22 / 30
第2章 辺境の地で快適に暮らす土の聖女
第60話 地面が大好きなエレンさん
しおりを挟む
セマルグルさんがエレンさんを咥えて空高く飛び立ち……数分経ってから戻って来た。
草むらの上に倒れ込んだエレンさんが、「地面……地面だ。地面大好き」と言って顔を埋めているんだけど、大丈夫だろうか。
「セマルグルさん。何があったの?」
「いや……少し、物言いを正せと諭したのだが、喋ったのがマズかったのだろうな。あの女を落としてしまってな」
「えぇっ!?」
「いや、ちゃんと空中でキャッチしたぞ? だから、問題ない。うむ……問題ないのだ」
えーっと、とりあえずフォローはしておいた方が良いわよね?
「エレンさん。大丈夫?」
私が声を掛けると、エレンさんがビクッと身体を震わせ、凄い勢いで起き上がり、両膝を揃えて座り……こ、これは正座!?
「せ、聖女セシリア様! こ、これまでの私の言動を、どうか……どうかお許しをっ!」
「あ、あの……私は別に怒ってないからね?」
「ひぃっ! 空は……空は勘弁してくださいぃぃぃっ!」
ど、どうしよう。正座のまま頭を地面に押し付けて……えっと、これはいわゆる土下座!?
そんな事しなくて良いからね?
「あ、そうだ。ちょっと待ってね」
エレンさんを落ち着かせるため、お湯を沸かして、ショウガとリンゴをすりおろした物を入れたら、砂糖を少し。
それをコップに注いで、エレンさんへ。
「はい、どうぞ。身体が温まるし、リラックス出来るわよ」
「……? ……あ、温かいです」
「ゆっくり飲んで……えーっと、エレンさん。落ち着いた?」
エレンさんが私とセマルグルさんを交互に見ながら、激しく頷くけど……本当に大丈夫かな?
「ところで、何か私に依頼があったのでは? ソースがどうとか」
「あ、はい。えーっとですね。実は……」
落ち着いたエレンさんが、豆を使った調味料や食材を作っていて、マヨネーズみたいに流行らせたいという話をしてくれた。
しかも調味料は、醤油だけでなく、お味噌まで作っているのだとか。
「ソイソースとミソは、エレンさんたちが作っているんですねっ! 凄いっ! 作ってくれてありがとうっ!」
「え? ソイソースはまだしも、ミソも知っているのか? いえ、知っているのですか?」
「えぇ。もしかして、豆腐や豆乳もあるのかしら? あ、私が言っている豆腐っていうのは……」
エレンさんに豆腐や豆乳について説明すると、そのままトーフという名前で存在する事や、ソイミルクという豆乳があるという事を教えてくれる。
「……よく、トーフの事をご存じですね。かなり知名度が低いのに」
「そうなの? お味噌汁……ミソスープに、トーフを入れた料理なんて、毎日でも食べられるわよ?」
「あー、わかります。優しい味で、美味しいですよね」
「えぇ。ワカメや油揚げを入れても良いわよね。そういえば、ミソは赤ミソ? それとも白ミソ?」
「え? ミソは茶色ですけど」
「そうなんだけど……実物を見た方が早いわね! エレンさんが作っているというミソは、何処に行けば手に入りますか?」
「あ、それならここに。使ってもらおうと持ってきています」
そう言って、エレンさんが大きな葉っぱに包まれたミソを取り出し……これは合わせ味噌っぽいかな?
早速お味噌汁を作る事に。
具は大根とネギだけのシンプルな物にして……あぁぁぁ、久しぶりのお味噌汁っ! 懐かしいっ!
「……材料が違うのですかね。我々が作るミソスープより、遥かに旨い」
「まぁセシリアが作ったからな。大抵の物は、セシリアが作るととんでもなく旨くなるのだ」
「そうだよねー。セシリアのご飯は、本当に美味しいもんねー」
エレンさんだけでなく、セマルグルさんやヴォーロスもお味噌汁で、ホッとしたところで、
「エレンさん。おミソ……何か考えてみますね」
「おぉっ! ありがとうございますっ! 是非、お願いしますっ! ……とりあえず、ちょっと横になって良いですか? 色々あり過ぎて、疲労が……」
エレンさんがぐったりしてしまったので、再び家で休んでもらう事になった。
よく考えたら、遠いところから歩いて来たのだったわね。
暫く、ゆっくり休んでもらう事にした。
草むらの上に倒れ込んだエレンさんが、「地面……地面だ。地面大好き」と言って顔を埋めているんだけど、大丈夫だろうか。
「セマルグルさん。何があったの?」
「いや……少し、物言いを正せと諭したのだが、喋ったのがマズかったのだろうな。あの女を落としてしまってな」
「えぇっ!?」
「いや、ちゃんと空中でキャッチしたぞ? だから、問題ない。うむ……問題ないのだ」
えーっと、とりあえずフォローはしておいた方が良いわよね?
「エレンさん。大丈夫?」
私が声を掛けると、エレンさんがビクッと身体を震わせ、凄い勢いで起き上がり、両膝を揃えて座り……こ、これは正座!?
「せ、聖女セシリア様! こ、これまでの私の言動を、どうか……どうかお許しをっ!」
「あ、あの……私は別に怒ってないからね?」
「ひぃっ! 空は……空は勘弁してくださいぃぃぃっ!」
ど、どうしよう。正座のまま頭を地面に押し付けて……えっと、これはいわゆる土下座!?
そんな事しなくて良いからね?
「あ、そうだ。ちょっと待ってね」
エレンさんを落ち着かせるため、お湯を沸かして、ショウガとリンゴをすりおろした物を入れたら、砂糖を少し。
それをコップに注いで、エレンさんへ。
「はい、どうぞ。身体が温まるし、リラックス出来るわよ」
「……? ……あ、温かいです」
「ゆっくり飲んで……えーっと、エレンさん。落ち着いた?」
エレンさんが私とセマルグルさんを交互に見ながら、激しく頷くけど……本当に大丈夫かな?
「ところで、何か私に依頼があったのでは? ソースがどうとか」
「あ、はい。えーっとですね。実は……」
落ち着いたエレンさんが、豆を使った調味料や食材を作っていて、マヨネーズみたいに流行らせたいという話をしてくれた。
しかも調味料は、醤油だけでなく、お味噌まで作っているのだとか。
「ソイソースとミソは、エレンさんたちが作っているんですねっ! 凄いっ! 作ってくれてありがとうっ!」
「え? ソイソースはまだしも、ミソも知っているのか? いえ、知っているのですか?」
「えぇ。もしかして、豆腐や豆乳もあるのかしら? あ、私が言っている豆腐っていうのは……」
エレンさんに豆腐や豆乳について説明すると、そのままトーフという名前で存在する事や、ソイミルクという豆乳があるという事を教えてくれる。
「……よく、トーフの事をご存じですね。かなり知名度が低いのに」
「そうなの? お味噌汁……ミソスープに、トーフを入れた料理なんて、毎日でも食べられるわよ?」
「あー、わかります。優しい味で、美味しいですよね」
「えぇ。ワカメや油揚げを入れても良いわよね。そういえば、ミソは赤ミソ? それとも白ミソ?」
「え? ミソは茶色ですけど」
「そうなんだけど……実物を見た方が早いわね! エレンさんが作っているというミソは、何処に行けば手に入りますか?」
「あ、それならここに。使ってもらおうと持ってきています」
そう言って、エレンさんが大きな葉っぱに包まれたミソを取り出し……これは合わせ味噌っぽいかな?
早速お味噌汁を作る事に。
具は大根とネギだけのシンプルな物にして……あぁぁぁ、久しぶりのお味噌汁っ! 懐かしいっ!
「……材料が違うのですかね。我々が作るミソスープより、遥かに旨い」
「まぁセシリアが作ったからな。大抵の物は、セシリアが作るととんでもなく旨くなるのだ」
「そうだよねー。セシリアのご飯は、本当に美味しいもんねー」
エレンさんだけでなく、セマルグルさんやヴォーロスもお味噌汁で、ホッとしたところで、
「エレンさん。おミソ……何か考えてみますね」
「おぉっ! ありがとうございますっ! 是非、お願いしますっ! ……とりあえず、ちょっと横になって良いですか? 色々あり過ぎて、疲労が……」
エレンさんがぐったりしてしまったので、再び家で休んでもらう事になった。
よく考えたら、遠いところから歩いて来たのだったわね。
暫く、ゆっくり休んでもらう事にした。
237
あなたにおすすめの小説
辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する
鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】
余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。
いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。
一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。
しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。
俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
追放悪役令嬢、辺境の荒れ地を楽園に!元夫の求婚?ざまぁ、今更遅いです!
黒崎隼人
ファンタジー
皇太子カイルから「政治的理由」で離婚を宣告され、辺境へ追放された悪役令嬢レイナ。しかし彼女は、前世の農業知識と、偶然出会った神獣フェンリルの力を得て、荒れ地を豊かな楽園へと変えていく。
そんな彼女の元に現れたのは、離婚したはずの元夫。「離婚は君を守るためだった」と告白し、復縁を迫るカイルだが、レイナの答えは「ノー」。
「離婚したからこそ、本当の幸せが見つかった」
これは、悪女のレッテルを貼られた令嬢が、自らの手で未来を切り拓き、元夫と「夫婦ではない」最高のパートナーシップを築く、成り上がりと新しい絆の物語。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました
AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」
公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。
死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった!
人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……?
「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」
こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。
一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。