美術教師の檻――「描き終わるまで帰さない」画家の執着

紺碧のごんぎつね

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【第4章:対等な愛への転換と濃密化の本質】 (第21話~24話)

第24話「共同生活への決意と覚悟」

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月曜日の朝

透也は、柊の腕の中で目を覚ました。
窓から、朝日が差し込んでいる。
柊は、まだ眠っている。

透也は、柊の寝顔を見つめた。

「このまま…時間が止まればいいのに」

呟いた。

だが、現実は動いている。

透也は、そっとベッドから出た。
服を着る。
学校に行かなければ。

柊が、目を覚ました。

「透也…」

透也が、振り返る。

「おはよう」

柊が、微笑む。

「おはよう」
「もう行くのか?」

透也が、頷く。

「ああ」
「でも、また来る」

柊が、ベッドから起き上がる。
裸のまま。
透也に近づく。
抱きしめる。

「待ってる」

透也も、柊を抱き返す。

「すぐに戻ってくる」

二人の唇が、触れ合う。
長いキス。

ようやく、唇が離れた。

「行ってくる」
「気をつけて」

透也は、アトリエを出た。
駅へ向かう。
電車に乗る。

だが、頭の中は。
柊のことでいっぱいだった。

透也が、職員室に入ると。
何かが、違った。

同僚たちの視線。
ヒソヒソ話。

田中先生が、透也に近づいてきた。

「久我先生…」

声が、小さい。

「はい」
「あの…昨日、保護者から電話が」

透也の心臓が、跳ねる。

「何の…?」

田中先生が、戸惑った表情をする。

「久我先生が…男性と一緒にいるところを見たって」

透也の顔から、血の気が引く。

「それで…学校に通報が」

透也が、何も言えない。

「管理職が、呼んでます」

透也は、管理職室へ向かった。

ドアをノックする。

「どうぞ」

中に入る。
校長と、教頭が座っている。

「久我先生」

校長の厳しい声。

「はい」
「座りなさい」

透也が、椅子に座る。

「昨日、保護者から連絡がありました」
「久我先生が、男性と親密な関係にあると」

透也の心臓が、激しく鳴る。

「それは…」
「事実ですか?」

透也が、目を閉じる。

数秒後。目を開ける。

「はい」
「事実です」

校長の表情が、強ばる。

「久我先生…」
「教師として、それは…」

透也が、遮った。

「私生活です」

校長が、眉をひそめる。

「しかし、教育現場で」
「生徒や保護者に、影響が」

透也が、立ち上がった。

「申し訳ありませんが」
「私は、何も間違ったことはしていません」
「愛する人がいる」
「それだけです」

校長が、ため息をついた。

「久我先生…」
「来学期の異動を、検討します」

透也の心臓が、痛む。
だが、覚悟はできていた。

「分かりました」

透也は、管理職室を出た。
廊下を歩く。

足が、震えている。
でも、後悔はなかった。

その日の放課後。
透也は、すぐに柊のアトリエへ向かった。

ドアを開けると。
柊が、絵を描いていた。

「透也」

柊が、振り向く。

透也の顔を見て、すぐに気づく。

「何かあったのか」

透也が、頷く。

すべてを話した。
保護者からの通報。
管理職との面談。
異動の話。

柊の表情が、どんどん暗くなる。

「申し訳ない…」

柊が、呟く。

透也が、首を横に振る。

「謝るな」
「俺が、選んだんだ」

柊が、透也を抱きしめた。

「でも…」

透也も、柊を抱き返す。

「大丈夫」
「お前と一緒なら」

柊の腕が、強くなる。

「透也…」

二人の抱擁。
長く。深く。

その夜。
二人は、ソファに座っていた。
向かい合って。

「透也…」

柊が、口を開く。

「ん?」

「一緒に、住まないか」

透也の目が、見開かれる。

「え…」

柊が、真剣な顔で続ける。

「このアトリエで」
「俺と、一緒に」

透也の心臓が、激しく鳴る。

「でも…」
「学校に、通えなくなるぞ」

柊が、透也の手を握る。

「異動先に、通えばいい」
「ここから」

透也が、柊を見つめる。

「本気か?」

柊が、頷く。

「ああ」
「お前が、ここにいてくれたら」
「俺は、何でも描ける」
「何でも、乗り越えられる」

透也の目に、涙が滲む。

「蒼一郎…」
「俺も…お前と一緒にいたい」

柊の微笑み。

「じゃあ、決まりだ」

透也が、頷く。

「ああ」

二人の唇が、重なった。

その夜。
二人は、ベッドで愛し合った。
いつもより、長く。
いつもより、深く。

これから始まる共同生活への。
期待と不安を。
身体で確かめ合うように。

透也が、柊の上に跨る。
柊の男性器を、自分の中に導く。

ゆっくりと、腰を下ろす。

「ああ…」

透也の吐息。

柊の手が、透也の腰を支える。

「透也…」

透也が、腰を動かし始める。
上下に。

「蒼一郎…」

柊も、下から突き上げる。

「ああ…そこ…」

透也の声が、甘くなる。
二人の動きが、シンクロする。

「透也…愛してる」

柊の言葉。

透也の目に、涙が滲む。

「俺も…」
「愛してる」

二人の動きが、激しくなる。

「ああ…もう…」

透也の声。

「俺も…」

柊の声。

二人が、同時に到達した。

「っ…!」

柊が、透也の中に放つ。
透也も、二人の間で。
白濁が、身体を汚す。

透也が、柊の胸に倒れ込む。

「ああ…」

柊が、透也を抱きしめる。

「透也…」

透也が、柊の唇にキスをした。
深く。長く。
確かめ合うように。

翌朝。

透也は、柊の腕の中で目を覚ました。

「おはよう」

柊が、微笑む。

「おはよう」

透也が、柊を見つめる。

「蒼一郎…」
「ん?」

「今日から…俺の荷物、持ってくる」

柊の目が、輝く。

「本当に?」

透也が、頷く。

「ああ」
「ここが、俺たちの家だ」

柊が、透也を強く抱きしめた。

「ありがとう」

透也も、柊を抱き返す。

「こっちこそ」

二人の唇が、触れ合う。
優しく。深く。

窓の外に、朝日。
新しい一日が、始まる。
二人の、新しい生活が。

困難は、まだ待っている。
社会の目。批判。圧力。

だが、この瞬間。
この抱擁の中に。
すべての答えがあった。

愛は、完璧ではない。
だが、二人は。
その不完全な愛を。
共に生きていく。

それが、二人の選択だった。
そして、その選択は。
何よりも、美しかった。

数日後。

透也は、自分のアパートから荷物を運び出した。
段ボール箱、三つ。
それだけだった。

「身軽だな」

柊が、笑う。

透也も、笑い返す。

「ああ」
「大事なものは、もうお前だけだから」

柊の顔が、赤くなる。

「透也…」

二人で、段ボールを運ぶ。
アトリエへ。

荷物を置く。
部屋を見回す。

「ここが…俺の家」

透也が、呟く。

柊が、後ろから透也を抱きしめる。

「俺たちの家だ」

透也が、柊の腕に手を重ねる。

「ああ…俺たちの」

窓の外に、夕日。
オレンジ色の光が、部屋を照らす。

「これから…どうなるんだろう」

透也が、呟く。

柊が、透也の首筋にキスをした。

「分からない」
「でも」

柊が、透也を振り向かせる。

「お前と一緒なら」
「何でも、乗り越えられる」

透也が、微笑む。

「ああ」
「俺たちなら」

二人の唇が、重なった。

未来は、まだ見えない。
困難が、待っているだろう。

だが、二人は。
その困難を。
一緒に歩んでいく。

その決意だけが。
確かにあった。
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