攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました

一寸光陰

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世界と俺

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煌びやかに輝く豪華な馬車を降りる。
目の前の大きなアーチ。そして、その後ろにそびえ立つ城のような白い建物。
「メルヘンなホ○ワーツ城みたい…」
「ホグ○ーツ城?聞いたことないけど、どこの国の城?」
「え!いや…前に読んだ小説の城だよ!」
「そっか…?
ふふふ。目輝かせちゃってかわいい。これからの学園生活が楽しみだね。」
ぎゅっと抱きしめられる。その瞬間周りできゃぁと歓声があがる。

「相変わらず王太子殿下たちは仲がよろしゅうございますわね。」
「本当に。理想のお2人ですわ。」

どうしてこんなことになったんだろう。

思い出すのは遠い昔の記憶だった。


物心ついた時から前世の記憶があった。だが、俺は初めからこの世界に新たな生命として誕生していたし、父上も母上も俺を大事に育ててくれた。だから、前世の記憶は付属品のようなもので、実生活に影響を与えることはなかった。


「お父様!なに?それ!」
「アースは見るのが初めてなのかな。
魔法だよ。魔法を使える人は少ないし、使うと結構疲れてしまうからあんまり使ってなかったからな。
お母様が魔法が得意だからお母様に詳しく聞いてごらん。」

「お母様!!!!魔法見せて!!」
「あらあら。もう魔法に興味を持つ年なのね。じゃあ初級魔法を見せてあげましょうか。」
母上がflyと呟くと本棚の本がぷかぷかと浮いた。
「うわぁぁぁぁー!凄い!!お母様かっこいい!」
「うふふっ。魔法は得意なのよ。アースは使えるのかしらね。
少し試してみる?お母様が教えてあげる。」
「やったー!」
「じゃあまずビギナー魔法からね。手に力を込めて。心臓から手に力を流していく感じで。」
「こうかな、」
「さすが私の息子ね!上手よ!
じゃあその状態でcoldって言ってごらん。」
「こーるど」
俺がつぶやいた瞬間、手のひらに小さな氷の粒ができた。キラキラと輝いて美しい。
「わ!できた!!」
「まあ!凄いわ!水ではなくて氷ができるなんて!なかなか初めてではできないのよ。アースには魔法の才能があるわね。」
「俺、魔法頑張る!!」
「魔法は慣れないうちは気づかない間に体力を消費して倒れちゃうこともあるから気をつけるのよ。魔法を使う時はお母様と一緒にすること。分かった?」
「うん!」

それから毎日魔法を使って遊んだ。前世で憧れていた魔法と触れ合えてとても幸せだった。

その日も魔法を使ってお母様と遊ぼうとしていた。
「今日は魔法では遊べませんよ。」
「なんで?」
「まあ!この子ったら!あんなに言ったのにもう忘れちゃったの?」
「えー?今日何かあったっけ?」
「今日は神殿に行くのよ。神殿に行って洗礼して頂いて祈りを捧げるの。」
「そういえばそんなことも言ってたような…。」
「しっかり覚えてなさい!」
お母様の目がギラっと光った。お母様は怒らせてはいけない人だ。

「アース、着替えようか。」
「この服じゃダメなの?」
「ああ。今日は特別な日だからね。お父様のようなこの白い服を着ようね。」
「分かった!」

白い服に金の刺繍が美しいワンピースのようなタイプの服を着る。前世で遊んだゲームの聖職者のような格好だ。
「かっこいいー!」
「今日の主役はアースだからね。
今日は沢山の6歳児が集まって洗礼を受けるんだよ。」
「そうなんだ。じゃあお友達ができるかな!」
実はまだ同じ年の人と会ったことがない。2歳上の従兄弟のお兄様は時々来て遊んでくれるけど、最近は忙しいのかあまり会えてなかった。

「あと、これが1番大事なことなんだけど…
この儀式でアースが将来赤ちゃんを産めるか産めないか決まるんだよ。」
「えぇ!?」
俺が赤ちゃんを…?俺は男だけど…。
「アースの周りには男性で赤ちゃんを産める人がいないから、知らなかったのかな。女神様が選んだ人だけが赤ちゃんを産めるんだ。そしてごく稀に男性でも赤ちゃんを産めるんだ。まあ、5年に1回現れるか現れないかくらい希少だけどね。」
「ふーん…。じゃあ俺にはあんまり関係ないかな。」

やはり前世とは人体の構造から違うのだろうか。魔法もあるし、異世界感が強いが、今ではここは俺の現実世界だ。

「じゃあ、神殿に向かおうか。」

お父様とお母様の3人で神殿へと出発した。







小説を開いてくださってありがとうございます。これからゆっくり書き進めていこうと思っております。前作が多忙のあまり、適当に終わってしまったのが心苦しいので、今作は頑張って書きたいと思います。どうぞこれからよろしくお願いします!
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