10 / 15
Ⅸ
しおりを挟む
ステラはベランダに1人出て、外の景色をぼうっと眺めていた。
彼女にしては珍しく落ち込んでいたのである。
気合いに気合いを入れて臨んだパーティーであった。
誰よりも美しい自信があった。
しかし、レーリアが女装して現れたのだった。
皆、久しぶりのレーリアの女装に目を奪われ、話題は全部持っていかれてしまった。
それでも、キースと仲良くなれれば、ステラの目標は達成できた。
しかし、キースには全く相手にされなかった。
あの冷たいキースの視線を思い出すとまた泣きそうになる。
「キース様、私とお話ししませんか?」
キースは首を傾げた。
「私は今、レーリアといるのが分からないか?レーリアと過ごすから、話しかけないでくれ。」
ステラはあまりの物言いに目を丸くした。
レーリアに対する優しいキースしか知らなかったからだ。
「ダンスもレーリア様とだけ踊るおつもりですか」
「もちろんだ。レーリアとの時間が減るから、もう行ってもいいか?」
そう言ってキースはその場を立ち去った。
ステラは自分の容姿に自信があった。
近所では評判の美人だったし、男の子たちは皆、ステラを1番に優先してくれていた。
別に、キースのことなんて好きでは無い。
好物件だから仲良くなりたいと思っただけ。ただそれだけ。
ステラは自分に言い聞かせる。
それでも、気持ちは滅入ってしまいパーティーを楽しむ気にはなれなかった。
「こんなところで何してるの?」
突然声をかけられ振り向くと、案の定、デニスだった。
「デニス…、別にどうだって良いでしょ。今、あんたに構ってる余裕はないの」
ステラは冷たく突っぱねた。
まるであの時のキースみたいだ。
そう思って少し申し訳なくなったが、人に優しくしていられるほど心の余裕はなかった。
「ステラは笑ってる顔の方がいいよ。
それに、君が落ち込むなんて柄じゃないじゃないか」
「何よ。私は気の強い女って言いたいわけ?」
「そうだよ。君ほど気の強い人はなかなかいないよ。僕は、君のそんなところが…」
そこまでデニスはいいかけて、ゴニョゴニョと言葉を濁した。
「良いわよ。自分でも性格悪いって知ってるもの。レーリア様みたいにはなれないわ」
レーリアがもう少し悪い人であったなら。
レーリアはステラの予想に反して、優しく、おおらかな人であった。
そこがまた、ステラの心を抉るのであった。
「でも、君はあの時、僕を助けてくれたじゃないか」
「あの時…?」
ステラは少し考え込む。
そして、思い出した。
あの日から、デニスが付き纏ってくるようになったことを。
教室に忘れ物をとりに戻ると、男たちが3人ほど集まって話をしていた。
ステラはその男たちが嫌いだった。対してカッコ良くも、イケてもいないのに、いつも自分に酔ったような行動ばかりしている。
キースの真似をして似合わない派手なピアスや服装をしているのがさらに不快だった。
「デニスって本当に暗くてジメジメしてて、気持ち悪りぃよな」
「わかるー。アイツって勉強しか能ないし」
「学校来てて楽しいのかな?」
男たちがゲラゲラと笑う。
ステラは耐えきれなくなって、教室に立ち入ってしまった。
「あんたたちみたいなだっさい奴らとつるんでるよりは、デニスのように1人でいる方がかっこいいと思うけど?」
男たちが途端に顔を真っ赤にして怒り出す。
「何だと?」
「この女、平民のくせに…」
「消えろ!!」
そう言って、1人がステラのことを叩こうとした。
「先生!女生徒が男子生徒に暴行を加えられてます!」
その時、大きな声が響いて、男たちは慌てて去っていった。
声の主はデニスだった。
「本当に先生は来るの?」
「来ないよ。ハッタリさ。
…本当にありがとう。」
「別に。あなたのためじゃないし」
これは照れ隠しでも何でもなく、事実だった。
あの粋がった男たちが気に食わなくて、反論しただけだった。
そこにはデニスへの好意も、優しさも何もなかった。
「それでも、ありがとう。僕はあんな風に言えないから」
「そんなんだから舐められるのよ。自分のことは自分で守らないと」
「君は強いんだね」
デニスは微笑んだ。
あの日から、デニスはステラの面倒を見るようになったのだ。
「君は芯のある人間だ。落ち込むような人じゃない」
「そうね。」
ステラは大きく頷いた。
「私のことを軽く見るなんて、キース様って本当に見る目がないわ!
こんなことで諦めるもんですか!
必ず惚れたって言わせてみせるんだから!」
ステラは大きく意気込んだ。
デニスはそんなステラを見て、嬉しそうに、少し悲しそうに微笑んだ。
彼女にしては珍しく落ち込んでいたのである。
気合いに気合いを入れて臨んだパーティーであった。
誰よりも美しい自信があった。
しかし、レーリアが女装して現れたのだった。
皆、久しぶりのレーリアの女装に目を奪われ、話題は全部持っていかれてしまった。
それでも、キースと仲良くなれれば、ステラの目標は達成できた。
しかし、キースには全く相手にされなかった。
あの冷たいキースの視線を思い出すとまた泣きそうになる。
「キース様、私とお話ししませんか?」
キースは首を傾げた。
「私は今、レーリアといるのが分からないか?レーリアと過ごすから、話しかけないでくれ。」
ステラはあまりの物言いに目を丸くした。
レーリアに対する優しいキースしか知らなかったからだ。
「ダンスもレーリア様とだけ踊るおつもりですか」
「もちろんだ。レーリアとの時間が減るから、もう行ってもいいか?」
そう言ってキースはその場を立ち去った。
ステラは自分の容姿に自信があった。
近所では評判の美人だったし、男の子たちは皆、ステラを1番に優先してくれていた。
別に、キースのことなんて好きでは無い。
好物件だから仲良くなりたいと思っただけ。ただそれだけ。
ステラは自分に言い聞かせる。
それでも、気持ちは滅入ってしまいパーティーを楽しむ気にはなれなかった。
「こんなところで何してるの?」
突然声をかけられ振り向くと、案の定、デニスだった。
「デニス…、別にどうだって良いでしょ。今、あんたに構ってる余裕はないの」
ステラは冷たく突っぱねた。
まるであの時のキースみたいだ。
そう思って少し申し訳なくなったが、人に優しくしていられるほど心の余裕はなかった。
「ステラは笑ってる顔の方がいいよ。
それに、君が落ち込むなんて柄じゃないじゃないか」
「何よ。私は気の強い女って言いたいわけ?」
「そうだよ。君ほど気の強い人はなかなかいないよ。僕は、君のそんなところが…」
そこまでデニスはいいかけて、ゴニョゴニョと言葉を濁した。
「良いわよ。自分でも性格悪いって知ってるもの。レーリア様みたいにはなれないわ」
レーリアがもう少し悪い人であったなら。
レーリアはステラの予想に反して、優しく、おおらかな人であった。
そこがまた、ステラの心を抉るのであった。
「でも、君はあの時、僕を助けてくれたじゃないか」
「あの時…?」
ステラは少し考え込む。
そして、思い出した。
あの日から、デニスが付き纏ってくるようになったことを。
教室に忘れ物をとりに戻ると、男たちが3人ほど集まって話をしていた。
ステラはその男たちが嫌いだった。対してカッコ良くも、イケてもいないのに、いつも自分に酔ったような行動ばかりしている。
キースの真似をして似合わない派手なピアスや服装をしているのがさらに不快だった。
「デニスって本当に暗くてジメジメしてて、気持ち悪りぃよな」
「わかるー。アイツって勉強しか能ないし」
「学校来てて楽しいのかな?」
男たちがゲラゲラと笑う。
ステラは耐えきれなくなって、教室に立ち入ってしまった。
「あんたたちみたいなだっさい奴らとつるんでるよりは、デニスのように1人でいる方がかっこいいと思うけど?」
男たちが途端に顔を真っ赤にして怒り出す。
「何だと?」
「この女、平民のくせに…」
「消えろ!!」
そう言って、1人がステラのことを叩こうとした。
「先生!女生徒が男子生徒に暴行を加えられてます!」
その時、大きな声が響いて、男たちは慌てて去っていった。
声の主はデニスだった。
「本当に先生は来るの?」
「来ないよ。ハッタリさ。
…本当にありがとう。」
「別に。あなたのためじゃないし」
これは照れ隠しでも何でもなく、事実だった。
あの粋がった男たちが気に食わなくて、反論しただけだった。
そこにはデニスへの好意も、優しさも何もなかった。
「それでも、ありがとう。僕はあんな風に言えないから」
「そんなんだから舐められるのよ。自分のことは自分で守らないと」
「君は強いんだね」
デニスは微笑んだ。
あの日から、デニスはステラの面倒を見るようになったのだ。
「君は芯のある人間だ。落ち込むような人じゃない」
「そうね。」
ステラは大きく頷いた。
「私のことを軽く見るなんて、キース様って本当に見る目がないわ!
こんなことで諦めるもんですか!
必ず惚れたって言わせてみせるんだから!」
ステラは大きく意気込んだ。
デニスはそんなステラを見て、嬉しそうに、少し悲しそうに微笑んだ。
369
あなたにおすすめの小説
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
王子様から逃げられない!
一寸光陰
BL
目を覚ますとBLゲームの主人公になっていた恭弥。この世界が受け入れられず、何とかして元の世界に戻りたいと考えるようになる。ゲームをクリアすれば元の世界に戻れるのでは…?そう思い立つが、思わぬ障壁が立ち塞がる。
『君を幸せにする』と毎日プロポーズしてくるチート宮廷魔術師に、飽きられるためにOKしたら、なぜか溺愛が止まらない。
春凪アラシ
BL
「君を一生幸せにする」――その言葉が、これほど厄介だなんて思わなかった。
チート宮廷魔術師×うさぎ獣人の道具屋。
毎朝押しかけてプロポーズしてくる天才宮廷魔術師・シグに、うんざりしながらも返事をしてしまったうさぎ獣人の道具屋である俺・トア。
でもこれは恋人になるためじゃない、“一目惚れの幻想を崩し、幻滅させて諦めさせる作戦”のはずだった。
……なのに、なんでコイツ、飽きることなく俺の元に来るんだよ?
“うさぎ獣人らしくない俺”に、どうしてそんな真っ直ぐな目を向けるんだ――?
見た目も性格も不釣り合いなふたりが織りなす、ちょっと不器用な異種族BL。
同じ世界観の「「世界一美しい僕が、初恋の一目惚れ軍人に振られました」僕の辞書に諦めはないので全力で振り向かせます」を投稿してます!トアも出てくるので良かったらご覧ください✨
ギャルゲー主人公に狙われてます
一寸光陰
BL
前世の記憶がある秋人は、ここが前世に遊んでいたギャルゲームの世界だと気づく。
自分の役割は主人公の親友ポジ
ゲームファンの自分には特等席だと大喜びするが、、、
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
君さえ笑ってくれれば最高
大根
BL
ダリオ・ジュレの悩みは1つ。「氷の貴公子」の異名を持つ婚約者、ロベルト・トンプソンがただ1度も笑顔を見せてくれないことだ。感情が顔に出やすいダリオとは対照的な彼の態度に不安を覚えたダリオは、どうにかロベルトの笑顔を引き出そうと毎週様々な作戦を仕掛けるが。
(クーデレ?溺愛美形攻め × 顔に出やすい素直平凡受け)
異世界BLです。
転生したら親指王子?小さな僕を助けてくれたのは可愛いものが好きな強面騎士様だった。
音無野ウサギ
BL
目覚めたら親指姫サイズになっていた僕。親切なチョウチョさんに助けられたけど童話の世界みたいな展開についていけない。
親切なチョウチョを食べたヒキガエルに攫われてこのままヒキガエルのもとでシンデレラのようにこき使われるの?と思ったらヒキガエルの飼い主である悪い魔法使いを倒した強面騎士様に拾われて人形用のお家に住まわせてもらうことになった。夜の間に元のサイズに戻れるんだけど騎士様に幽霊と思われて……
可愛いもの好きの強面騎士様と異世界転生して親指姫サイズになった僕のほのぼの日常BL
【完結】双子の兄が主人公で、困る
* ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……!
本編、両親にごあいさつ編、完結しました!
おまけのお話を、時々更新しています。
本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる