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救出と俺
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公爵は相変わらず表情が読み取れない。
「男が選ばれるなど、本来はあってはならないことだ。これは女神様の過ちなのだよ。だから我々は正さなくてはならない。」
「女神様は過ちなど犯さない!それは女神様に対する侮辱だ!」
「女神だって過ちを犯すことだってあるだろう。だから私は正すのだ。周りの人間が不幸にならないように。」
公爵がゆっくりと近づく。
「本当はもっと早くに殺すつもりだった。」
公爵が近づくにつれ顔がはっきりと見えてくる。
「しかし、お前はすぐに王太子の婚約者となり、容易には近づけなくなってしまった。」
公爵の目は暗く澱んでいた。
「今ようやく過ちを正す時だ!」
公爵が大きく剣を振りかぶった。
俺はぎゅっと目を瞑る。
あぁ、最後にソレイルを抱きしめたかった。
「そこまでだ!剣を下ろせ!!」
大きな音を立ててドアが開かれる。
立っていたのはソレイルだった。
公爵が驚いて後ろを向いた瞬間、俺は公爵の足を思いっきり引っ掛けた。
公爵はバランスを崩し、倒れそうになる。
その時、ソレイルが剣を振り翳し、公爵の剣を払う。
「プトレマイオス・プラトン、侯爵令息の誘拐、及び殺人未遂で捕える。」
ソレイルが公爵の喉元に剣を突きつける。
「なぜ…!なぜここが分かった!?
証拠は何も残していない筈だ!計画は完璧だった筈だ!!」
「この扉を開くまで公爵が犯人だなんて想像もしていなかった。それでも、ここが分かったのは、耳飾りのおかげだ。
俺がプレゼントしたアースの耳飾りは追跡魔法がかかっている。対となる耳飾りの持ち主に位置情報を教えてくれる。
アースが姿をくらませて不審に思っていた情報を辿ってここまできた。」
公爵は叫び声をあげ暴れたが、兵士たちに捕まってつれられて行ってしまった。
「それから、ステラ・スカイ。お前も共犯者として牢に入れる。」
「いやっ!いやよ!話しなさいよ!あんたみたいなブサイクが私に触れてもいいとでも思ってるの!?」
ステラは暴れる。
「ソレイル様!これは何かの間違いです!私も被害者なんです!」
「精神もやられているようだ。こいつの言動には注意するように。」
「「はっ!」」
兵士たちが敬礼する。
「アース!!!」
公爵もステラも捕まえて安心したのか、ソレイルはそのまま俺に倒れ込むように抱きついてきた。
「ソレイル…助けてくれてありがとう。」
「アース、無事でよかった。本当に良かったよ。」
ぎゅっとソレイルはキツく抱きしめてくる。
「ちょっと痛いって。」
「アース、俺の前から消えないで。」
「消えないよ。ずっとソレイルのそばにいる。昔そう約束しただろ?」
ソレイルの頭を撫でる。
「…そういえば、この耳飾りにそんな魔法がかかってるなんて知らなかったな。」
ソレイルはビクッと肩を大きく震わせた。
「勝手にそんなことしてごめん。でも、不安だったんだ。ステラ・スカイのことがどうも気に掛かって…。」
「この耳飾りのおかげで助かったからいいんだけどさ。次からはちゃんと教えてくれよ。」
ソレイルの髪をグシャグシャっと撫でるとソレイルは俺の頬にキスしてきた。
都合が悪いことがあると、キスで誤魔化そうとする癖は昔から変わっていない。俺はソレイルの俺にだけ見せるその姿が好きだ。少し甘えたで心配性。でもピンチの時は必ず助けてくれる。
友達から始まった関係だけどいつの間にか恋に落ちていた。
俺、ソレイルがいない世界なんて考えられないから。
女神に選ばれて、ソレイルの婚約者になれて良かった。
アースはソレイルをもう一度抱きしめて、優しくキスをした。
一旦この章は終わりにしようと思っています。ご好評だったら、第二部も書こうと考えています。
今まで読んでくださってありがとうございました。小説を書くのは慣れないことだらけでしたが、ここまで楽しく書けたのは、コメントしてくださったり、お気に入りしてくださったりした皆様のおかげです。
本当にありがとうございました。
「男が選ばれるなど、本来はあってはならないことだ。これは女神様の過ちなのだよ。だから我々は正さなくてはならない。」
「女神様は過ちなど犯さない!それは女神様に対する侮辱だ!」
「女神だって過ちを犯すことだってあるだろう。だから私は正すのだ。周りの人間が不幸にならないように。」
公爵がゆっくりと近づく。
「本当はもっと早くに殺すつもりだった。」
公爵が近づくにつれ顔がはっきりと見えてくる。
「しかし、お前はすぐに王太子の婚約者となり、容易には近づけなくなってしまった。」
公爵の目は暗く澱んでいた。
「今ようやく過ちを正す時だ!」
公爵が大きく剣を振りかぶった。
俺はぎゅっと目を瞑る。
あぁ、最後にソレイルを抱きしめたかった。
「そこまでだ!剣を下ろせ!!」
大きな音を立ててドアが開かれる。
立っていたのはソレイルだった。
公爵が驚いて後ろを向いた瞬間、俺は公爵の足を思いっきり引っ掛けた。
公爵はバランスを崩し、倒れそうになる。
その時、ソレイルが剣を振り翳し、公爵の剣を払う。
「プトレマイオス・プラトン、侯爵令息の誘拐、及び殺人未遂で捕える。」
ソレイルが公爵の喉元に剣を突きつける。
「なぜ…!なぜここが分かった!?
証拠は何も残していない筈だ!計画は完璧だった筈だ!!」
「この扉を開くまで公爵が犯人だなんて想像もしていなかった。それでも、ここが分かったのは、耳飾りのおかげだ。
俺がプレゼントしたアースの耳飾りは追跡魔法がかかっている。対となる耳飾りの持ち主に位置情報を教えてくれる。
アースが姿をくらませて不審に思っていた情報を辿ってここまできた。」
公爵は叫び声をあげ暴れたが、兵士たちに捕まってつれられて行ってしまった。
「それから、ステラ・スカイ。お前も共犯者として牢に入れる。」
「いやっ!いやよ!話しなさいよ!あんたみたいなブサイクが私に触れてもいいとでも思ってるの!?」
ステラは暴れる。
「ソレイル様!これは何かの間違いです!私も被害者なんです!」
「精神もやられているようだ。こいつの言動には注意するように。」
「「はっ!」」
兵士たちが敬礼する。
「アース!!!」
公爵もステラも捕まえて安心したのか、ソレイルはそのまま俺に倒れ込むように抱きついてきた。
「ソレイル…助けてくれてありがとう。」
「アース、無事でよかった。本当に良かったよ。」
ぎゅっとソレイルはキツく抱きしめてくる。
「ちょっと痛いって。」
「アース、俺の前から消えないで。」
「消えないよ。ずっとソレイルのそばにいる。昔そう約束しただろ?」
ソレイルの頭を撫でる。
「…そういえば、この耳飾りにそんな魔法がかかってるなんて知らなかったな。」
ソレイルはビクッと肩を大きく震わせた。
「勝手にそんなことしてごめん。でも、不安だったんだ。ステラ・スカイのことがどうも気に掛かって…。」
「この耳飾りのおかげで助かったからいいんだけどさ。次からはちゃんと教えてくれよ。」
ソレイルの髪をグシャグシャっと撫でるとソレイルは俺の頬にキスしてきた。
都合が悪いことがあると、キスで誤魔化そうとする癖は昔から変わっていない。俺はソレイルの俺にだけ見せるその姿が好きだ。少し甘えたで心配性。でもピンチの時は必ず助けてくれる。
友達から始まった関係だけどいつの間にか恋に落ちていた。
俺、ソレイルがいない世界なんて考えられないから。
女神に選ばれて、ソレイルの婚約者になれて良かった。
アースはソレイルをもう一度抱きしめて、優しくキスをした。
一旦この章は終わりにしようと思っています。ご好評だったら、第二部も書こうと考えています。
今まで読んでくださってありがとうございました。小説を書くのは慣れないことだらけでしたが、ここまで楽しく書けたのは、コメントしてくださったり、お気に入りしてくださったりした皆様のおかげです。
本当にありがとうございました。
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