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銀色の髪、赤い瞳。
くせ毛のフワフワした髪はセンター分けされていて歩くたびフワフワしていた。
「ここがどこだか分かってるのか⁈姉上の部屋に近いこの場所で今度はあの人に何をしようとしてたんだ!!」
「えっと…」
やってきて早々、何故か機嫌の悪い彼。
ん~っと、、誰だったっけな~この人。
アカン…ゲームのキャラなのだろうが知らない人が次から次へと出てくる。
「へロイス様」
シャロンの言葉に思い返す。
ん?へロイス???
へロイスって、サザンカのお兄ちゃんだ!!
やっと思い出した。
へロイスは作中でもわりと早くから登場するキャラでシャロン同様にゲーム内の攻略対象に含まれている。サザンカの二つ上の兄で魔法学に深く精通し高い知能を持っていた。
「申し訳ありません。サザンカ様はただいま記憶障害のところがあり、」
「記憶障害?昨日の件で謹慎中だと聞いてたんだけど」
昨日の件とは、ヒロイン主催のお茶会で盛大にサザンカがやらかした話だ。ヒロインに恥をかかせようと階段を下りるところを足でひっかけようとする、何とも子供じみた悪ふざけをしようとしていた。だがつい浮かれて自分が足を踏む外して階段から転げ落ちてしまったのだ。しかも一番上から。
頭を強打なんてしてしまったもんだから周囲もざわついた。
幸いにも軽症だったようだが、転生して馴染めない影響か記憶障害と疑われる始末。
「いいザマだな(笑)」
へロイスは馬鹿にしたように笑ってきた。
どうやらサザンカの悪事は兄妹の間でも有名なぐらい分かりやすかったよう。例え妹とはいえ憐みの欠片もない。
「お兄ちゃん!!」
「うわぁ!な、なんだよ、、、」
だがサザンカはそんなのへでもなかった。
何故なら既に興味は別のベクトルへ向けられていたから。
「お兄ちゃんって魔法使えるんでしょ⁈凄い!!私にも教えてくれ~!!」
「は、はあ???つか、その"お兄ちゃん"ってなんだよ!!!」
向こうはだいぶ焦っていたが変人を止められるはずもない。今のサザンカは東堂明日輝なのだ。明日輝からしたら昨日の茶会のことなんかどうでも良かった。え?ただ茶を飲むだけ?つまんね~ぐらいには。
「今度教えて貰うから!そしたら教えてね!!じゃあ部屋戻るから~」
「は?お、おい!!」
颯爽と言いたいことだけ言って去っていく。
後ろではへロイスが叫ぶも全くもってサザンカの耳には届くことはなかった。
部屋に戻ったサザンカはまた少しおさらいしてみることにした。へロイスは公爵である父と後妻との間に産まれた。生まれつき魔力は高かったため、あらゆる知識と開発魔として学園卒業後は魔法塔に就職する。研究者としても優秀。だがそんなへロイスにも弱点はあった。
それは愛情に飢えていたという点。
元々エヴァーソン家は『国の守護神』と呼ばれる武力一家。前妻との間に産まれた最初の子供である兄。幼き頃から剣の才に優れ、エヴァーソン家の次期当主として名を馳せるソードマスターだった。反対にへロイスには剣の才がない。終いには天才型の兄に魔力でさえ勝てないと知ると、ますます嫉妬と野心が芽生え始める。
努力しても優先される兄。
唯一残された妹のサザンカはそんな黒い野望を抱えたへロイスに利用されることとなる。
兄を殺害しようと黒魔法に手をかけるへロイス。
その代償は生きた生娘の血。甘い言葉でサザンカを誘惑して黒魔法を展開させるも悪事はバレて最後には公爵達に処刑されてしまう。
サザンカも共犯者として殺される。
つまり最後までへロイスの駒としてバットエンドなわけ。
「ほあ~?じゃあサザンカはへロイスルートでも黒魔法による、兄貴殺害容疑で一緒に殺されると??」
最悪じゃないか!!!
いやホントに見事なるとばっちり。
必死に弁明しても今までのヒロインのつけが大いにあったせいか誰にも信じてもらえず。兄貴の口車に乗せられて終いには死亡ですか、、、
「流石に可哀想な私!!!」
でもちょっと待って。
それを言うならシャロンルートもあるって、みっちゃんが話してたような。
くせ毛のフワフワした髪はセンター分けされていて歩くたびフワフワしていた。
「ここがどこだか分かってるのか⁈姉上の部屋に近いこの場所で今度はあの人に何をしようとしてたんだ!!」
「えっと…」
やってきて早々、何故か機嫌の悪い彼。
ん~っと、、誰だったっけな~この人。
アカン…ゲームのキャラなのだろうが知らない人が次から次へと出てくる。
「へロイス様」
シャロンの言葉に思い返す。
ん?へロイス???
へロイスって、サザンカのお兄ちゃんだ!!
やっと思い出した。
へロイスは作中でもわりと早くから登場するキャラでシャロン同様にゲーム内の攻略対象に含まれている。サザンカの二つ上の兄で魔法学に深く精通し高い知能を持っていた。
「申し訳ありません。サザンカ様はただいま記憶障害のところがあり、」
「記憶障害?昨日の件で謹慎中だと聞いてたんだけど」
昨日の件とは、ヒロイン主催のお茶会で盛大にサザンカがやらかした話だ。ヒロインに恥をかかせようと階段を下りるところを足でひっかけようとする、何とも子供じみた悪ふざけをしようとしていた。だがつい浮かれて自分が足を踏む外して階段から転げ落ちてしまったのだ。しかも一番上から。
頭を強打なんてしてしまったもんだから周囲もざわついた。
幸いにも軽症だったようだが、転生して馴染めない影響か記憶障害と疑われる始末。
「いいザマだな(笑)」
へロイスは馬鹿にしたように笑ってきた。
どうやらサザンカの悪事は兄妹の間でも有名なぐらい分かりやすかったよう。例え妹とはいえ憐みの欠片もない。
「お兄ちゃん!!」
「うわぁ!な、なんだよ、、、」
だがサザンカはそんなのへでもなかった。
何故なら既に興味は別のベクトルへ向けられていたから。
「お兄ちゃんって魔法使えるんでしょ⁈凄い!!私にも教えてくれ~!!」
「は、はあ???つか、その"お兄ちゃん"ってなんだよ!!!」
向こうはだいぶ焦っていたが変人を止められるはずもない。今のサザンカは東堂明日輝なのだ。明日輝からしたら昨日の茶会のことなんかどうでも良かった。え?ただ茶を飲むだけ?つまんね~ぐらいには。
「今度教えて貰うから!そしたら教えてね!!じゃあ部屋戻るから~」
「は?お、おい!!」
颯爽と言いたいことだけ言って去っていく。
後ろではへロイスが叫ぶも全くもってサザンカの耳には届くことはなかった。
部屋に戻ったサザンカはまた少しおさらいしてみることにした。へロイスは公爵である父と後妻との間に産まれた。生まれつき魔力は高かったため、あらゆる知識と開発魔として学園卒業後は魔法塔に就職する。研究者としても優秀。だがそんなへロイスにも弱点はあった。
それは愛情に飢えていたという点。
元々エヴァーソン家は『国の守護神』と呼ばれる武力一家。前妻との間に産まれた最初の子供である兄。幼き頃から剣の才に優れ、エヴァーソン家の次期当主として名を馳せるソードマスターだった。反対にへロイスには剣の才がない。終いには天才型の兄に魔力でさえ勝てないと知ると、ますます嫉妬と野心が芽生え始める。
努力しても優先される兄。
唯一残された妹のサザンカはそんな黒い野望を抱えたへロイスに利用されることとなる。
兄を殺害しようと黒魔法に手をかけるへロイス。
その代償は生きた生娘の血。甘い言葉でサザンカを誘惑して黒魔法を展開させるも悪事はバレて最後には公爵達に処刑されてしまう。
サザンカも共犯者として殺される。
つまり最後までへロイスの駒としてバットエンドなわけ。
「ほあ~?じゃあサザンカはへロイスルートでも黒魔法による、兄貴殺害容疑で一緒に殺されると??」
最悪じゃないか!!!
いやホントに見事なるとばっちり。
必死に弁明しても今までのヒロインのつけが大いにあったせいか誰にも信じてもらえず。兄貴の口車に乗せられて終いには死亡ですか、、、
「流石に可哀想な私!!!」
でもちょっと待って。
それを言うならシャロンルートもあるって、みっちゃんが話してたような。
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