ゾンビ☆ファンタジー ~僕だけレベルアップするとかジャンル違うんですけど

みょっつ三世

文字の大きさ
10 / 13

第10話 そうだ幼馴染を探しに行こう、と思った件について

しおりを挟む

「ここが幼馴染がいるかもしれない町か」

 喧しくエンジン音を掻き鳴らす漆黒のバイクから降りる。

 これが神降町か。近年急激に発展した町だ。やたらガラス張りのビルが立ち並ぶ光景には圧巻され、同時にその尋常ではない開発具合もよく分かる。僕の記憶が正しければ数年前までは田んぼと畑しかないクソ田舎と言っても過言ではなかったはずだ。まぁそんな立派なビルもガラスははひび割れだらけで、黒煙を吐き出しているが。そんな世紀末デストロイな有様なのでとても見れたものじゃないんですけどね。

 身も蓋も無い言い方をすればここは滅茶苦茶発展した町で、その町並みがゾンビが溢れて破壊されたせいで余計に世紀末感が溢れ出ている場所ということだ。そして幼馴染の陽乃が通う学園がある町でもある。

「わっぷ! ……なんだこりゃ?」

 遠目に破壊されつくしたビル群を眺めながら文明の脆弱さ具合にワビサビを感じていると、急に視界が暗くなった。風に流されてか顔に紐のような何かがぶつかったみたいだ。
 顔に貼り付いた何かを取り外すと、そいつは深紅の細い紐だった。これは女性用の髪留めだろうか。どこかで見たことあるかのような……。

 『ムーンク君! おはよう!!! ほらほらこんな美少女がいるんだからそんな冴えない顔しないの!』

 一瞬脳裏にアイツがよぎる。うざいぐらいに明るくて、邪険にしても鬱陶しいぐらいに絡んで来たアイツ。そして脳裏に浮かんだ光景の端には赤い紐がちらついていた。

 これは幼馴染みのリボン!?

 じゃあ、このリボンが来た方向は例の学園なのか。まさか……この先にアイツがいるかもしれない?

「陽乃っ!!!!!」

 気がつけば、僕はバイクもほっぽり出して駆け出していた。


 ◆


「アぁあA&#アアアアア……!」

 リボンを追った先に出くわしたのは、美少女でもなんでもなくお約束ゾンビさんだった。全然嬉しくない。分かっちゃいた。分かっちゃいたけど期待させられた手前、何だか釈然としない。挿絵だけで実装されないガチャ並みに腹ただしいんですけど。しかも、

「うわっ、滅茶苦茶うじゃうじゃいるやんけ」

 この前のビルとかの比ではない。学園へと続く道は見たこともないような数のゾンビたちで埋め尽くされていた。
 あの名前も知らないギャルが言っていた事は間違っていなかったようだ。確かに僕の住んでいる街と比べても桁違いに多い。

「ま、僕からしたらこんなのどうという事もないんだけどね」

 むしろ逆。効率の良いレベリング地帯だ!

 実は最近ゾンビを倒しても中々レベルが上がらなくなって来ていたのだ。ずっと最弱スライムばかり倒しても大した経験値は入らないということだろう。しかしだ、この数を一網打尽に出来るなら話は別だ。

 少数のゾンビは倒しやすい良いゾンビだ! 大多数のゾンビ達は教育された良いゾンビだ!!!
 楽しい楽しいレベル上げの時間だ! ヒャッハーーーーーー!!!!!


 ◆


『レベルアップしました』

 最後のゾンビを大剣で斬り伏せると、またいつもの機械的通知が脳内再生された。これでレベルもとうとう一五。身体能力もすんごいことになっている。
 更に大剣ちゃんも大変ご機嫌なようで、いつもよりも増して喧しい。

『グルルルルルルルル!!!!!!!』  

 ていうかあれ、なんかちょっと大きくなってね?

 やだこの武器怖い。唸る上に大きくなるとかもう呪われた装備じゃん。まぁ強力にも程がある武器なので使い続けるという選択肢しかないんだけどさ。
 とりあえず大剣ちゃんには一度インベントリに戻って頂いた。

 「ここが有名なあの神降学園か」

 眼前にそびえ立つ白亜の建造物を見上げる。

 神降学園はここら辺では有名な学園、というか全国的にも知らない人が少ないぐらいのネームバリューがある。この学園は全国から由緒正しい名家や資産家の跡継ぎ、得意な才能を持つもの等の様々な人間が集まるのだ。

 そこら辺の事情もありぱっと見だけでそれなりに金をかけている学校というのが嫌でも分かった。しかも、屋上にあるあれって、もしかして太陽光発電か。更にその隣には屋上菜園らしきものが見受けられる。ここには自給自足出来るような設備があるってことか?

「よっと」

 学園敷地はバリケードに囲われていたが、軽くジャンプしてヒーロー着地。

 近くから見る校舎は凄惨の一言で尽きた。当然、ここでもゾンビは猛威を奮った様で窓ガラスは割れ放題だし、そこら中に血痕が撒き散らされていた。外ほどゾンビはいないが、数体はフラフラと徘徊している。

「ここにもう生存者はいないのかもな……」

 自分でも落ち込んでいると分かるぐらい声に力が入らない。この状況では、やはり幼馴染はもう既に死んでいる可能性の方が高いのだろう。分かっていたことではあるが、こう目の当たりにすると落胆は隠せなかった。

 一応、中も見てみるか。生存者は居なくとも、何か手がかりがあるかもしれない。死体という落ちもありえるが。考え始めるとろくな思考が湧いてこない。とにかく今は先に進もう。

「ごめんくださーい」

 反応はない。ぼっちの寂しい男の声が木霊するだけだった。

 校舎内も当然にバリケードだらけだった。ということは、いるとしたら上の方か。この状況で学校に残っているのであれば階層毎にバリケードを設けて、救助が来るまで籠城し時間を稼ぐ事を選ぶはずだ。
 案の定、最上階まで上がると人の気配を感じられた。

「わ!? 誰か来た!?」
「外から見た感じだと男の人みたいね」
「つーか、一人か? 外にわんさかいるゾンビを一体どうやって倒したんだ?」
「どんな人ですかね……怖くない人だといいんですけど」

 声だけで判断すると女性だけしかいない?

 それってコミュ障の隠キャボッチにはかなりキツいんですけど大丈夫かな。やばい、もう帰りたくなってきた。
 だが、ここで足踏みしていても仕方ない。意を決して彼女らがいる教室に飛び込むと、信じられない光景が目に飛び込んだ。

 「あらあらやっぱり男の子だったみたいね」
 「どうしたんだ?、こいつ急に固まって?」
 「わぁぁぁぁ! 新しい人が来たね!!!」
 「……」

 僕を見た彼女らは三者三様というか四者四様の反応を示したがそれどころではない。やはり女性しかいなかったことや、想像以上に美少女揃いだったことも今はどうでも良かった。

 「はは……生きてたよ……」

 驚くべきことにそこにはアイツが、幼馴染の陽乃がいた。かれこれ一年は会話はおろか、会ってすらいなかったはずなのに一目で分かった。
 色々な感情がごちゃ混ぜになって訳が分からない。僕は気がつけば無意識に駆け出していた。






 北原ムンク
 Lv15
 職業:不死殺し

 HP  400
 MP   24
 SP    62

 筋力  33
 耐久 22
 俊敏 34
 魔力 15
 運  18(-999)

 skill –

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...