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転生者と俺
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アースは自分の机に違和感を覚えた。
机の中には覚えのない紙が入っていた。
“ソレイル様から離れろ。”
アースは息を呑んだ。体はプルプルと震えている。
「アース?どうかした?」
ソレイルが心配する。
「ん?何だこれ?紙に何か書いてあるけど…落書き?」
「そうだよな。ソレイルは読めないよな。」
「?アースは読めるの?」
これは日本語だ。ほとんど忘れかけていた言語。懐かしい文字に心が躍る。日本で暮らしていた日々の記憶が蘇る。アースは紙をぎゅっと抱きしめる。
ソレイルのことをソレイル様なんて親しく呼んで、こんな手紙を書く人を俺は1人しか知らない。
「…やっぱりステラは転生者だったんだ…!」
同じ転生者同士、何とかして仲良くなれないだろうか。ステラといったん話そう。日本について語り合いたい。どんな生活を送っていたのか、いつ頃の日本にいたのか。アースはステラに敵意を向けられてることも忘れて、意気込んだ。
白い紙に落書きのようなものが書かれている。アースは読めると言っているが、こんな形の言語は全くみたことがない。普段自分たちが使っているものとは全く異なるもの。それをアースは大事そうに眺めている。
まただ。
ソレイルは思う。
また、あの目だ。アースは何かを隠している。
アースは時々消えてしまいそうな雰囲気を出すことがある。心ここに在らずといった状態でぼうっとしている。
ソレイルは、いつかその何かがキッカケでアースが自分から離れていくのではと考えていた。
城下町でデートした時もあの目をしていた。確か鎖国の国が話題になっていた時。あのかんざしをあげた時。そういえば、あのかんざしも、遥か昔、鎖国をしていなかった頃のあの国が伝統工芸品として輸出したものだった。
あの国について調べなくてはならない。
いつか、アースが自分の腕の中から消える前に。
俺はステラに向けて日本語で手紙を書いた。
“放課後、中庭のガゼボで。”
「あんたやっぱり転生者だったのね。」
「ステラ嬢!同じ転生者に会えて嬉しいよ!」
「はあ?ふざけたこと言わないでよ。あんたがいなければ、私は今からソレイル様と恋人になってたのよ!あんたはおじゃま虫なのよ。ていうか、あんたよくあの手紙見て仲良くやろうなんて思ったわね。」
「確かに…。同じ転生者に会えた嬉しさで忘れてた。」
「あんた間抜けね。ソレイル殿下はバカが好きなのかしら?」
ステラははあっとため息をついた。
ここまで言われなくてはいけないのだろうか。俺はむすっとする。
「ステラ嬢は日本のこと懐かしく思わないのかよ。」
「全く。大好きなゲームの世界に転生できたのが嬉しいから。
あんたはそんな恵まれた環境にいて、まだ前世なんてもんに固執してるの?ウザいんだけど。」
ステラ嬢がきっと睨む。
ダメだ。俺とステラ嬢は合わないな。
「それでソレイル様と別れてくれるよね?」
「無理だよ。」
「なんでよ。前に恋愛的な意味で好きじゃないって言ってたじゃない。」
「俺…ソレイルのことが好きだって気づいたんだ。だから譲れない。」
ステラは小さくウザと呟いた。
「じゃあ別れさせるまでよ。」
ああ、これから波瀾万丈になりそうだ。
机の中には覚えのない紙が入っていた。
“ソレイル様から離れろ。”
アースは息を呑んだ。体はプルプルと震えている。
「アース?どうかした?」
ソレイルが心配する。
「ん?何だこれ?紙に何か書いてあるけど…落書き?」
「そうだよな。ソレイルは読めないよな。」
「?アースは読めるの?」
これは日本語だ。ほとんど忘れかけていた言語。懐かしい文字に心が躍る。日本で暮らしていた日々の記憶が蘇る。アースは紙をぎゅっと抱きしめる。
ソレイルのことをソレイル様なんて親しく呼んで、こんな手紙を書く人を俺は1人しか知らない。
「…やっぱりステラは転生者だったんだ…!」
同じ転生者同士、何とかして仲良くなれないだろうか。ステラといったん話そう。日本について語り合いたい。どんな生活を送っていたのか、いつ頃の日本にいたのか。アースはステラに敵意を向けられてることも忘れて、意気込んだ。
白い紙に落書きのようなものが書かれている。アースは読めると言っているが、こんな形の言語は全くみたことがない。普段自分たちが使っているものとは全く異なるもの。それをアースは大事そうに眺めている。
まただ。
ソレイルは思う。
また、あの目だ。アースは何かを隠している。
アースは時々消えてしまいそうな雰囲気を出すことがある。心ここに在らずといった状態でぼうっとしている。
ソレイルは、いつかその何かがキッカケでアースが自分から離れていくのではと考えていた。
城下町でデートした時もあの目をしていた。確か鎖国の国が話題になっていた時。あのかんざしをあげた時。そういえば、あのかんざしも、遥か昔、鎖国をしていなかった頃のあの国が伝統工芸品として輸出したものだった。
あの国について調べなくてはならない。
いつか、アースが自分の腕の中から消える前に。
俺はステラに向けて日本語で手紙を書いた。
“放課後、中庭のガゼボで。”
「あんたやっぱり転生者だったのね。」
「ステラ嬢!同じ転生者に会えて嬉しいよ!」
「はあ?ふざけたこと言わないでよ。あんたがいなければ、私は今からソレイル様と恋人になってたのよ!あんたはおじゃま虫なのよ。ていうか、あんたよくあの手紙見て仲良くやろうなんて思ったわね。」
「確かに…。同じ転生者に会えた嬉しさで忘れてた。」
「あんた間抜けね。ソレイル殿下はバカが好きなのかしら?」
ステラははあっとため息をついた。
ここまで言われなくてはいけないのだろうか。俺はむすっとする。
「ステラ嬢は日本のこと懐かしく思わないのかよ。」
「全く。大好きなゲームの世界に転生できたのが嬉しいから。
あんたはそんな恵まれた環境にいて、まだ前世なんてもんに固執してるの?ウザいんだけど。」
ステラ嬢がきっと睨む。
ダメだ。俺とステラ嬢は合わないな。
「それでソレイル様と別れてくれるよね?」
「無理だよ。」
「なんでよ。前に恋愛的な意味で好きじゃないって言ってたじゃない。」
「俺…ソレイルのことが好きだって気づいたんだ。だから譲れない。」
ステラは小さくウザと呟いた。
「じゃあ別れさせるまでよ。」
ああ、これから波瀾万丈になりそうだ。
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