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第2話 僕だけレベルアップする件について
しおりを挟む「そおおおおおーーーい!!!」
ひびわれだらけの大剣をゾンビ達に向けて、ただただ力任せに振り回す。
その剣撃の凄まじさたるや、天を割り大地を引き裂くレベルと言っても過言ではない。いや天は割ってないけどさ。まぁ、それでもゾンビはおろか道路のアスファルト舗装なんかすんごい滅茶苦茶になっているもの。ぱねぇ。
「おぉう、相変わらずエッグい威力してんなぁこれ……」
たった二、三振りで 道路を埋め尽くしていたゾンビ達は斬り伏せられた。ふえぇ、自分で自分の人外ムーブに動揺を隠せないよぉ。いつの間にか人類を飛び越えて人外味まで出てるんじゃないだろうか、これ。
『レベルアップしました』
もう何度聞いたか分からない、脳内に直接流れてくる機械的な音声。別に僕は怪しい薬を嗜んではいないし、謎の未確認浮遊物体に脳内を魔改造クラスチェンジされたわけでもない。本当にそう聞こえてくるのだ。僕がこのどうしようもない状況に精神崩壊したラリった説もあり得なくはないが、そうなるとこの身体能力ステータスは説明出来ない。もうまじで半端ないからねこれ。
この機械的な音声が流れる度に僕の身体能力は上昇していき、今やオリンピック選手の顔も真っ青になるほどに成長した。元が引きこもりボッチ陰キャクソオタクとは、もはや天地がひっくり返っても思えないね。
「まぁ、天地がひっくり返るのと変わらないような状況だから笑えないか……」
とりあえず迫り来るゾンビ達も駆逐したことだし、一度状況を整理しよう。まぁ相も変わらず目の前には素晴らしい面々がいらっしゃるが無害なので放置。……放置は放置なんだが、こいつら無視出来ないほど個性が光輝いてんなぁ。
ゾンビA
ゾンビB
ゾンビC
名前をつけるのは面倒なので、一時的にそう呼称しよう。
ゾンビAはどこにでもいる様なリーマンゾンビさん。生前にブラック企業とかにすり減らされすぎたのか、ブランコに哀愁漂わせて座っている。こちらに気づいても無反応だし、ゾンビの風上にも置けないやつだ。
次にゾンビBだが、一心不乱に虚空へ向けて腰を振っているので見なかったことにする。
Cに至っては何故か逆立ちしている。まじでなんでだし。
「ほんと、まじなんでこんなことになったんだし」
事態が混迷を極めすぎている事に独り言を漏らすが、誰一人返すことはない。思い返せば僕、北原ムンクはどこにでもいる普通の高校生だったはずだ。
認めるのは大変心苦しいし、腸が煮え帰りそうになるが陰キャ気味でろくに友達も居ない高校二年不登校生。
いつも通りババァ飯持ってこいと引きこもっていると、ご飯を持ってきた母親に突然襲われた。ついに堪忍袋の緒が切れたかと内心ビビりながらも、必死に抵抗を試みる。結局、僕は揉み合いの果てに自分の肉親を突き倒してしまった。母親は倒れる際に頭をぶつけて、ピクリとも動かなくなる。やべーよこれやっちまったよと顔を青ざめていると、
『レベルアップしました』
という訳である。いや、どういうことだってばよ。
その後は混乱しつつもニュースやらネットやらでこの世界の状況を把握して、
・引きこもっている間に発生したゾンビにより世界は大混乱。
・何故か僕だけレベルアップして強くなれる。
という事が分かった。そしてひたすらにゾンビを狩る今に至るわけである。ちなみにこのひびわれだらけの大剣はその時に現れた。
以上で大体回想もとい状況の整理は終了なのだが、一つだけ。大変センシティブで極めて重要な事なのだがゾンビではあるが、初めて触ったおっぱいはとても固かったことをここに報告致します。誰に向けての報告かはよく分からんけど。
ちなみに回想が終わってもゾンビCは逆立ちしてた。まじなんなんだし。
◆
北原ムンク
Lv8
職業:不死殺し
HP 240
MP 18
SP 35
筋力 19
耐久 16
俊敏 18
魔力 9
運 11(-999)
skill –
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