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恐怖の学園編

学園のラブハンター⑥

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「あの女に関わるもの全て壊してやるッ!!」

 怒りに満ち溢れた声が廊下に響く。

 やっぱり!
 声が聞こえてきた部屋の扉を開ける。
 そこには清潔に整えられたベッドに腰かけた冬夜と、今にも――というよりすでに襲いかかっている希望がいた。
 真白は全力で希望を突き飛ばした。

「おぎゃッ!?」

 希望は間抜けな声をあげてぶっ飛んだ。
 窓ガラスを突き破って吹き飛んだ希望はあっという間に小さくなった。

「大丈夫、冬夜くん!?」
「真白さん!? どういうこと??」
「あの娘はサキュバスで、私に恨みがあるみたいで、それを晴らすために冬夜くんを狙っていたらしくて」

 冬夜は目を丸くして、色々と状況を整理している真っ最中のようだ。

「流石は大妖怪――ヴァンパイアね」
「「何でその事を!?」」

 真白も冬夜も、誰かに互いの正体(秘密)を喋ることはしない。

「何でって……」

 軽く服についた埃を手で払いながら、

「吸血行為をする妖怪なんて、そう多くはないでしょ」

 確かに! 今度からはもっと慎重に血を吸わなければ、と思う真白であった。

「さあ、早くこっちに来てくださいよ。二人まとめて相手してあげる」

 希望は翼を使い器用にホバリングして、上空から二人と対峙していた。

 室内に居ては動きが制限されてしまう。
 冬夜と真白は割れた窓から外に出る。

「覚悟を決めたみたいね」

 希望の爪が鋭く伸びる。
 急降下して二人に接近する。
 冬夜は間一髪、希望の爪から逃れる。
 かすっていたのか、制服は見事に切り裂かれていた。
 希望は旋回し再び加速。
 今度は真白へと突っ込んでくる。
 直線的な攻撃ではあるがかなりのスピードで、目で追うのがやっとである。

 真白は冬夜を連れて走る。
 障害物のない場所ではあまりにも一方的にやられてしまう。対処のしようがない。
 障害物の多いお場所に行かなければ――

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