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第六章
第八十一話・リュウジールへの旅⑨『秘密』
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アレンは驚いて棒立ちになったが、クリシュと名乗った青年は片膝を付くと長い腕でアレンをさっと抱擁して頬にキスした。それを見ていた皆は足で床を鳴らしたり、口笛を吹いて二人を冷やかした。
アレンは、赤くなってクリシュから離れようと、腕を突っ撥ねたが彼は長い体躯を伸ばしてアレンの耳に囁いた。
「君は水と炎を操れるんだね。とても綺麗な馬だ」アレンは、思わずクリシュの顔を見た。
「君は、皆と逸れて川床に座り込んでいた時だ」今度は普通に話す。彼は、周りの冷やかしに全く動じていない。
(あの時だ・・・どおりで、ディランが出て来なかった訳だ)
「どう、思い出した?」
アレンは頷いた。
彼は、又、アレンに顔を近付けると、小さな声で囁いた。
「俺は、風を操れるんだよ」そう言うと、顔を離してアレンの瞳を覗き込む。
アレンは唯、こっくりと頷くに留めた。
(これは、大変な秘密だ。どうして、会ったばかりの僕に・・・)
彼は、アレンの疑問を読んだように頭を撫ぜた。
「聡くて、いい子だ」
「ね。俺達はお似合いだと、思わないか?」
「ええ?だって、僕もあなたも男でしょ。結婚はできないよ」
「うん、残念だ。だが、恋人同士にはなれる。・・・もしくは、婚約者同士に」
「無理だよ」
「う~ん。そうかな」
「うん。無理」アレンの返事を聞くと、又、顔を寄せて囁いた。
「でも、協力し合うのはどうだ?秘密を知った者同士。俺達が力を組めば最強だ」
そう言うと、にこりと笑ったが、彼の目は少しも笑っておらず、怖いほど真剣だった。
「おいおい、何時までいちゃついてるんだ。食事が冷めちまうぞ」ロンデルが大声でからかった。
「もう、振られたよ。ご心配なく」クリシュは心配そうに、こちらを窺っているジョエル達に聞こえるように大きな声で応じた。
「さあ、まずは食事をしよう」
彼は、アレンを促して自分の前に座らせると、甲斐甲斐しく世話を焼き始めて、又、皆の冷やかしを受けたが、全く意に介さなかった。
クリシュは食事が目の前に揃うと、食べ易いように紐を取り出して下ろしていた黒髪を一つに括った。括る事によって晒された彼の耳は先が尖っている。アレンは、その耳を不思議そうに眺めた。
「俺には“妖精族の血が流れている“、かも知れない」アレンと目が合うと、彼は言った。
「そうなの?」
「どう思う?」
「さあ?僕は妖精族を見た事無いから」
「でも、マイヨール族みたいな耳だね。それに背も高い」ケルトがクリシュの耳を指して言う。
「マイヨール族?」
「妖精族の事だよ、アレン」
「やっぱり君は、エイランド国の人間なんだな、アレン」
アレンは何処まで話していいのか迷った。幾ら大事な『秘密』を打ち明けてくれたとしても、クリシュの事は何も知らない。クリシュはアレンの逡巡を見てとった。
「いいよ、無理に答えなくて。でも、どうして亜人達と一緒に旅しているんだ?ふふ、これにも答えられないか」
クリシュは矛先をケルトに替える。
「ケルト、最初にここを通った時より、人数が半分くらいに減ったな。他の人達はどうした?」
「どうして知ってるの?」ケルトは驚いてクリシュの顔を見た。
「そりゃ、亜人が結構な人数で隊を組んでエイランド国へ行ったんだ。ここらへんは暫く、その話題で持ち切りだった。君達の中で隣国のエイランドへ、旅するのは初めての事なんだろう。君達は、余り旅をしない」
「・・・・」ケルトは返事に困って、黙り込んだ。
「ねえ、ケルト。人数が半分に減ったって本当?何度も受けたって言う襲撃の所為?」アレンは心配になって問い掛ける。
「うん、何人も亡くなったよ。でも、王都近くの峠では、兵隊達が三十人掛かりで襲って来て絶対絶命になったけど、助けてくれる人が現れて、僕達は全滅を免れたんだ。彼がいなかったら、僕はここに居ない」ケルトはそう言うと、顔を上げてアレンを見た。その眼には感謝の思いが溢れてる。
アレンは、言葉に詰まる。
「なるほど、なるほど。君が彼等を助けて、今、ここで一緒に旅している訳だ」訳知り顔で、クリシュは最後まで言葉にしてしまう。
「・・・・」今度は、アレンが押し黙った。
「ははは。さあ、最後まで食べてしまおう。でないと、女将に失礼だ」クリシュはそう言うと、優雅な動作で食事に集中した。
(彼は一体、何者だろう)結局、彼は部屋が空いていると聞いて、同じ宿に泊った。
次の朝、食事をしてから旅の用意をして幌馬車に乗り込んだが、食事の時からクリシュは見当たらず、どうやら宿をもう出た様で何だか、肩透かしを食った気分がした。
街の外れまでやって来ると、今は使われていない櫓の下に、馬に乗ったクリシュが待っていた。ロンデルとジョエルが寄って行く。暫く何か遣り取りしていたが、ジョエルが先に怒ってアレン達の側に戻ってきた。
やがて、ロンデルは出発だと言う風に手を振ったので、一向は又、道を進み始める。
アレンの乗った幌馬車が櫓の側を通ると、クリシュが側に寄って来た。
「やあ、俺も暫く一緒に行くよ。よろしく、アレン、ケルト」
アレンとケルトは顔を見合わせると、頷いた。(今や、アレンとケルトは同じ馬車に乗っている)
クリシュは道縋ら、色々な案内をしてくれて、アレンと、ケルトを楽しませてくれた。お昼時には、良い所を知っていると、街道からも近い、程なく開けた川縁に案内してくれた上、魚をたくさん採って皆に御馳走してくれた。
( 川には大掛かりな魚籠が仕掛けてあり、その魚を分けてくれた事から、この辺りの者だと知れた)
夜にも、最適な野営地を教えてくれた上、お酒を皆に振舞って男達の心をがっちり掴んでしまった。
次の日のお昼過ぎだった。昼食が終わり、皆で街道に戻った時、東から馬を飛ばして数人がやって来るのが見えたので、邪魔にならないよう道の端に馬車を寄せる。
ところが、急いで来た者達は、馬車が目に入ると速度を落として、手前で馬を止めた。
「ナリス様!良かった、お探し致しました」彼はクリシュを見て言った。皆は顔を見合わせたり、クリシュの方を窺う。
「俺は、旅に出ると、タルクにちゃんと言って来た。帰らないぞ」クリシュは否定せず、不機嫌そうに言い放ったので、彼の名前は偽名だと知れた。
「そうではありません!バッタの大群が発生したのです。北のデイン領は穀倉地帯が半分壊滅して、此方に南下しているようです。直ぐに、お戻りを」それを聞いた皆は口ぐちに囁き合った。
「それって、不味いんじゃないか」
「ああ、進路が変われば、後ろから追われるかもしれないな」
「穀倉地帯がやられちゃあ、そうとう不味いよ」
「いや、もし追いつかれたら俺達の食料も、ただじゃあ済まない」
「しかし、バッタの大群なんて、どうしようもないぜ」
「今、どこまで来ているか分かるか」考え込んでいたクリシュが問う。
「今朝の知らせでは、ルード地域に飛来したと・・・」
「もう、そこまで来ているではないか!」
「残念ながら・・・」
それを聞いたナリスは更に逡巡した。
「大丈夫?クリシュ」アレンは心配して声を掛けると、彼は振り向いた。
「済まない、俺の名前はナリスと言う。アレン、力を貸してくれ。頼む」ナリスは頭を下げた。
ジョエルがすかさず、アレンとナリスの間に馬を入れて来た。
「無理だ。力を貸す事は出来ない。第一、何の力にもなれないし、アレンを危険な目に遭わせる訳にいかない」
「頼む、ジョエル。アレンの”炎の力”を貸して欲しいんだ」
その言葉を聞いて、ジョエルはアレンを振り返る。
「違うんだ、ジョエル。俺が偶然、”炎”で身体を乾かすアレンを見たんだ」
「・・・それでも、アレンの炎の力だけで、バッタの大群を追い払えるとはとうてい思えない。無理だ」
「俺は”風を操れる”」ナリスは意を決してジョエルに訴えた。
「ナリス様!」
「いいんだ、こんな時に秘密にしていても始まらない」
「ジョエル。俺の風の力でアレンを絶対守ってみせる。だから、頼む」
「無理だ」
「ジョエル。僕、ナリスと力を合わせてやってみたい」
「アレン、ありがとう!」
「駄目だ、アレン。どうにかなる数では無い筈だ」
「でも、数は減らす事ができるかもしれないよ。お願い、ジョエル。皆を助けたい」
「俺達からも頼む。バッタ達は、どこに進路を変えるか分からない」ナグ達、亜人も側に寄って来て頼んだ。
「ジョエル。俺達も、アレンに付いて行く。必ず、守り通して見せる。だから、行かせてやれ」ロンデル迄、アレン達に味方してくれた。
「ジョエル、僕が守護魔獣を手に入れたのは、皆を守る為だよ。だから、僕は行きたい」
アレンに守護魔獣を手に入れて、皆を守って欲しいと頼んだのは、ジョエルだった。だが、こんな危険な目にばかり遭わせてばかりいる事に、日々、後悔している。
「ジョエル、お願い」
「・・・分かったよ。だが、無理だと分かったら、直ぐに逃げるんだ。約束だ」
「ありがとう、ジョエル」
「感謝する。無理なら、アレンを直ぐに、逃がすよ。約束する」ナリスは再び、頭を下げた。
+++++++++
第八十二話・リュウジールへの旅⑩風と炎と
アレンは、赤くなってクリシュから離れようと、腕を突っ撥ねたが彼は長い体躯を伸ばしてアレンの耳に囁いた。
「君は水と炎を操れるんだね。とても綺麗な馬だ」アレンは、思わずクリシュの顔を見た。
「君は、皆と逸れて川床に座り込んでいた時だ」今度は普通に話す。彼は、周りの冷やかしに全く動じていない。
(あの時だ・・・どおりで、ディランが出て来なかった訳だ)
「どう、思い出した?」
アレンは頷いた。
彼は、又、アレンに顔を近付けると、小さな声で囁いた。
「俺は、風を操れるんだよ」そう言うと、顔を離してアレンの瞳を覗き込む。
アレンは唯、こっくりと頷くに留めた。
(これは、大変な秘密だ。どうして、会ったばかりの僕に・・・)
彼は、アレンの疑問を読んだように頭を撫ぜた。
「聡くて、いい子だ」
「ね。俺達はお似合いだと、思わないか?」
「ええ?だって、僕もあなたも男でしょ。結婚はできないよ」
「うん、残念だ。だが、恋人同士にはなれる。・・・もしくは、婚約者同士に」
「無理だよ」
「う~ん。そうかな」
「うん。無理」アレンの返事を聞くと、又、顔を寄せて囁いた。
「でも、協力し合うのはどうだ?秘密を知った者同士。俺達が力を組めば最強だ」
そう言うと、にこりと笑ったが、彼の目は少しも笑っておらず、怖いほど真剣だった。
「おいおい、何時までいちゃついてるんだ。食事が冷めちまうぞ」ロンデルが大声でからかった。
「もう、振られたよ。ご心配なく」クリシュは心配そうに、こちらを窺っているジョエル達に聞こえるように大きな声で応じた。
「さあ、まずは食事をしよう」
彼は、アレンを促して自分の前に座らせると、甲斐甲斐しく世話を焼き始めて、又、皆の冷やかしを受けたが、全く意に介さなかった。
クリシュは食事が目の前に揃うと、食べ易いように紐を取り出して下ろしていた黒髪を一つに括った。括る事によって晒された彼の耳は先が尖っている。アレンは、その耳を不思議そうに眺めた。
「俺には“妖精族の血が流れている“、かも知れない」アレンと目が合うと、彼は言った。
「そうなの?」
「どう思う?」
「さあ?僕は妖精族を見た事無いから」
「でも、マイヨール族みたいな耳だね。それに背も高い」ケルトがクリシュの耳を指して言う。
「マイヨール族?」
「妖精族の事だよ、アレン」
「やっぱり君は、エイランド国の人間なんだな、アレン」
アレンは何処まで話していいのか迷った。幾ら大事な『秘密』を打ち明けてくれたとしても、クリシュの事は何も知らない。クリシュはアレンの逡巡を見てとった。
「いいよ、無理に答えなくて。でも、どうして亜人達と一緒に旅しているんだ?ふふ、これにも答えられないか」
クリシュは矛先をケルトに替える。
「ケルト、最初にここを通った時より、人数が半分くらいに減ったな。他の人達はどうした?」
「どうして知ってるの?」ケルトは驚いてクリシュの顔を見た。
「そりゃ、亜人が結構な人数で隊を組んでエイランド国へ行ったんだ。ここらへんは暫く、その話題で持ち切りだった。君達の中で隣国のエイランドへ、旅するのは初めての事なんだろう。君達は、余り旅をしない」
「・・・・」ケルトは返事に困って、黙り込んだ。
「ねえ、ケルト。人数が半分に減ったって本当?何度も受けたって言う襲撃の所為?」アレンは心配になって問い掛ける。
「うん、何人も亡くなったよ。でも、王都近くの峠では、兵隊達が三十人掛かりで襲って来て絶対絶命になったけど、助けてくれる人が現れて、僕達は全滅を免れたんだ。彼がいなかったら、僕はここに居ない」ケルトはそう言うと、顔を上げてアレンを見た。その眼には感謝の思いが溢れてる。
アレンは、言葉に詰まる。
「なるほど、なるほど。君が彼等を助けて、今、ここで一緒に旅している訳だ」訳知り顔で、クリシュは最後まで言葉にしてしまう。
「・・・・」今度は、アレンが押し黙った。
「ははは。さあ、最後まで食べてしまおう。でないと、女将に失礼だ」クリシュはそう言うと、優雅な動作で食事に集中した。
(彼は一体、何者だろう)結局、彼は部屋が空いていると聞いて、同じ宿に泊った。
次の朝、食事をしてから旅の用意をして幌馬車に乗り込んだが、食事の時からクリシュは見当たらず、どうやら宿をもう出た様で何だか、肩透かしを食った気分がした。
街の外れまでやって来ると、今は使われていない櫓の下に、馬に乗ったクリシュが待っていた。ロンデルとジョエルが寄って行く。暫く何か遣り取りしていたが、ジョエルが先に怒ってアレン達の側に戻ってきた。
やがて、ロンデルは出発だと言う風に手を振ったので、一向は又、道を進み始める。
アレンの乗った幌馬車が櫓の側を通ると、クリシュが側に寄って来た。
「やあ、俺も暫く一緒に行くよ。よろしく、アレン、ケルト」
アレンとケルトは顔を見合わせると、頷いた。(今や、アレンとケルトは同じ馬車に乗っている)
クリシュは道縋ら、色々な案内をしてくれて、アレンと、ケルトを楽しませてくれた。お昼時には、良い所を知っていると、街道からも近い、程なく開けた川縁に案内してくれた上、魚をたくさん採って皆に御馳走してくれた。
( 川には大掛かりな魚籠が仕掛けてあり、その魚を分けてくれた事から、この辺りの者だと知れた)
夜にも、最適な野営地を教えてくれた上、お酒を皆に振舞って男達の心をがっちり掴んでしまった。
次の日のお昼過ぎだった。昼食が終わり、皆で街道に戻った時、東から馬を飛ばして数人がやって来るのが見えたので、邪魔にならないよう道の端に馬車を寄せる。
ところが、急いで来た者達は、馬車が目に入ると速度を落として、手前で馬を止めた。
「ナリス様!良かった、お探し致しました」彼はクリシュを見て言った。皆は顔を見合わせたり、クリシュの方を窺う。
「俺は、旅に出ると、タルクにちゃんと言って来た。帰らないぞ」クリシュは否定せず、不機嫌そうに言い放ったので、彼の名前は偽名だと知れた。
「そうではありません!バッタの大群が発生したのです。北のデイン領は穀倉地帯が半分壊滅して、此方に南下しているようです。直ぐに、お戻りを」それを聞いた皆は口ぐちに囁き合った。
「それって、不味いんじゃないか」
「ああ、進路が変われば、後ろから追われるかもしれないな」
「穀倉地帯がやられちゃあ、そうとう不味いよ」
「いや、もし追いつかれたら俺達の食料も、ただじゃあ済まない」
「しかし、バッタの大群なんて、どうしようもないぜ」
「今、どこまで来ているか分かるか」考え込んでいたクリシュが問う。
「今朝の知らせでは、ルード地域に飛来したと・・・」
「もう、そこまで来ているではないか!」
「残念ながら・・・」
それを聞いたナリスは更に逡巡した。
「大丈夫?クリシュ」アレンは心配して声を掛けると、彼は振り向いた。
「済まない、俺の名前はナリスと言う。アレン、力を貸してくれ。頼む」ナリスは頭を下げた。
ジョエルがすかさず、アレンとナリスの間に馬を入れて来た。
「無理だ。力を貸す事は出来ない。第一、何の力にもなれないし、アレンを危険な目に遭わせる訳にいかない」
「頼む、ジョエル。アレンの”炎の力”を貸して欲しいんだ」
その言葉を聞いて、ジョエルはアレンを振り返る。
「違うんだ、ジョエル。俺が偶然、”炎”で身体を乾かすアレンを見たんだ」
「・・・それでも、アレンの炎の力だけで、バッタの大群を追い払えるとはとうてい思えない。無理だ」
「俺は”風を操れる”」ナリスは意を決してジョエルに訴えた。
「ナリス様!」
「いいんだ、こんな時に秘密にしていても始まらない」
「ジョエル。俺の風の力でアレンを絶対守ってみせる。だから、頼む」
「無理だ」
「ジョエル。僕、ナリスと力を合わせてやってみたい」
「アレン、ありがとう!」
「駄目だ、アレン。どうにかなる数では無い筈だ」
「でも、数は減らす事ができるかもしれないよ。お願い、ジョエル。皆を助けたい」
「俺達からも頼む。バッタ達は、どこに進路を変えるか分からない」ナグ達、亜人も側に寄って来て頼んだ。
「ジョエル。俺達も、アレンに付いて行く。必ず、守り通して見せる。だから、行かせてやれ」ロンデル迄、アレン達に味方してくれた。
「ジョエル、僕が守護魔獣を手に入れたのは、皆を守る為だよ。だから、僕は行きたい」
アレンに守護魔獣を手に入れて、皆を守って欲しいと頼んだのは、ジョエルだった。だが、こんな危険な目にばかり遭わせてばかりいる事に、日々、後悔している。
「ジョエル、お願い」
「・・・分かったよ。だが、無理だと分かったら、直ぐに逃げるんだ。約束だ」
「ありがとう、ジョエル」
「感謝する。無理なら、アレンを直ぐに、逃がすよ。約束する」ナリスは再び、頭を下げた。
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第八十二話・リュウジールへの旅⑩風と炎と
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