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第1章:第1節
男装女子、攻略対象にバレる
しおりを挟むほんの数秒しか経ってないはずなのに、私にとってその行為は長く感じた。
…____私、由奈の攻略対象であるミナトにキスされてる。
黙り込み抵抗しなくなった私を見てミナトは、チュッとリップ音を出して私の唇から離れる。
「ようやく、静かになった。」
そういったミナトの瞳から熱が孕んでいて、昨日と同じ妖しい笑みを浮かべる。その視線に捉えられた私はビクッと反応し、体を強張る。
「………なん…で………」
私は精一杯の言葉をやっと発した。
「お前にキスしたかったから」
ミナトは体制を崩さず、恥ずかしいことをサラッと言われる。
「僕は、おとk………」
「男がキスぐらいで、物欲しそうな顔はしねぇよ」
ミナトは自身の顔を私の首筋へと移動して匂いを嗅ぐ。
「それにお前から漂うこの甘い匂い……男なわけねぇだろ」
その言葉を聞いた私はある疑問を生じる。
(まさか……私が女だと、バレてる?)
それと同時に新たな危機に陥っていた。
「やめろ……僕の血を、吸っても……全然美味しく…ない」
側から見たら別の行為かもしれないが、ヴァンパイアのこの行為は一つしかない。
…____吸血行為をしようとしている、と。
「へぇー、その言い方からして俺がヴァンパイアだと知ってるのか。」
ミナトは首筋辺りでククッと喉を鳴らす。ミナトの息が首筋に当たっているため物凄くくすぐったい。
「なら、話は早えーな。」
「えっ?な、何を………いっ!?」
何をする気だと言いかけたところで、首筋から激痛が襲いはじめる。
「ん………」
ミナトの牙が首筋に浸入して、私の血を吸いはじめる。
「やめ……ろ………吸う……な…」
「……それで抵抗してるつもりか?俺の嗜虐心を煽るだけだ。」
私は吸血するミナトを睨みつけるが、ミナトはそんなのお構いなしに吸血行為を続ける。
「あっ………」
私の口から勝手に嬌声が出る。
(何、これ……)
初めての感覚に私は戸惑っていた。
吸血されてるのに体が火照り、頭がクラクラして何も考えなくなってしまう。
攻略対象達に吸血されるシーンで嫌々と吸われる由奈が、次第に吸血行為が快感と覚え抵抗しなくなっていた。
(これが、吸血行為、なのか……?)
「ん………んっ……」
どんどん血を吸われて、ミナトの喉から私の血を飲む音が聞こえる。
「……………甘ぇな」
首筋から牙を抜かれ、唇をペロリと舐める。
拘束された両腕をやっと離してもらい、血を吸われた私はよろけそうになって、ミナトの腕が背中に回し、体を支える。
「スピカ」
ミナトは私を抱きつき、私の名前を呼ぶ。
吸わされた、吸わさせてしまった……
「お前の血……俺が今まで飲んだどの血よりも美味かった。甘くて極上の逸品だ。」
由奈のサポートキャラであるはずの私が、攻略対象になんの対処も出来ずに…
「だからお前が女であることは黙ってやる。その代わり………」
やはりミナトは、私が女だと見抜いていた。けど今の私はそんな事は頭に入ってこなくて、懸念と後悔の渦に飲み込まれ始める。
そして、ミナトは耳元でこう囁いた。
「お前の血、俺に寄こせ。」
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