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そして迎えた異能実地訓練の日。
学園に到着すれば既に沢山の観客達が集まっていた。
生徒達は専用の競技服に着替えて集合する。
サザンカは赤いリボン付きの一つ星マークの刻まれたバッチを胸元に髪を一括りにすれば、これから行われる試合に胸がドキドキしていた。
「サザンカ~!!頑張ってね!」
観客席ではロエナが手を振って応援している。
側にはシャロンが一緒に控えており、貴族達は聖女ロエナの登場にざわつく。
きゃ~!!
可愛いすぎ!!
もちろんサザンカもその一人だった。
ヒロインロエナ!
今日も安定の美しさに目がくらみそう。
暑さ対策に日傘を差しながら、ピンクのドレスで着席するビジュアルが良すぎ案件。
三大公爵家の観客席は他とは違い、比較的観戦しやすい四面のウチの一面に集中して設けられている。
民衆の注目はもちろん特別感が圧倒的。
「おい、サザンカ。オマエ大丈夫なのか?」
見惚れていれば、横ではへロイスが声をかけてきた。
魔法塔で働いている仕事着に着替えており、後ろにはソードマスターの武装をしたお兄様も一緒だ。
「頼むから無茶だけはすんなよ?オマエのことだ、山の一つでも吹き飛ばしそうで怖い。来年度からは裏山使えなくなんじゃねーのか?」
「な、そんなことしないもん!人をゴリラみたいに」
「ゴリラでもなきゃ、部屋の壁に穴は開かないだろ」
「それは悪かったと思って謝ったじゃん!」
パンチ練でぶっ壊した壁。
コンクリートでできた頑丈な壁が段々と擦り減ってきたな~なんて思っていたら、ある日突然ガラガラと音を立てて壊れた。
それ以来、部屋でのパンチ練は禁止となった。
それならばと、庭木で練習していたら、今度はリンゴの樹をなぎ倒してしまい、近くにあった作業小屋を破壊。
大惨事となってしまったのだ。
「オマエはしばらく…いや、パンチ練禁止」
「なんで⁈」
「貴族の令嬢がパンチなんてすんじゃねー!オマエのせいで家が壊れる。少しは姉上を見習え」
「だって~強くなったらお姉様も守れるし~筋肉も育つし。一石二鳥じゃん」
「いらねぇ~全くもって必要ねぇ。オマエはどっちかというと守られる側だろ」
へロイスはブツブツと皮肉垂れる。
そんなお兄ちゃんのからかい癖に若干ムッといた顔をしてれば、お兄様が前に出た。
無言で頭をナデナデ。
へロイスはギョっとした。
「サザンカ、その服。よく似合ってる」
「ホント⁈イエ~イ!これ着て今日はたくさん魔物を倒してくる。私の特訓した成果を見せつけてくるから見ててね!!」
「ん、頑張って」
えへへ、お兄様に応援されちゃった♡
嬉しそうにしてれば、へロイスはムッとしていた。
撫でるフィリップの手を掴めば、頭から引き剝がす。
これにはフィリップも怪訝な目を向ける。
「兄上、もうそのへんに」
「へロイス…オマエ少し心が狭いんじゃないのか?」
「なんのことでしょう(笑)。妹にはこの後、大事な試合が控えています。あまり時間を取らせてはいけませんよ」
「俺の妹でもあるんだがな。…ま、いいだろう。サザンカそろそろ時間だ」
二人の兄は待機所での観戦となる。
何か会った時の来賓代表として招集された、数少ない実力者候補なのだ。
今、公爵家の観客席にはロエナとお父様しかいない。
お父様は三大公爵という立場から、あそこにいなくてはならず、ソードマスターの代役はフィリップに任せているのだ。
「じゃあいってきます!!」
二人に手を振って歩いてれば、チラリと見えた三大公爵家の観客席。
ロエナは相変わらずの笑顔で今か今かと試合が始まるのを楽しみにしていたし、お父様は目が合えば微笑んでくれた(だからニコニコで手を振っておいた)。
それぞれの座る場所の下にはそれぞれの家門を意味する旗も下げられている。
エヴァーソン家は一本の剣に青い龍が巻き付く銀色の盾。
そんなエヴァーソン家を挟んで両隣。
一つは紫色の月がバックに特徴的なブルーブラックの狼が吠える国旗。
主席に座る男は恐らくワンギーソン公爵。
側に控える彼らもワンギーソン家の息子達であろう、だがうち一人はロエナに熱烈な視線を向けていた。
「なんだ、、あの男」
スマイル全開に口説いてもいるのか?
ロエナが困っているのもお構いなしのご様子。
(クソ~!!可愛いロエナに気色悪い目線なんか向けやがって!!!)
今直ぐに殴ってやりたい。
ワンギーソン家の人間にロエナを渡してたまるもんか!!
神獣の弓矢でもぶっ放してやろうかと、内心むかむかしていたら、同じタイミングで自分の視界に映り込んだブルーブラックの髪。
「兄が気になりますか」
視線の横、見ればシュレイクが笑いながら立っていた。
またこの人は音もなく、、、怖い。
「その姿も可愛らしいですよ」
競技服の自分を褒めてくれた。
本来のサザンカなら顔を赤らめて照れるところだが、、、
「あ、どうもです」
今の私にはお世辞でしかないと分かっているので適当にあしらっておいた。
「……」
シュレイクはそんな態度のサザンカを黙って見つめた。
女子生徒はスカートに対して男子生徒はズボン。
同じく赤いリボン突きの一つ星バッチを胸にしたスタイルの良さがよく際立つ姿のイケメンに、通りかかった女子生徒達がジロジロとシュレイクを見つめているのが分かった。
こんだけイケメンなら当然か。
「あれは次男のヨハネ兄さんですね。俺が言うのもなんですが…女癖は最悪です(笑)」
「あ~でしょうね。というか、貴方のお兄さんのせいでロエナお姉様が困ってるじゃないですか!」
二人で見上げる視線の先、比較的ロエナの座る席に近いせいか、ヨハネは身を乗り出せば何かを話しかけているよう。
ブルーブラックの少しウルフカットに近い襟足が伸びた髪。
雰囲気で言えばチャラ男なのかな?
お父様が鬱陶しそうに圧をかけるも、本人に効果なし。
それが余計、お父様の癪に障るのか、今度はワンギーソン公爵を睨むも澄まし笑顔の相手。
隣に座る眼鏡をかけた方が気を利かせてロエナと彼を引き剝がしていた。
「あれが長男のビルハルツ兄さん。王都一の秀才とも言われる頭脳の持ち主です。父が国王陛下の側近であるなら、彼は王太子殿下の側近です」
ほぉ、そんなに凄い人なのか。
物語でもワンギーソン家は頭脳明晰一家として、国の行政を務めているし。
その力を駆使するのであれば、王家直属のお墨付きというわけか。
「随分と兄弟のことにお詳しいんですね。仲がいい証拠ですね!」
「仲?ハハ、サザンカ嬢は面白いことをおっしゃいますね」
その言葉に目を丸くしたシュレイク。
だが突如、それは不気味な笑いへと変貌する。
サザンカはギョっとした。
「えっと…笑う要素なんてありました??」
「いえいえ、随分と愚問めいたことをおっしゃるなと思い。すみません」
「ええ…だって。兄弟のことは兄弟の貴方が一番よく知っている筈でしょ?それにそれは好きでもなければ、大して知りたくもない事柄となんら変わりはないものです」
「確かに(笑)。ですがサザンカ嬢は一つ間違えておられます。他人を推し量る行為に感情などなくても知ろうと思えばいくらでも追求できるんですよ。特に俺の家ではね」
どういうこと??
シュレイクの顔は優男の態勢を崩すことなくポーカーフェイス。
非常に不気味な感覚だけが抜けず、早くも立ち去ってしまいたかった。
なんなら聞いてはいけない気がする。
「そんなつまらないもの…俺には無用です。家族など所詮は使えぬ駒に用はありませんよ。まあ心配せずとも、両親は三男の俺に期待などしていないでしょうから。俺としては助かっていますが」
シュレイクは笑い、それが当たり前だと語る。
それがサザンカからすれば恐ろしかった。
よくもそんな悲しいことを淡々と話せたもんだ。
それでは道具の為に生かされ、古びたら新品に買い換えられるようなものと変わらないではないか。
人との繋がりをより一層大切にしたい自分には考えられなかった。
「シュレイク様はそれでいいのですか?」
「何がですか?」
「駒とか期待とか。そんな扱いをする家族など異常です。人には人の人生というものがありますでしょう」
それが親のすること??
それが本当ならば、どれだけ尽くしても家の為にならなきゃ無能ってことじゃん。
頭脳明晰なんて聞こえはいいけど。
所詮は他人から見た評価であって、あの家ではそうなることが当たり前で、それに答えられない駒は不要だということ。
「ん~考えたことありませんね(笑)。生まれた時からそんな環境でしたから。家族の愛とか興味ありません。俺には分かりません」
ニコニコと笑う姿。
この人が裏で何を考えてるかなんて知りたくもない。
だが兄弟仲は決して良好なんかではなかった。
他人が他人を押しのけ、時に腹の探り合いをしながら生き残る。
その為にどんな汚い手を使って這い上がろうが、所詮は負けた相手が悪いんだ。
そんな感情をもろに突き付けるかのような無言の圧。
サザンカは自分が地雷を踏んでしまったことを理解すると、冷や汗が止まらなかった。
「そんな警戒しないで下さい。俺はワンギーソンの人間であって、三男の座を生き残ったんです。家族にハマれたと考えるなら、強ち貴方の言う意味は間違ってはないですよ(笑)」
屈託なく笑う笑顔が怖い。
静かに土を慣らしながら近づく靴の音。
目の前に影が差し込めば、冷ややかな笑顔が向けられる。
サザンカはこの男に手を出すべきでなかった。
シュレイク・ナハル・ワンギーソン。
何かが圧倒的に欠落していた。
学園に到着すれば既に沢山の観客達が集まっていた。
生徒達は専用の競技服に着替えて集合する。
サザンカは赤いリボン付きの一つ星マークの刻まれたバッチを胸元に髪を一括りにすれば、これから行われる試合に胸がドキドキしていた。
「サザンカ~!!頑張ってね!」
観客席ではロエナが手を振って応援している。
側にはシャロンが一緒に控えており、貴族達は聖女ロエナの登場にざわつく。
きゃ~!!
可愛いすぎ!!
もちろんサザンカもその一人だった。
ヒロインロエナ!
今日も安定の美しさに目がくらみそう。
暑さ対策に日傘を差しながら、ピンクのドレスで着席するビジュアルが良すぎ案件。
三大公爵家の観客席は他とは違い、比較的観戦しやすい四面のウチの一面に集中して設けられている。
民衆の注目はもちろん特別感が圧倒的。
「おい、サザンカ。オマエ大丈夫なのか?」
見惚れていれば、横ではへロイスが声をかけてきた。
魔法塔で働いている仕事着に着替えており、後ろにはソードマスターの武装をしたお兄様も一緒だ。
「頼むから無茶だけはすんなよ?オマエのことだ、山の一つでも吹き飛ばしそうで怖い。来年度からは裏山使えなくなんじゃねーのか?」
「な、そんなことしないもん!人をゴリラみたいに」
「ゴリラでもなきゃ、部屋の壁に穴は開かないだろ」
「それは悪かったと思って謝ったじゃん!」
パンチ練でぶっ壊した壁。
コンクリートでできた頑丈な壁が段々と擦り減ってきたな~なんて思っていたら、ある日突然ガラガラと音を立てて壊れた。
それ以来、部屋でのパンチ練は禁止となった。
それならばと、庭木で練習していたら、今度はリンゴの樹をなぎ倒してしまい、近くにあった作業小屋を破壊。
大惨事となってしまったのだ。
「オマエはしばらく…いや、パンチ練禁止」
「なんで⁈」
「貴族の令嬢がパンチなんてすんじゃねー!オマエのせいで家が壊れる。少しは姉上を見習え」
「だって~強くなったらお姉様も守れるし~筋肉も育つし。一石二鳥じゃん」
「いらねぇ~全くもって必要ねぇ。オマエはどっちかというと守られる側だろ」
へロイスはブツブツと皮肉垂れる。
そんなお兄ちゃんのからかい癖に若干ムッといた顔をしてれば、お兄様が前に出た。
無言で頭をナデナデ。
へロイスはギョっとした。
「サザンカ、その服。よく似合ってる」
「ホント⁈イエ~イ!これ着て今日はたくさん魔物を倒してくる。私の特訓した成果を見せつけてくるから見ててね!!」
「ん、頑張って」
えへへ、お兄様に応援されちゃった♡
嬉しそうにしてれば、へロイスはムッとしていた。
撫でるフィリップの手を掴めば、頭から引き剝がす。
これにはフィリップも怪訝な目を向ける。
「兄上、もうそのへんに」
「へロイス…オマエ少し心が狭いんじゃないのか?」
「なんのことでしょう(笑)。妹にはこの後、大事な試合が控えています。あまり時間を取らせてはいけませんよ」
「俺の妹でもあるんだがな。…ま、いいだろう。サザンカそろそろ時間だ」
二人の兄は待機所での観戦となる。
何か会った時の来賓代表として招集された、数少ない実力者候補なのだ。
今、公爵家の観客席にはロエナとお父様しかいない。
お父様は三大公爵という立場から、あそこにいなくてはならず、ソードマスターの代役はフィリップに任せているのだ。
「じゃあいってきます!!」
二人に手を振って歩いてれば、チラリと見えた三大公爵家の観客席。
ロエナは相変わらずの笑顔で今か今かと試合が始まるのを楽しみにしていたし、お父様は目が合えば微笑んでくれた(だからニコニコで手を振っておいた)。
それぞれの座る場所の下にはそれぞれの家門を意味する旗も下げられている。
エヴァーソン家は一本の剣に青い龍が巻き付く銀色の盾。
そんなエヴァーソン家を挟んで両隣。
一つは紫色の月がバックに特徴的なブルーブラックの狼が吠える国旗。
主席に座る男は恐らくワンギーソン公爵。
側に控える彼らもワンギーソン家の息子達であろう、だがうち一人はロエナに熱烈な視線を向けていた。
「なんだ、、あの男」
スマイル全開に口説いてもいるのか?
ロエナが困っているのもお構いなしのご様子。
(クソ~!!可愛いロエナに気色悪い目線なんか向けやがって!!!)
今直ぐに殴ってやりたい。
ワンギーソン家の人間にロエナを渡してたまるもんか!!
神獣の弓矢でもぶっ放してやろうかと、内心むかむかしていたら、同じタイミングで自分の視界に映り込んだブルーブラックの髪。
「兄が気になりますか」
視線の横、見ればシュレイクが笑いながら立っていた。
またこの人は音もなく、、、怖い。
「その姿も可愛らしいですよ」
競技服の自分を褒めてくれた。
本来のサザンカなら顔を赤らめて照れるところだが、、、
「あ、どうもです」
今の私にはお世辞でしかないと分かっているので適当にあしらっておいた。
「……」
シュレイクはそんな態度のサザンカを黙って見つめた。
女子生徒はスカートに対して男子生徒はズボン。
同じく赤いリボン突きの一つ星バッチを胸にしたスタイルの良さがよく際立つ姿のイケメンに、通りかかった女子生徒達がジロジロとシュレイクを見つめているのが分かった。
こんだけイケメンなら当然か。
「あれは次男のヨハネ兄さんですね。俺が言うのもなんですが…女癖は最悪です(笑)」
「あ~でしょうね。というか、貴方のお兄さんのせいでロエナお姉様が困ってるじゃないですか!」
二人で見上げる視線の先、比較的ロエナの座る席に近いせいか、ヨハネは身を乗り出せば何かを話しかけているよう。
ブルーブラックの少しウルフカットに近い襟足が伸びた髪。
雰囲気で言えばチャラ男なのかな?
お父様が鬱陶しそうに圧をかけるも、本人に効果なし。
それが余計、お父様の癪に障るのか、今度はワンギーソン公爵を睨むも澄まし笑顔の相手。
隣に座る眼鏡をかけた方が気を利かせてロエナと彼を引き剝がしていた。
「あれが長男のビルハルツ兄さん。王都一の秀才とも言われる頭脳の持ち主です。父が国王陛下の側近であるなら、彼は王太子殿下の側近です」
ほぉ、そんなに凄い人なのか。
物語でもワンギーソン家は頭脳明晰一家として、国の行政を務めているし。
その力を駆使するのであれば、王家直属のお墨付きというわけか。
「随分と兄弟のことにお詳しいんですね。仲がいい証拠ですね!」
「仲?ハハ、サザンカ嬢は面白いことをおっしゃいますね」
その言葉に目を丸くしたシュレイク。
だが突如、それは不気味な笑いへと変貌する。
サザンカはギョっとした。
「えっと…笑う要素なんてありました??」
「いえいえ、随分と愚問めいたことをおっしゃるなと思い。すみません」
「ええ…だって。兄弟のことは兄弟の貴方が一番よく知っている筈でしょ?それにそれは好きでもなければ、大して知りたくもない事柄となんら変わりはないものです」
「確かに(笑)。ですがサザンカ嬢は一つ間違えておられます。他人を推し量る行為に感情などなくても知ろうと思えばいくらでも追求できるんですよ。特に俺の家ではね」
どういうこと??
シュレイクの顔は優男の態勢を崩すことなくポーカーフェイス。
非常に不気味な感覚だけが抜けず、早くも立ち去ってしまいたかった。
なんなら聞いてはいけない気がする。
「そんなつまらないもの…俺には無用です。家族など所詮は使えぬ駒に用はありませんよ。まあ心配せずとも、両親は三男の俺に期待などしていないでしょうから。俺としては助かっていますが」
シュレイクは笑い、それが当たり前だと語る。
それがサザンカからすれば恐ろしかった。
よくもそんな悲しいことを淡々と話せたもんだ。
それでは道具の為に生かされ、古びたら新品に買い換えられるようなものと変わらないではないか。
人との繋がりをより一層大切にしたい自分には考えられなかった。
「シュレイク様はそれでいいのですか?」
「何がですか?」
「駒とか期待とか。そんな扱いをする家族など異常です。人には人の人生というものがありますでしょう」
それが親のすること??
それが本当ならば、どれだけ尽くしても家の為にならなきゃ無能ってことじゃん。
頭脳明晰なんて聞こえはいいけど。
所詮は他人から見た評価であって、あの家ではそうなることが当たり前で、それに答えられない駒は不要だということ。
「ん~考えたことありませんね(笑)。生まれた時からそんな環境でしたから。家族の愛とか興味ありません。俺には分かりません」
ニコニコと笑う姿。
この人が裏で何を考えてるかなんて知りたくもない。
だが兄弟仲は決して良好なんかではなかった。
他人が他人を押しのけ、時に腹の探り合いをしながら生き残る。
その為にどんな汚い手を使って這い上がろうが、所詮は負けた相手が悪いんだ。
そんな感情をもろに突き付けるかのような無言の圧。
サザンカは自分が地雷を踏んでしまったことを理解すると、冷や汗が止まらなかった。
「そんな警戒しないで下さい。俺はワンギーソンの人間であって、三男の座を生き残ったんです。家族にハマれたと考えるなら、強ち貴方の言う意味は間違ってはないですよ(笑)」
屈託なく笑う笑顔が怖い。
静かに土を慣らしながら近づく靴の音。
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