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第一章 これは恋じゃない
19話 彼氏と彼女
しおりを挟む「お疲れ様」
会場から出たら、吉川くんが現れる。待っててくれたんだとわかってキュンとした。
「ありがとう」
「俺が待ってたかったから。帰れる?」
吉川くんの言葉に頷く。吉川くんがそっと私の手を掴んで、指を絡めた。
「くすぐったい」
「慣れてください」
恥ずかしいけど、心のもやもやは消えていて素直に幸せだなと感じた。足が長い吉川くんだけど、私に歩幅を合わせて隣を歩いてくれる。ひとつひとつが優しくて、泣きたいくらい嬉しかった。私は一歩横に詰めて吉川くんに触れる。
「やっぱ違うってなったらトラウマになっちゃう」
「ならないよ。きっと。宮坂さんの全部が好き」
そんな甘い言葉に安心して、吉川くんの隣を歩く。好きな人と両想いになることが、これほど幸せなことだとわかってなかった。
「吉川くん」
「何?」
何か言いたくて、だけど何も言えなくて。そんな私に吉川くんはふふっと笑ってくれる。
「大好きだよ、宮坂さん」
私の代わりに言葉にしてくれる吉川くんに、伝わるように腕にぎゅーっと抱きついた。
「吉川くんに会えてよかった」
あの頃も今も。あの頃は恥ずかしくてちゃんと向き合えなかったけど、今は違う。吉川くんが私を好きでいてくれる間に、私も吉川くんに幸せだと思ってほしい。いつまで続くかわからないけど、少しでも長く吉川くんと一緒に居たい。
「また不安になってる?」
吉川くんが私に聞く。私は首を横に振ったけど、吉川くんは私の頭を撫でた。
「大丈夫、これから宮坂さんに好きっていっぱい伝えてくから」
「私も、善処します」
よろしく、と吉川くんは笑って私の手を繋ぎ直した。
~Fin~
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