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第2章:第4節
一般人とヴァンパイアハンターの会話
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「………………」
翌日私は寮長室の居間にて、卓袱台の前に座布団の上に正座をする。
「………………」
【紅薔薇寮】の寮長、濱田さんが私の向かいで胡座をかきながら腕組みをして神妙な顔で、石のように固まる私を見る。
(今日聞くって言ってなかったっけ。何で喋らないんだろう……)
互いに時間が止まったように動くことなく、沈黙が続いた。
「質問していいですか?」
「ああ」
あまりにも沈黙が続くので私が先に口を開き、質問を投げかけると濱田さんは神妙な顔のまま、重い声で返事をした。
「…………僕のこと、どこまで知っているんですか?」
そう言って私は、スノーセイレーンの時のように凍りつく声と氷の眼差しで濱田さんを見る。いくらスノーセイレーンと濱田さんの口から出てきたからといって、一般人である彼に全部話すわけにはいかない。
「……"私"の過去を調べたと昨日言いましたよね。」
一人称を僕から私に呼び変える。一人称を"私"と呼ぶ時は、ヴァンパイアハンターの時しか言わない。
「濱田さんが私のことをどこまで知ってるかによって……いいえ、全て知ってるとしても全部お話する事は出来ません。」
私は凍りついた声から落ち着いた声へと変わって、濱田さんに真っ直ぐ向ける。
「俺がお前をヴァンパイアハンターだと知ってても、か?」
濱田さんは神妙な顔のまま、口を開く。
「ヴァンパイアハンターではない貴方に全部話すのは、私にとって反していますから。」
「……性別を偽ってる理由もそれに入っているのか?」
眉をひそめた疑わしそうな目つきで私に向ける。その瞳から戸惑いと怒りの二つの感情が読み取れる。
「ヴァンパイアハンターは男しか居ねぇはずなのに女のお前が何で?」
「…確かに今のヴァンパイアハンターは私以外全員、男です。ですが、ヴァンパイアハンターという職業は男のみではありません。私以外にも女性が何人か居たようですから。」
私が淡々に述べると濱田さんはひそめた眉をますます濃くして、曖昧な表情へと変わっていく。
「……だったら別に性別を偽る必要ねぇだろ。」
「そういうわけにはいかないんです。」
私は一旦、一息をついてから口を開く。
「私はヴァンパイア達に恐れられていると同時に狙われているからです。」
「ね、狙われている…………?」
「ヴァンパイアハンターではない貴方にとってはとても理解し難いことですが、事実です。」
「だからって…………っ!?」
そして私は言いかけた濱田さんに有無を言わぬように、凍りつくようなオーラを放つ。
「………これ以上話せば濱田さん、貴方にまで危害を及ぼす影響があります。」
濱田さんは私のオーラに触れたのか、目を見開いたまま体が僅かながらブルブルと震えていた。
「ですので、私が女である事とヴァンパイアハンターである事を黙っててくれませんか?」
濱田さんは、納得いかない顔をしながらも私から放ってるオーラに圧倒したのか、分かったと言ってハァーとため息を吐いた。
「……ヴァンパイアハンターである事はいいとしてもだ。言ったところで信じる奴いねぇからな。お前確か、同室者の香月がいるだろ?」
「ミナトは私が女である事を知ってます。」
「あー…………だからあいつ、不機嫌だったんだな。」
すると濱田さんは何を思ったのか、腕を組んで勝手に一人で納得していた。
「ミナトがどうかしたんですか?」
「昨日俺がお前と話してる時によ、香月の顔が不機嫌な顔でムッとしてたんだ。俺に向ける視線が鬼のようだったな。」
そう言う濱田さんの顔は苦笑いを含む表情を見せる。
(寮長である濱田さんにまで…………)
だけど私は濱田さんの話を聞いて心の中で呆れていた。
「すみません。部屋に戻ったら私がミナトに注意しておきます。濱田さんに不愉快を与えて……」
「____注意すんな!香月は悪くねぇから!俺は不愉快と思ってねぇからな!!」
私が言い終える前に何故か濱田さんに速攻止められてしまった。
「何でですか?」
「何でって、そりゃ…………」
キョトンとした顔で尋ねれば濱田さんは私を見て難しい顔をする。そしてハァーとまたため息を吐いた。
「……香月も大変だな。」
「??」
私は眉を皺に寄せながらも頭の上に「?」を浮かべた。
翌日私は寮長室の居間にて、卓袱台の前に座布団の上に正座をする。
「………………」
【紅薔薇寮】の寮長、濱田さんが私の向かいで胡座をかきながら腕組みをして神妙な顔で、石のように固まる私を見る。
(今日聞くって言ってなかったっけ。何で喋らないんだろう……)
互いに時間が止まったように動くことなく、沈黙が続いた。
「質問していいですか?」
「ああ」
あまりにも沈黙が続くので私が先に口を開き、質問を投げかけると濱田さんは神妙な顔のまま、重い声で返事をした。
「…………僕のこと、どこまで知っているんですか?」
そう言って私は、スノーセイレーンの時のように凍りつく声と氷の眼差しで濱田さんを見る。いくらスノーセイレーンと濱田さんの口から出てきたからといって、一般人である彼に全部話すわけにはいかない。
「……"私"の過去を調べたと昨日言いましたよね。」
一人称を僕から私に呼び変える。一人称を"私"と呼ぶ時は、ヴァンパイアハンターの時しか言わない。
「濱田さんが私のことをどこまで知ってるかによって……いいえ、全て知ってるとしても全部お話する事は出来ません。」
私は凍りついた声から落ち着いた声へと変わって、濱田さんに真っ直ぐ向ける。
「俺がお前をヴァンパイアハンターだと知ってても、か?」
濱田さんは神妙な顔のまま、口を開く。
「ヴァンパイアハンターではない貴方に全部話すのは、私にとって反していますから。」
「……性別を偽ってる理由もそれに入っているのか?」
眉をひそめた疑わしそうな目つきで私に向ける。その瞳から戸惑いと怒りの二つの感情が読み取れる。
「ヴァンパイアハンターは男しか居ねぇはずなのに女のお前が何で?」
「…確かに今のヴァンパイアハンターは私以外全員、男です。ですが、ヴァンパイアハンターという職業は男のみではありません。私以外にも女性が何人か居たようですから。」
私が淡々に述べると濱田さんはひそめた眉をますます濃くして、曖昧な表情へと変わっていく。
「……だったら別に性別を偽る必要ねぇだろ。」
「そういうわけにはいかないんです。」
私は一旦、一息をついてから口を開く。
「私はヴァンパイア達に恐れられていると同時に狙われているからです。」
「ね、狙われている…………?」
「ヴァンパイアハンターではない貴方にとってはとても理解し難いことですが、事実です。」
「だからって…………っ!?」
そして私は言いかけた濱田さんに有無を言わぬように、凍りつくようなオーラを放つ。
「………これ以上話せば濱田さん、貴方にまで危害を及ぼす影響があります。」
濱田さんは私のオーラに触れたのか、目を見開いたまま体が僅かながらブルブルと震えていた。
「ですので、私が女である事とヴァンパイアハンターである事を黙っててくれませんか?」
濱田さんは、納得いかない顔をしながらも私から放ってるオーラに圧倒したのか、分かったと言ってハァーとため息を吐いた。
「……ヴァンパイアハンターである事はいいとしてもだ。言ったところで信じる奴いねぇからな。お前確か、同室者の香月がいるだろ?」
「ミナトは私が女である事を知ってます。」
「あー…………だからあいつ、不機嫌だったんだな。」
すると濱田さんは何を思ったのか、腕を組んで勝手に一人で納得していた。
「ミナトがどうかしたんですか?」
「昨日俺がお前と話してる時によ、香月の顔が不機嫌な顔でムッとしてたんだ。俺に向ける視線が鬼のようだったな。」
そう言う濱田さんの顔は苦笑いを含む表情を見せる。
(寮長である濱田さんにまで…………)
だけど私は濱田さんの話を聞いて心の中で呆れていた。
「すみません。部屋に戻ったら私がミナトに注意しておきます。濱田さんに不愉快を与えて……」
「____注意すんな!香月は悪くねぇから!俺は不愉快と思ってねぇからな!!」
私が言い終える前に何故か濱田さんに速攻止められてしまった。
「何でですか?」
「何でって、そりゃ…………」
キョトンとした顔で尋ねれば濱田さんは私を見て難しい顔をする。そしてハァーとまたため息を吐いた。
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「??」
私は眉を皺に寄せながらも頭の上に「?」を浮かべた。
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