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第三幕 新たな戦場――苦戦続きのバラエティー
ACT90
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ワールド陸上の様な、日本を熱狂の渦に巻き込む一大イベントがない日常に戻ったとたんに『お笑い革命~至高の笑い発信基地局~』の視聴率がV字回復。
まあ、V字と言うほど視聴率は落ち込んではいなかったんだけどね。
しかし、そんな事はどうでもいい。
そんな事より……なんで私は真希とカラオケボックスに来ているのだろう?
いや私が真希の口車に乗せられたというだけの話なんだけど。
今、私と真希は祝勝会という名目でカラオケボックスに来ていた。
綾人と瑞樹。後、なぜか極秘来日をしてきたシェリルの3人を加えた5人での祝勝会はごく普通のカラオケボックスで開催された。
そう、普通と言うのが重要なのだ。
最早ルーティーンと化した週一回の『お笑い革命~至高の笑い発信基地局~』のスタジオ収録終わり。
真希が珍しく声を掛けてきて、
「結衣。祝勝会するわよ」
「は?」
私は嫌悪感を隠すことなく口元を歪めた。
私たちは決して仲良くなったわけではない。
一時的に休戦。そして共闘したに過ぎない。
「そんなに嫌がらなくてもいいじゃない。それに普通に祝勝会をしようってだけで何か仕掛けようって訳じゃないわよ。それに普通の女子高生は訳もなくカラオケに行くものなのよ」
「そ、そうなの……確かにそんな気がしてきたわ」
私は売れっ子女優だ。
普通の生活とは無縁な人種。故に私は普通に憧れを抱いている。
その憧れが原因で、変装して学校潜入なんていうとんでも計画を実行に移して、いろいろ大変な目に合ったんだけど、それでも私の普通への憧れは変わっていない。
そんな私は、普通の女子高生という言葉の響きに釣られてほいほいカラオケについてきてしまったのだ。
さすがに真希と二人きりと言うのは気まずいから、綾人と真希を呼び出したという訳だ。
それは真希の方も同じで、実の妹であるシェリルを呼んでいた。
「シェリル日本に来てたんだ」
「ん? 今朝こっちに着いた」
「今朝? 何かのプロモーション?」
「違うよ~。お姉ちゃんに呼ばれたから来た。だから時差ボケひどいのよ。めちゃくちゃ眠い」
真希の妹と言うだけでアメリカから呼び出しを食らう。
シェリルには同情するほかない。
ドンマイ、シェリル。
せめてアナタの分のお金は払ってあげる……あれ? 私、シェリルにお金を貸してるよね?
むしろここは奢ってもらってもいいんじゃない?
「でも私の出番はなかったわね」
少し残念そうにシェリルが言う。
「出番って?」
瑞樹はハリウッド女優シェリル・マクレーンを前にしても、かつての同級生、逢里詩乃と同様に尋ねた。
「お姉ちゃんに頼まれごとしててね。なんとかって言うアイドルを叩いて欲しいって」
なんとかって言うアイドルとはMIKAの事だろう。
真希が長年ひた隠しにしてきた罪を告白するがごとく神妙な顔を作って、
「妹に、MIKAは私に比べるといかに無能な存在なのか語ってもらおうって思ったのよ。
ハリウッド女優の発言力は時に真実さえも捻じ曲げてしまうのよ」
その言い分では真希がMIKAに劣る存在という事になるわよ!? まあ、あえてツッコんだりはしないけど。
真希はやはり策略家で、この策略が私に向かなかったことに心から安堵した。
「え、えっ? 逢里? でも……どう見ても日本人じゃないよな? なんか外国《アッチ》の映画で見たことがあるような?」
綾人は首を傾げ続ける。
瑞樹には話していたが、綾人にはシェリルの事は話していなかった。
終始混乱状態の綾人を1人置き去りにして、祝勝会と言う名の普通のカラオケを楽しんだ。
しかし後日、よくよく考えてみると普通じゃない気がして瑞樹に確認してみると、「日本の売れっ子女優2人に、世界的陸上選手とハリウッド女優が同席するカラオケは普通じゃないよ」と断言された。
やっぱり私は普通じゃないんだ。
普通って難しい。
そんな感傷に浸りながら、私は今日も自分の日常(普通)を謳歌する。
まあ、V字と言うほど視聴率は落ち込んではいなかったんだけどね。
しかし、そんな事はどうでもいい。
そんな事より……なんで私は真希とカラオケボックスに来ているのだろう?
いや私が真希の口車に乗せられたというだけの話なんだけど。
今、私と真希は祝勝会という名目でカラオケボックスに来ていた。
綾人と瑞樹。後、なぜか極秘来日をしてきたシェリルの3人を加えた5人での祝勝会はごく普通のカラオケボックスで開催された。
そう、普通と言うのが重要なのだ。
最早ルーティーンと化した週一回の『お笑い革命~至高の笑い発信基地局~』のスタジオ収録終わり。
真希が珍しく声を掛けてきて、
「結衣。祝勝会するわよ」
「は?」
私は嫌悪感を隠すことなく口元を歪めた。
私たちは決して仲良くなったわけではない。
一時的に休戦。そして共闘したに過ぎない。
「そんなに嫌がらなくてもいいじゃない。それに普通に祝勝会をしようってだけで何か仕掛けようって訳じゃないわよ。それに普通の女子高生は訳もなくカラオケに行くものなのよ」
「そ、そうなの……確かにそんな気がしてきたわ」
私は売れっ子女優だ。
普通の生活とは無縁な人種。故に私は普通に憧れを抱いている。
その憧れが原因で、変装して学校潜入なんていうとんでも計画を実行に移して、いろいろ大変な目に合ったんだけど、それでも私の普通への憧れは変わっていない。
そんな私は、普通の女子高生という言葉の響きに釣られてほいほいカラオケについてきてしまったのだ。
さすがに真希と二人きりと言うのは気まずいから、綾人と真希を呼び出したという訳だ。
それは真希の方も同じで、実の妹であるシェリルを呼んでいた。
「シェリル日本に来てたんだ」
「ん? 今朝こっちに着いた」
「今朝? 何かのプロモーション?」
「違うよ~。お姉ちゃんに呼ばれたから来た。だから時差ボケひどいのよ。めちゃくちゃ眠い」
真希の妹と言うだけでアメリカから呼び出しを食らう。
シェリルには同情するほかない。
ドンマイ、シェリル。
せめてアナタの分のお金は払ってあげる……あれ? 私、シェリルにお金を貸してるよね?
むしろここは奢ってもらってもいいんじゃない?
「でも私の出番はなかったわね」
少し残念そうにシェリルが言う。
「出番って?」
瑞樹はハリウッド女優シェリル・マクレーンを前にしても、かつての同級生、逢里詩乃と同様に尋ねた。
「お姉ちゃんに頼まれごとしててね。なんとかって言うアイドルを叩いて欲しいって」
なんとかって言うアイドルとはMIKAの事だろう。
真希が長年ひた隠しにしてきた罪を告白するがごとく神妙な顔を作って、
「妹に、MIKAは私に比べるといかに無能な存在なのか語ってもらおうって思ったのよ。
ハリウッド女優の発言力は時に真実さえも捻じ曲げてしまうのよ」
その言い分では真希がMIKAに劣る存在という事になるわよ!? まあ、あえてツッコんだりはしないけど。
真希はやはり策略家で、この策略が私に向かなかったことに心から安堵した。
「え、えっ? 逢里? でも……どう見ても日本人じゃないよな? なんか外国《アッチ》の映画で見たことがあるような?」
綾人は首を傾げ続ける。
瑞樹には話していたが、綾人にはシェリルの事は話していなかった。
終始混乱状態の綾人を1人置き去りにして、祝勝会と言う名の普通のカラオケを楽しんだ。
しかし後日、よくよく考えてみると普通じゃない気がして瑞樹に確認してみると、「日本の売れっ子女優2人に、世界的陸上選手とハリウッド女優が同席するカラオケは普通じゃないよ」と断言された。
やっぱり私は普通じゃないんだ。
普通って難しい。
そんな感傷に浸りながら、私は今日も自分の日常(普通)を謳歌する。
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