Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?

書鈴 夏(ショベルカー)

文字の大きさ
14 / 26

夏だ!祭りだ!③〜波乱〜

しおりを挟む
 それから。じゃがバターや串焼きなんかを堪能し、山車のパフォーマンスにも目を奪われ。あらかた店を見終わったか、というときだった。楓真が足を止めて、なにかの屋台をじっと見つめて。何かと思えば、そこは──おめんの屋台のようだった。

「お面買ってくる!! ごめん、ここでちょっとまってて!!」

「買うんだ……」

 何を買うのだろう。昔から人気だったり、最近流行りのキャラクター、それにキツネのお面なんかがあるけれど。

「楓真が最近ハマってるキャラのあったからねー」

「ああ、家でたまに見てるあれですか」

「そうそう、あれ」

 どれなんだ。
 ツーカーで通じる彼らのやりとりに、首をかしげる。親友として楓真の近くにはいたものの、彼が好きなキャラクターがどれかわかりはしなかった。ちょっと、悔しいかもしれない。

 勝ち目もない嫉妬を覚えていれば。楓真がいなくなって、三人だけになる。沈黙が落ちるけれど、前ほどの気まずさは感じない。それはひとえに、彼らがどんな形であれ苦手なはずの人間と何度も関わってくれるからであって。少しずつでも、彼らのことがわかっていったから。それは、素直に──嬉しいのだ。時には、というか結構な頻度で恐怖を感じたが、彼らの気持ちを考えればそういう態度になってしまうのも頷けるから。
 今だって、"あれ"で通じるふたりの会話も、俺という異分子には理解できなかった。何が言いたいかというと、つまり──それでも俺なんかをこのグループに入れてくれている事実が、胸に染み入るのだ。そうでなかったら、俺なんかは入る余地も無くて、兄弟三人で祭りに来ていただろう。だってその方が、気を遣わなくて楽だろうから。

 なんだか、どうしようもなく感情が昂ってしまう。祭りの非日常感がそうさせたのだろうか。俺はふたりに向き直って、気がつけば口を開いていた。

「ありがとうございます」

「……どうしたの、いきなり?」

 優真さんが不思議そうに瞬く。当たり前だろう。脈絡もなく突然お礼を言われるだなんて、不審でしかない。
 笑いを零してから、また口を開く。今は不思議と、なんでも言えるような気がした。

「感謝してるんです。俺と仲良くしてくれて」

「そんなの当たり前じゃない」

「……そ、そうですよ」

 今更隠さなくてもいいのに。今ここには三人だけなのだから、楓真が聞くこともないのに。こういうところに、好感が持てる。きっと、彼らなりに普段の敵意は隠そうとしてくれていたのだろう。結果としてダダ漏れにはなってはいるが、そう思うとなんだか──意外と不器用なところもあるのか、と笑ってしまいそうになった。
 陽真くんはほんの少し目を見開いているが、優真さんはいつも通り微笑んでいる。その目には、どんな意図があるのか、探るような色が浮かんでいたけれど。

「だってふたりとも、なんやかんや優しくしてくれるじゃないですか」



 ──俺のこと苦手なのに。




 言葉を付け足した、その瞬間。空気が凍った、ように思えた。


「え?」
「は?」


 ふたりの声が重なる。そこには──絶望に似た色が滲んでいて。



「……え?」



 てっきり、まあ、なんて濁した反応が来るかと思い込んでいたから。
 予想外の反応に──俺は、間抜けな声を発することしかできなかった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。

とうふ
BL
題名そのままです。 クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。

劣等生の俺を、未来から来た学院一の優等生が「婚約者だ」と宣言し溺愛してくる

水凪しおん
BL
魔力制御ができず、常に暴発させては「劣等生」と蔑まれるアキト。彼の唯一の取り柄は、自分でも気づいていない規格外の魔力量だけだった。孤独と無力感に苛まれる日々のなか、彼の前に一人の男が現れる。学院一の秀才にして、全生徒の憧れの的であるカイだ。カイは衆目の前でアキトを「婚約者」だと宣言し、強引な同居生活を始める。 「君のすべては、俺が管理する」 戸惑いながらも、カイによる徹底的な管理生活の中で、アキトは自身の力が正しく使われる喜びと、誰かに必要とされる温かさを知っていく。しかし、なぜカイは自分にそこまで尽くすのか。彼の過保護な愛情の裏には、未来の世界の崩壊と、アキトを救えなかったという、痛切な後悔が隠されていた。 これは、絶望の運命に抗うため、未来から来た青年と、彼に愛されることで真の力に目覚める少年の、時を超えた愛と再生の物語。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

親衛隊は、推しから『選ばれる』までは推しに自分の気持ちを伝えてはいけないルール

雨宮里玖
BL
エリート高校の親衛隊プラスα×平凡無自覚総受け 《あらすじ》 4月。平凡な吉良は、楯山に告白している川上の姿を偶然目撃してしまった。遠目だが二人はイイ感じに見えて告白は成功したようだった。 そのことで、吉良は二年間ずっと学生寮の同室者だった楯山に自分が特別な感情を抱いていたのではないかと思い——。 平凡無自覚な受けの総愛され全寮制学園ライフの物語。

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

処理中です...