ。
　クリスが魔法を使えるのなら、二人して魔物を遠距離攻撃で倒すっていうのもアリなんだけど、獣人は基本的に魔法が使えないらしいし……弓矢とかの遠距離武器を使ってもらおうかな？
　とはいえ、いきなり使いこなせるとは思えないから、練習期間が必要だけと。

「せめて、僕が治癒魔法を使えれば良かったんだけどな」
『……それなら、マリーにも狩りへ参加してもらえば良いのでは？　強力な中距離攻撃魔法が使えますし、ある程度の治癒魔法も使えると思うのですが』
「なるほど。マリーさんは、人間に攻撃出来ないだけで、おそらく魔物には攻撃魔法が使えると思うし、攻撃でなければ普通に魔法が行使可能って言っていたね」
『三人になれば、魔物を倒す速度も上がるでしょうし、倒せる魔物の強さがグンと上がるハズです！　さぁマリーに魔法力を注いであげてください。早く早く』

　いや、シャルロットは急かしてくるけど、今は乗合馬車の中だからね？
　特急馬車とは違って、他のお客さんも多いし、マリーさんに出てきてもらうのは、宿に着いてからかな。
　それに、強い魔物と戦うなら、クリスにも話をしておかないとね。

　暫くして次の街へ着いたので、夕食を済ませ、早速宿へ。
　互いに見ないようにして身体を綺麗にして、寝巻きに着替えた所で、

「クリス。実はお願いがあるんだ」
「う、うんっ！　こ、今晩こそ、その……だ、大丈夫っ！　クリス、頑張るからっ！」
「いや、頑張るのは明日なんだけどね」
「そ、そっか。今夜は寝かせてもらえないもんね。けど、大丈夫！　獣人族は体力があるから、一晩し続けても平気だと思う。たぶん……ううん、きっと大丈夫だから、お兄ちゃんの好きにして良いよっ！」

　強い魔物と戦う話をしたいんだけど、クリスは何の話をしているのだろう？
　流石に今から戦ったりはしないよ？
　とりあえず好きにして良いって言ってくれているけど、ちゃんと説明はしておかないとね。

「クリス。でも、一応説明はしておくね」
「ま、待って！　クリスは子供じゃないもん！　それくらい知ってるから、大丈夫だもん！」
「そ、そうなのか？」
「うんっ！　だから、それより早く……お兄ちゃん」

　クリスにシャルロットの事は話したけど、魔鋼鉄の事は話していない気がするんだけど。
　まぁでも、説明不要で早くって言われているし……もしかしたら、馬車の中で僕とシャルロットの会話から、色々と察したのかも。
　じゃあ、早速マリーさんに出てきてもらおうか。

「じゃあ、クリス。いくよ？」
「うんっ！　いつでも良いよっ！」
「≪サンダーボルト≫っ！　……マリーさん、出てきて」
「……え？　ちょ、ちょっと待って。お兄ちゃん、この女の人は誰なのっ！？」
「誰……って、マリーさんだけど、紹介してなかったっけ？」
「してもらって無いよっ！　というか、どこから現れたの！？　あと、お兄ちゃんにくっつかないでっ！」

　そう言って、クリスが女の子の姿になったマリーさんと、僕の間に割り込み、ギュッと抱きしめてくる。
　その直後、

「ふふっ。話は全て聞かせてもらったわ。察するに、巨大な魔石を手に入れれば、お姉様を直す事が出来るのね？　貴方、やるじゃない。ご褒美よ」

　マリーさんが妖艶な笑みを浮かべ、クリスを避けて僕を抱きしめてきた。

「あぁーっ！　ダメーっ！　というか、お兄ちゃんっ！　この人は誰なのっ！？」

　あれ？　説明不要って言ってなかったっけ？
　クリスが凄く不機嫌で……あれー？