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45話・売家

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 僕は、そこに書かれている住所の場所にむかった。くどいようだが、気持ちは走ってだ。
 その場所は、思ったより近くだったので、しばらく歩くと到着した。

 不動産屋"メゾン"

 と、書いてある建物があった。僕は、その建物の中に入ってみる。

 カランカラン

 ビクッ… 建物に入った瞬間、音がなったので、驚いた。驚いていると、奥から、優しそうな女性がやって来た。

「いらっしゃい、今日は可愛らしいお客さんね。私は、ここの不動産屋を経営しているメゾンよ。一応聞くけど、ここが不動産屋と分かって来たのかしら?」

「はい、そうです!! あ… 僕は、ノーリって言います。」

「ふふ、ノーリ君ね。それで、今日は、何の用で来たの?」

 僕が、若くてもちゃんと対応してくれる人みたいだ。

「あの、近くの売家について聞きたいのですが、大丈夫でしょうか?」

「・・・」

「あの、メゾンさん?」

「…どうして、あの家について聞きたいの?」

 何か声がするって言って、変な子と思われてもあれなんで、

「な… 何となくですかね?」

「そう… 分かったわ。ちょっと待っててね。」

 そう言ってから、メゾンさんは奥へ行った後、少しして、戻ってきた。手には、何か持っていた。僕が見ている事に、気づいたのか、 

「これは、家の資料よ。間取りなどの説明をする為に、持ってきたわ。それじゃあノーリ君、今から説明するから、そこの椅子に座ってくれる?」

「分かりました。」

 メゾンさんのむかいにある椅子に座る。

「それじゃあ、説明するわね。あそこは、少し前に、売りに出された家になるわね。」

「少し前にですか?」

「えぇ、そうよ。元々は、どこぞの商人が建てた家で、その商人が住んでいたようなんだけど、原因不明の体調不良が続いたとかで、怖くなって、その家を手放したの。」

「原因不明の体調不良ですか?」

「えぇ、そうよ。ちなみに、その原因は、まだ分かってないわね。それで、その後、その家は売れたんだけど、その買った人、原因不明の体調不良になって、結局手放してしまって、それが3回ほど続いて今に至るわね。」

「そうなんですね… 因みに、その家の間取りってどんな感じなんですか?」

 原因不明の体調不良は、正直かなり気になる所なのだが、何故か、本能?が絶対買った方がいいと言っているような気がする。

「えっ… まさか、買うつもりなの? まさか、どこかの貴族様のご子息だったり…」

「違いますよ!! 気になったんで、聞いただけですよ!!」

「そう? あ、これがあの家の間取りね。」

 そう言って、羊皮紙を広げて、見せてくれる。

「1階には、料理を作る部屋やお風呂、物置など合わせて、5部屋で、2階は、客間など合わせて、6部屋になるわね。でも、これでも貴族様や大手の商人の家に比べたら小さい方ね。」

 これだけの広さがあって、小さいのか…
 しかも、お風呂って… 確か、お金持ちが入る温かいお湯の部屋の事だよな。そんな物までついてるのか…

「あ、でもその分、料理を作る部屋やお風呂、普通の部屋にお金をかけてるわね。」

「どういう事ですか?」

「何でも、その家を作った商人が、あまり大きな家は好きじゃないらしく、家を小さくする変わりに、その他の事にお金をつぎ込んだらしいわね。」

「?」

 聞いても、いまいち理解できない。

「ようは、魔道具なんかをかなり使っているって事ね。」

「!?」

 やっと理解できた。魔道具とは、色魔石と道具を組み合わせて使う事の出来る道具の総称の事だ。値段は安い物から高い物まであるが、メゾンさんの言い方だとかなり高価な魔道具を置いてそうだな。

「その家って、おいくらなんですか?」

「!? 何、やっぱり買うの? 本当に貴族…」

「だから、違いますって!!」

「分かったわ。それで、値段は最初の頃と比べるとかなり落ちてるけど、丁度2000万ギルね。」

「2000万ギル!!」

 ヤバい、どうしよう… 2000万、丁度持ってるんだけど… しかも、本能?が更に、買えと言ってきてる気がする。

「そうよね、そういう反応になるわね。でも、これでもかなり低くなった方よ?」

 どうやら、僕が値段に驚いていると思っているらしい。違うんです、買えちゃう事に驚いているんです。
 でも、ポリーナさんたちには、ああ言われたけど、流石にすぐ買う訳にはいかないよな。

「メゾンさん、長々と話してもらって悪いんですけど…」

 僕が、何を言うのか察したのか、言いきる前に、

「気にしなくても、大丈夫よ。」

「すみません。また、来ます。」

「えぇ、待ってるわね。」

 そう言って僕は、不動産屋を後にして、家に戻った。
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