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292話・話 3

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「じゃあ、単刀直入に聞くけど、ノーリ君が持っているそれは、転移結晶であっているわよね?」

 グラディウスさんは、僕の目をじっと見つめ、そう質問してきた。

「はい。グラディウスさんの言う通り、これは転移結晶で間違いないです。」

 これが転移結晶である事は既にバレているものと判断し、誤魔化さずに正直に認める。

「やっぱり、そうなのね…」

 グラディウスさんは、そう発してから、黙り混んでしまう。
 もしかして、話はこれだけなのかと淡い期待を抱くが、

「それで、ノーリ君。それが希少な物だというのは知っているわよね?」

 そんな事なく話は続いた。

「はい。知ってます。」

「そう。じゃあノーリ君は、どこで転移結晶を手にいれたのか聞いてもいい?」

「どこで手に入れたですか?」

「えぇ、そうよ。ちょっと私情が挟まるんだけど、この先それが必要で、何個か手にいれたいの。だから、もしノーリ君がどこかで購入していた場合、そこに残っているのなら私も買えるかもって思ったの。」

「そうなんですね…」

「だから、どこで手にいれたのか聞いてもいい?」

「えっと、すみません。」

 僕の場合は、買った訳ではない為、謝った。

「…それは、教えられないって事?」

「あ、いや、そういう訳ではなくて、どこかで買ったという訳ではないんです。」

「あ、そっち。なら、宝箱からなの?」

「まぁ、そんな感じですね。」

「そうなのね…」

 宝箱から手に入れたと聞いたグラディウスさんは、少し残念そうにされる。

「あ、なら、良かったらこれあげますよ。」

 僕は、手に持った転移結晶をグラディウスさんに差し出す。

「!? はぁ…」

 すると、一瞬驚いたグラディウスさんだったが、すぐに呆れたような視線を僕にむけてくる。

「私としてもその提案は有り難いけど、何もしていないのにそれは受け取れないわ。」

「?」

「だから、ちゃんとした適正の価格で、その転移結晶を買わせてくれないかな、ノーリ君?」

 そのまま受け取ってくれても良かったのだが、グラディウスさんは、買い取りを希望した。

「…分かりました。では、それで、お願いします。」

「ありがとう、ノーリ君。なら、むこうに戻った時にお金を渡すから、それまではノーリ君がそれを保管していて頂戴。」

「分かりました。なら、保管しておきますね。」

 そのまま転移結晶をアイテムボックスにいれる。
 これで話は終わったのかと思ったが、転移結晶を無償であげようとした事について、少し説教を受けてしまった。
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