乙サポ ー乙女ゲームで主人公をサポートする男装女子に転生したー

紅千智

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幕間

Non-Identical Triplet 2 ーオレとあいつー

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深夜二時頃____



辺りは既に闇が深く、森からフクロウの鳴き声が響き渡る。



その森の奥に潜む屋敷内にて、一人の男が納得いかない顔をしてベットの上に寝転がっていた。


(主人様は一体、何を考えてんだ……)


オレンジの髪の男…ルウトは先週から、ヴァンパイアの世界の屋敷内の出来事を思い出していた。


(スノーセイレーンを保護だぁ?いくら主人様の命令でも、相手はヴァンパイアハンターだ。冗談にも程があるぜ!)


ルウトは体を起こして頭をガシガシと掻く。


(それに主人様以外は殺されちまってんだろ、特徴が氷の目をした女。……世界中に沢山いるし、探しようがねぇじゃねぇか!)


あーくそ、とムシャクシャするルウトは気分転換で部屋を出て、屋敷の外へと移動する。


(セレスはまだあっちの世界にいるみてーだし、カルマの野郎はこっちに来てからずっと部屋に閉じ籠ったままだしよ……)


両手をズボンのポケットを突っ込んだまま、森の中へ歩いていく。月の明かりにより、闇に輝く少し光沢がかかったオレンジの髪が靡いて耳元でピューピュー唸る。


「………………」


暫くして森の中にある湖にたどり着いて、湖のところまで歩み寄る。



訝しげな表情を浮かべて、湖に写る自分を覗き込んでジッと見つめて、十年前のある出来事を脳裏によぎり始めた。


※※※※※※※※※※



「ここで何してるの?」


夕日に染まり別の湖にて、今と同じように自分の顔を覗き込んでいると背後から声をかけられる。


「…………あ?」


今と変わらない姿にて気だるそうな声で後ろに振り返ると、銀色の髪を靡いて質素な服装を纏う半ズボン姿の少年が、木陰から出てきてルウトをジッと見つめていた。


(……んだよ、餓鬼かよ。)



ルウトは後ろを振り向いて、鋭さが滲み出ている細い目で少年を見下す。


「……迷子か?坊主」
「迷子じゃない、僕の家はこの近くだから。むしろお兄さんが迷子じゃないの?ずっと湖を見てるし。」


無表情で棘を含む声で言われたルウトはピクリと眉を動かす。


「……オレは迷子じゃねぇし俺が何しようが、坊主には関係ねぇだろ!」



ルウトは少年相手に喧嘩腰になっても仕方ないので若干感情を抑えて、それでも少し怒り声で少年に言い放つ。すると少年はルウトをジッと見つめ返した。



「お兄さん、早くお家に帰った方がいいよ。」
「………何だと?」
「この森には、魔物が住んでいるんだ。夜になるとその魔物が森に彷徨って僕達、人間を襲うんだ。」


無表情でありながら真剣な眼差しをする少年にルウトは、自分を見ても怖がらないことに一瞬驚くが、すぐに表情を戻してハッと鼻で嘲笑う。


「この森に魔物だぁ?冗談にも程があるぜ!」


ルウトは少年のところに歩み寄り、少年の目線に合うようにしゃがみ込んだ。少年の目は綺麗な紅の色をしていて、その目の奥にはルウトが映り込む。


「オレは夜でもずっとこの湖を眺めているが生憎、その魔物に会ったことはねぇんだよ!」
「じゃあお兄さんが、魔物なの?」
「…………なんでそうなるんだよ!」


ルウトはガクッと首を項垂れて、先程の怒りの含む声と違って今度は呆れ声で言うと少年は目を細めてこう投げかけた。


「だって、夜の森を彷徨っているのがヴァンパイアだから。」
「………っ」


少年の口からヴァンパイアと言う言葉を出てきたことにルウトは鋭い目から丸くして、驚きの表情を浮かべる。


「母様が言ってたんだ。夜の森の奥には魔物が…ヴァンパイアの屋敷があって、迷い込んだ人間を襲いかかるんだって……」


無表情で真剣な眼差しに、少年とは思えない低い声にルウトの目にはある人物の面影を見ていた。


(ウォルフレッド、様…………)



「メテオー!何処にいるのー!」


ふと森の向こうから少女の声が響き渡る。少年は反応して、声がする方へと目を向けた。


「……僕を呼ぶ声が聞こえる、行かないと。」


少年…メテオは視線をルウトに移して、お兄さん名前は?と尋ねられる。


「なんでオレが坊主に名前を名乗る必要が……」
「僕の名前は坊主じゃない、聞こえたでしょう。僕の名前を呼ぶ声に……」


ルウトはしゃがみ込んだまま気だるそうに頭を掻いで、メテオ、と目の前にいる少年を呼ぶ。


「…………オレの名前はルウトだ。」
「ルート?数学の記号に出てくる、あれ?」
「……ルートじゃねぇ、"ルウト"だ!」


無表情で尋ねられたルウトは訝しげな表情を見せて、額に青筋を立てる。


「じゃあね、ルウトのお兄さん」


メテオはルウトに背を向けて、少女のところへと森の中に入っていく。



「ったく…………っ!?」


ルウトは立ち上がってメテオの背を見て、またウォルフレッドの面影をちらつかせていることに驚愕をしていた。


(なんであいつから、ウォルフレッド様の面影が見えるんだ?)



ルウトは遠ざかって行くメテオの背を見て主人…ウォルフレッドの面影があることに違和感を覚え始めた。





※※※※※※※※※※



「………………」


今もなお、湖に浮かぶ自身の顔を覗き込むルウトは顔を上げて夜空を見上げる。



「あいつ、今何してんだろうな…………」


ルウトは少年…メテオのことを想いながら、思い出に耽っていた。



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