乙サポ ー乙女ゲームで主人公をサポートする男装女子に転生したー

紅千智

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第2章:第2節

女たらしの後輩に吸血されました(上)

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翌日の放課後、日直である私はグラウンドでサッカー部の掛け声を聞きながら一人教室に残って日誌を書いていた。私以外の生徒は皆、下校をしているか委員の仕事、もしくは部活をしている。


(あとは、自分のコメントを書くだけっと。)



何処にも所属していない帰宅部である私は、自分のコメントを書き終え帰宅準備をして、日誌を手に教室から出る。


職員室前にきた私は、失礼しますと一礼してから職員室に入り、神楽先生の机の上に日誌を置く。職員室の周りはガラ空きで、ほとんどの先生方は会議のため見当たらない。



職員室を出た私は廊下を通って正面玄関へと目指す。



(学生寮に着いたら一旦、自分の部屋に戻って402号室に行こうっと……)


そう考えながら正面玄関へと辿り着いて、自分の下駄箱前に立つ私は内履きをローファーへと変える。


「………____待ちくたびれちゃいましたよ」


内履きを下駄箱に入れようとした時に耳元で誰かに囁かれた私は、ヒイッと小さな悲鳴を上げて一瞬、身を強張る。



「…………これはなんの真似ですか?」



そしてサッと後ろに振り返り、下駄箱を背に向けた私はその人物に睨み付けた。



「そんなに睨まないで下さいよ、先輩♪」



そこには特徴のある赤髪に金色の瞳を持つ神無月が私の反応を愉しむようにニヤニヤしながら立っていた。


「……いくらなんでも今の行動は、先輩である僕に対して失礼に値します!」


私は相手を威嚇するような声で神無月を警戒する。


「今の行動って…………これのことっすか?」
「……っ!?」


目の前にいたはずの神無月はいつの間にか私の隣に来て耳元で囁く。私は神無月の低音を聴いて、ゾクリと胸が高鳴る。



「ダメじゃないっすか。ちゃんと逃げないと……」 


神無月の濡れたような視線に私はビクリと反応した。


「……フフッ、今の俺を見て戸惑ってるよね?」


敬語を崩す神無月は妖艶な笑みで浮かべる。それは冗談やからかいではなく、獲物を定める獣の目になっていて、初めて見る神無月の男の目に私は囚われてしまい、動けなくなっていた。




「今の配置には見えないけど、誰かがここを通ったら……バレるかもね?」
「…………っ!?」




神無月の言葉を聞いて今、何しようとするのか悟った私は神無月に抵抗した。私と神無月がいる場所は正面玄関の下駄箱前であるが横並びに出来ているため、真ん中と両端にある通路を誰かが通過しない限り完全な死角になる。



「……離せ、神無月!!」


私は抵抗するあまり心の中で呼んでいた名前を出してしまい、しまったと心の中で後悔する。するとそれを定めたかのように神無月はスゥと目を細める。



「なんか初めて会った時から、俺に対して呼び方がぎこちないと思ってたら……そういうことなんだ?」




耳元以外で聞く神無月の低い声に私は体を縮みこみ、ブルブルと震える。その言い方から、自分に対しての呼び方に違和感を勘付いていたようで………



「………呼ばせたくなっちゃった。」



濡れた視線に熱を孕む瞳を宿す神無月は、唇をペロリと舐め回した。






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