【完結】僕らのミステリー研究会

SATO SATO

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2.双葉小 ミステリー研究会

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「いらっしゃーい」
 図書室に入った僕を満面の笑顔で出迎えてくれたのは、やはり浜城ゆみりだった。
 僕は言いたいことはたくさんあったけど、何から言葉にすれば良いのか分からないくて、入り口でばかみたいに口をパクパクさせていた。
 そこに後ろから、背中小突かれた。
「何してんの?邪魔なんだけど?入るの入らないの?」
 僕はかなりイラッとして、後ろを振り返った。
 そこには何だか賢そうな顔をした、僕と同じ三年生の男子が立っていた。違うクラスなので、同級生ってことは分かるけど、名前までは知らなかった。
 そんな僕に構うことなく、その男子は浜城ゆみりが案内する席に座った。
「ひいらぎ君も、こっちに座って。ちょうどメンバーが揃ったから」
 僕は諦めモードで席に座りながらも、思わず声を上げた。
「え?!メンバー揃ったって、これで全員ですか?三人だけ?!」
 浜城ゆみりは、少し悲しそうな表情をした。
「少子化って、悲しいよね」
 そういう問題?!
「じゃあ、改めて自己紹介をしまーす。このミステリー研究会の部長をさせてもらっている、浜城ゆみりです。四年三組です。どうぞよろしく。では、ひろと君から自己紹介をお願いします」
 『ひろと』と呼ばれた男子は、しばらく浜城ゆみりを見つめていたけど、やがて仏頂面で口を開いた。
「小岩井 博人(こいわい ひろと)、三年三組です」
 他の二人の視線が集まり、僕も慌てて口を開く。
「野島 柊です。三年一組です」
 あっという間に自己紹介が終わったけど、浜城ゆみりは満足そうに頷き、博人と僕を眺めてニコニコ笑っている。
 三人、向かい合って座っているこの状況って、何なんだ?
「あの、浜城さん。俺はどうしてここにいるんですかね?」
 博人君の質問に、僕も思わず立ち上がった。
「そうです!それです!!僕はサッカー部に入部希望だったのに、どうしてこんなことに。まさかとは思いますが、浜城さん、僕の入部届けを書き直したりしてないですよね・・・?」
「まず、私のことはゆみりって呼んでね。かわいい後輩部員が二人もできて、とっても嬉しい」
 ゆみりと呼べと言われても、呼び捨てにできるわけもないので、僕はせめて『さん』をつけることにした。
 ゆみりさんは、話を続けた。
「君たちがこのミステリー研究会に入部になった経緯は、私にはよく分からないなぁ。まぁサッカー部は人気で、経験者を優先するって聞いたことあるけど。定員オーバーの場合、入れなかった子たちは他の部活に振り分けられるんだよね」
 ゆみりさんは、そこまで言うと僕を見て首を傾けた。
「ひいらぎ君は、サッカー経験者?」
 僕は言葉に詰まり、がっくりと椅子に座った。
「いえ、初心者です・・・」
「そっか。それは残念だったね」
 ちっとも残念そうじゃない感じで、ゆみりさんは言った。
「じゃあ、ひろと君はどこの部活を希望したの?」
 博人君は、口を開きかけたけど、思いとどまったように首を振った。
「いや、いいんです。きっと俺も定員オーバーであぶれたってことですよね」
「そうなるね。まぁ、二人ともこの部活が第一希望じゃなかったということね。ちょっと残念」
 僕と博人君は、気まずくてゆみりさんから視線を逸らす。
「でも、いいの!縁あってこうして出会えたんだもの。これからよろしくね!」
 元気にそういうゆみりさんに、僕はもう諦めモードで渋々頭を下げた。
「はい。よろしく、お願いします」
「・・・よろしくお願いします」
 博人君も、ひどくがっくりした表情で頭を下げていた。


 学校の下駄箱で博人君に家の場所を尋ねると、博人君の家が、僕の家と近所だったってことが判明した。
 じゃあ、一緒に帰ろうってことになって、学校から一五分ほどの道のりで、思いのほかいろんな話をした。
 博人君は、第一印象と違ってとても話しやすい男子だった。
「博人君は、勉強得意なんだ。すごいね!僕なんか宿題をなかなか終わらせられなくて、お母さんに怒られてばっかだよ」
「博人でいいよ。俺んちは父親いなくてさ、母さんが帰り遅いから、自分のことは自分でやらないとさ。母さん、仕事で疲れてるし」
 僕は、尊敬の眼差しで博人を見た。
 博人は、早く大人にならなければならなかったんだと思った。同じ状況でも、誰もがそうできる訳じゃない。僕にはとても自信がなかった。
 まだまだ甘えてばかりの自分を思うと、すごいと心から思う反面、お母さんに甘えられない環境は寂しいんだろうなと胸も痛んだ。
 話しているうちに、僕の家の前に到着した。
 別れるのが何だか名残惜しいなと思っていたら、僕はある名案を思いついた。
 僕の家の前で博人に少しの間待っててもらって、僕はお母さんに許可をもらいに行く。
 お母さんが今日は自宅で仕事の日で、家にいてくれてよかった。
 お母さんにすんなり許可をもらえた僕は、待ってくれていた博人に提案する。
「ね、もし博人が大丈夫なら、うちで一緒に宿題やらない?お母さんも、宿題を一緒にやってくれるなら大歓迎!だってさ」
 博人は驚いた表情をしたけど、戸惑ったような表情で頷いた。
「別に、いいけど」
 僕の背後で玄関のドアが開き、お母さんが顔を出した。
「博人君?初めまして。柊の母です」
「あ、初めまして。小岩井 博人です」
「時間は大丈夫?お母さん心配しないかな?」
「母は帰り遅いので。でも、暗くならないうちに帰ります。夜ご飯の支度があるので」
 僕は驚いた。もう夜ご飯を作るスキルまで習得しているなんて!
「すごい!それは、お母さん助かるわね。じゃあ、それまでうちの柊にお付き合いいただいても良いかしら。博人君のお母さんには、私から連絡しておくから。後で連絡先教えてね?」
 話がまとまったところで、僕は博人を家の中へと促した。
 なんだこれ。一緒に宿題できるとか、楽しすぎるんだけど!
 
 
 
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