ゾンビ☆ファンタジー ~僕だけレベルアップするとかジャンル違うんですけど

みょっつ三世

文字の大きさ
6 / 13

第6話 陽キャは個人的に人類の敵だと思う件について

しおりを挟む



「いやー! オタク君のおかげで助かったわー!」

 いや、オタク君って。仮にも食料を分けているわけだし、その言い方はなくない?
 ビルの中に入った後、まず警戒を解く為に食料を分け与えた。言動から判る様に隠キャである僕を完全に見下しているようで、彼らは貴重であるはずの食料を一切遠慮せず食い散らかしたというね。念の為、入る直前にリュックに移して置いて良かった。こいつら、僕が大量の食料を取り出せるとか知ったら際限なく要求してくるだろうからな。

「あんな奴、クラスにいたっけ?」
「あーアイツじゃね? なんかすぐ不登校になった奴いたじゃん」
「あーそういやいたな、そんな奴。しかしあの隠キャ使えるぜ、食料とか持ってきてくれるし」
「ちょっ、お前もう少し声小さめにしろよ…オタク君に聞こえんだろ?」

 いや全部聞こえてるんですけど。まぁオタクなのは本当なんだけど、なんかこうイラってくるな。ムンクもうお家帰りたい。
 勝手に談笑している隙に逃走を画策していると、一人が近づいてきた。とても嫌な予感がする件について。

「オタク君、もっと食料持ってたりしないの?」

 ほらぁ。

 露骨に紅一点のビッチさんが食料目当てで話しかけてきたぁ。
 しかもなんかこのビッチさん、露出度高いしやたらと体を近づけてくるし。まじビッチ。

「え、い、いや、流石にもうないでしゅ……」
「アハハ! オタク君キョドリすぎ!!!」
「あ、うん。へへへ……」

 こんなの相手でも思いっきりきょどってしまう自分の女性耐性の無さが恨めしい。いやだって仕方ないじゃん。この痴女、スカートはギリギリまで短くしてパンツ見えそうだし、上着のシャツはほぼはだけててブラが丸見えだもん。全身痴女かよ。クソが、こんなクソビッチにきょどるなんて、なんたる屈辱。

「でもそっかー。あ、でもあれだけの食料を持ってたってことは、ある場所は知ってそうだよね」
「あ、あはは、どうかなぁー」

 うざ。
 なんか無駄に体を擦り寄せてくるしうぜえええええええええ!!!!!

 もうね、お前はどうでもいいけど食料が欲しいっていう下心とか丸見えなのがドン引きなんですわ。女性との関わりが皆無な僕ですらトキメかねぇよ。
 これ以上ここにいても僕のストレス値が急上昇しまくるだけだ。さっさと目的の情報収集を果たして帰ろう。



 ◆



「アタシが知っているのはこんなところかなー」

 体を擦り寄せてくるビッチさんにキレそうになりながらも何とか堪え情報を引き出した。
 ともかく聞きたいことは聞けた。やはりネットで得た情報は大方合っているようで、この世界は本当にゾンビで溢れるような世界になってしまったらしい。そして、やはり僕のような能力を持っているという話は出てこなかった。この能力は一体全体何なのやら。

 それ以外はこれといって大した情報は持っていなかった。しいて言うならとある町にゾンビが無駄に溢れている事ぐらいか。この程度なら食料なんてわけなくても良かったなぁ。

「さてと、僕はこれで失礼するよ」


「は?」

 いや、そんな威圧されましても。
 寛いでいた面々は立ち上がりゾロゾロと距離を詰めて来た。もうこれじゃあ陽キャというよりは不良ヤンキーだな。まぁ、そもそも上位カーストの隠キャに対する態度って不良のそれと何も変わらないか。

「あのさオタク君、俺ら困ってんわけ。こういう時って助け合いをすべきと思わねーの?」

 彼らは言外に『隠キャのクラス最底辺カーストの癖に空気読めよ』と言っている。
 何が助け合いじゃボケ。一方的だし、実質お前らのパシリになっれって事じゃねーか。死んでもゴメンだね。

「え……? あーソウネ、タスケアイッテダイジヨネ」

 なんて断ろうか。選択肢を間違えると面倒だな絡まれ方をされそうだよね。ここは穏便に行かないと。

「な? だからオタク君には同じクラスのよしみとして色々と助けて欲しいんだよね」

「うん、嫌。超嫌」

 あ、やべ。本音言っちゃった。
 穏便に済ますつもりが、誠意溢れる懇切丁寧かつ明確な返答になってしまった。もういいや、お前らのことなんて知るかばか。
 彼らはそんな返答を予想していなかった様で一瞬だけポカーンとして、すぐに顔を真っ赤にして怒鳴り散らした。


「へー、オタク君そんな態度とっちゃうんだぁ」
「あれかな? オタク君、立場分かってない?」
「こっちが下手に出ていれば調子乗りやがって、このクソ隠キャが!! 痛い目見せてやる!! お前ら、死なない程度に痛めつけてやれ!!」

 彼らはそこら辺に転がっていたバットを拾い、ニヤニヤと意地悪そうに笑みを浮かべている。

 こいつら馬鹿かな?

 もしかしてというか、確実に外にいたゾンビを僕がどうにかしたとか思っていなさそう。頭悪そうだし、いつの間にかいなくなっていて運が良いぐらいにしか思っていないんだろうな。

「オタクくーん。調子に乗っちゃったねー?」
「隠キャの癖に何様のつもりだよ。キモいんだよ」
「オタク君の分際で調子乗りやがって!! 誰に楯突いているか思い出させてやんよぉ!!!」

 何の躊躇もなく振り下ろされるバット。僕が言うのもアレだけど倫理観やばくない?
 しかし、何の感慨も無く鈍い音が虚しく響き渡るだけだ。痛みも無く、スマホでステータスを確認するとHPが一だけ減っていた。

「はっ!? こいつ体に鉄でも仕込んでやがるのか!? てか、何余裕こいてスマホ見ていやがる!?」

 バットで殴られたところで何のその。レベルアップにより上昇した身体能力の前ではかすり傷にすらならない。

「なるほどねー、随分と僕も人間離れしたもんだ。で、まだやる?」

 この台詞一度言ってみたかったのは内緒。

「て、てめぇ!! この隠キャ如きが舐めやっがって!! みんなでやっちまえ!!!」

 バットが効かない時点で諦めればいいものを。一度下に見た人間に見下されるのは彼らのプライド的に許せないのだろう。アホくせぇ。

「ものそっっっっっい手加減した普通のパンチ!!」

「「「「は?」」」」

 グシャと拳が顔に食い込む不快音。我慢できず手を出してしまった。ま、いっか。
 我慢できなかったとはいえ、一応手加減はしたつもりだ。普通に殴ったら死んでしまうので蚊が止まるレベルの速度で繰り出したパンチ。しかし、ただそれだけでも思いっ切り吹き飛んだし、前歯も数本折れていた。

「お、おい!? う、嘘だろ……!? 巫山戯てないで早く立ち上がれよ!!」

 反応は皆無。そりゃ気絶しているからね。
 しかし、かなり手加減したのに前歯が折れちゃうか。しかもよくよく見たらピクピクと痙攣してるし。あっちゃーこれやりすぎたっぽい。

 明らかにオーバーキルです、本当にありがとうございました。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...