69 / 126
第2章:第4節
意外な人物にバレてしまいました
しおりを挟む和乃恵町から帰ってきて三日後、私が部屋に閉じこもって夏休みの課題をしていた。
(……誰だろう?)
時刻は午後七時四十五分にて玄関からノックする音がしたので、席を立ち上がり部屋を出ようとしたら隣の部屋からドアを開ける音がした。
どうやらミナトが部屋から出たので私は席に戻って課題を再開する。
この時期は既に私とミナト以外の生徒は帰省しているため、ノックする相手が限られていた。
(ミナト以外の攻略対象達は帰省してるはずだし、濱田さんかな?)
そう思って、課題を再開するとコンコンと私のドアが叩く。
「スピカ。濱田さんがお前に話があるそうだ。」
ドア越しでミナトが私に話かける。ちょっと待って、とミナトに言って、服装を整え始めてから部屋のドアを開けた。
「よう、藤野!」
リビングの向こうから見える玄関から、濱田さんがひょこっと顔を出して私はリビングを通り過ぎて玄関まで歩み寄る。
「濱田さん、僕に何か用ですか?」
濱田さんの服装は赤のスカルTにダメージジーンズを着こなしていて、ヤンキー顔でその服装はぴったり合っていた。
「ああ、用はあるがよ……此処だと話しづれーから場所変えていいか?お前と二人で話がしたい」
「は、はい………」
濱田さんは人差し指で頬をかきながら、神妙な顔つきで私に尋ねられる。
「香月!藤野借りるけど、構わねぇよな?」
「…………はい」
「………藤野、俺について来な。」
ミナトに了承を得ると濱田さんは歩き出す。私は濱田さんの後ろについて行き、学生寮の廊下をスタスタと歩いていく。
※※※※※※※※※※
暫くして学生寮内に歩くと濱田さんはドアの前に立ち止まり、ガチャとドアを開く。
「濱田さん此処は?」
「寮長室、俺が今住んでる部屋だ。」
濱田さんは先に入るよう促し、寮長室に足を踏み入れる。
寮長室は私が住んでる部屋と違い、玄関から見えるリビングは畳の部屋になっていた。私は靴を脱いでリビングまで歩く。
「ここでなら、誰にも入れねぇな。」
その後、濱田さんが寮長室に入るとガチャリとドアを閉めて内側の鍵をロックした。
「あの、僕がいるのに何故鍵をかけたんですか?」
「基本この部屋は俺からの呼び出し以外は入れねぇんだ。ここには学生達の大事な情報が入ってるからな。部屋の出入りの際は鍵をかけることは義務付けられている。」
用は、個人情報を盗まれないようにするため鍵をかけているのか。
「お茶を入れてくる。立ちぱっなしもあれだから適当に座れよ。」
そう言って濱田さんはキッチンに行って、お茶を入れ始める。私はテレビの横で座布団の上に正座してジッとしていた。
(なんだろう、私に話って………)
寮長室に連れて来るぐらいだから恐らく、重要なことに違いない。
「藤野お前、ここにきてどれくらい経つんだ?」
「もう少しで三ヶ月になります。」
「三ヶ月か…………」
キッチンから濱田さんがお茶を運びながら出てくる。入れてきたお茶を私のところに置いて、その向かいに自分のお茶を置く。
濱田さんは私の向かいによっこいせと胡座をかいだ。
「お前、ここに来るまで海外にいたそうだな。」
「そうですね。十二歳から海外にいました。」
この世界にとって十二歳は、ヴァンパイアハンターの見習いとして入団出来る年齢。それまでは、知り合いが経営してる教会に住んでいた。
「…………それ以前は此処とは別の地域にいたのか?」
「はい、知り合いが経営してる教会で住んでいました。」
そう答えると濱田さんは神妙な面づらで私をジッと見る。
「藤野お前…………大変だったんじゃねぇのか?」
神妙な面づらで普段とは違う濱田さんに私は何故か、心臓がドキドキと鼓動を感じていた。
「そうかもしれません。なんせ異国の地ですし、話をするのも一苦労し…………」
「十二歳から海外でここに戻ってくるまでの六年間…………その細い体でよく耐えたよな」
私が鳴ってるこの心臓の鼓動は、ミナトを見るときのドキドキではない。濱田さんを見ても、なんとも感じていないから。
(なんだろう、この感じ…………)
けれど今感じてるこのドキドキは、不安要素が含まれていた。何故なら私が言いかけた言葉を遮って、濱田さんは重い口調で喋ったから。
「藤野が学生寮にきた時には何の疑いもなかったんだが、この前俺がお前の両肩に触れた時、妙な違和感を感じたんだ。男にしては肩幅が狭いとな。」
視線を逸らさない濱田さんの瞳には悲しみと怒りが混ざりあっていて、その視線に捉えられた私は逸らすことが出来ず、鼓動が速くなり始める。
濱田さんは一旦口を結み、意を決心して私に言い放った。
「……____藤野、お前の過去を調べさせて貰った」
「……っ!?」
神妙な面づらで言われた私は顔を顔面蒼白する。
(私を調べたって、それはつまり…………ハッキング、したの?)
私の鼓動はますます速くなり、背中から嫌な汗が流れてきて体を強張る。
「悪いと思ってたんだが、俺は違和感を感じたらとことん追求するタイプでな……」
濱田さんは言いにくそうに言うが、目は真剣そのものになっていて……
「………細い体で狭い肩幅、そしてさっきの話を聞いて俺は確信した」
そして濱田さんは真剣な眼差しで私に言った。
「藤野スピカお前は____ヴァンパイアハンターのスノーセイレーン、なんだろ?」
濱田さんが放った言葉により私は息を吸い過ぎて視界がテレビの雑音のようにザーッとなり始め……
「……っ……」
「っ!?おい、藤野!?」
慌てて駆け寄る濱田さんを見て私は意識を失った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
女性が少ない世界に転移しちゃったぁ!?
4036(シクミロ)
恋愛
男女比40:1の世界に転移した主人公
人のようで人ではなかった主人公が様々な人と触れ合い交流し、人になる話
温かい目で読んでいただけたら嬉しいですm(__)m
※わかりにくい話かもです
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
1歳児天使の異世界生活!
春爛漫
ファンタジー
夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。
※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる