乙サポ ー乙女ゲームで主人公をサポートする男装女子に転生したー

紅千智

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第2章:第4節

学生寮の通路にて

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数時間後私は寮長室から出て、学生寮の通路を通っていた。


「ねぇ」


通路を曲がって自分の部屋に繋がる階段に登ろうとした時に後ろから声を掛けられる。振り向くと髪が腰まである長さの女性が立っていた。


通路を曲がるまで前に向いていたが、誰もいなかった。勿論、私の後ろにも誰もいなかったはず。なのに私の後ろには女性が立っていたことに内心驚きが隠せない。


「貴方、ここの学生寮に住んでるの?」
「そうですが…………」



そう言いかけて私は女性の顔を見た。その人はモデル並みの顔立ちで口元の下にホクロがついている。



(あれ?この人、三つ子のセレスに似てない?)


私は女性の顔をジッと見る。よく見ると目の前にいるその女性の顔は『BLOODY PRINCE ~Devildom Guardian~』に出てくる新たな攻略対象のセレスに似ているのだ。


『BLOODY PRINCE ~Devildom Guardian~』とは『BLOODY PRINCE』シリーズの二作目であり、ストーリー重視の三作と攻略キャラと遊べるミニゲームの二作で計五作出ている。


「寮長室は何処か、教えてくださるかしら?」


女性は手を添えて私に向けて微笑んだ。彼女から放つオーラは中性的で息をのむほど美しい人だ。


「寮長室は此処からずっと真っ直ぐ行ってください。右側に茶色い扉が見えてきます。そこが寮長室です。」


私は女性に寮長室の行き方を教えた。学生寮の扉の色が白に統一されているのだが、寮長室だけは茶色い扉になっている。


「あら、そうなの?近くなのね。」
「はい」
「フフッ、ありがとう…………」


そう言って彼女は意味深な笑みを浮かべて、寮長室へと向かっていく。


(あれ?良く考えるとここ、【紅薔薇寮】だよね?)


私はふとここが男子寮である事を思い出して、寮長室に向かっていく彼女の背中を見つめる。


(寮長室は何処かと尋ねられたからもしかして、保護者の人なのかな……?)


だとすれば納得はいく。在学生の家族以外はそれぞれ【紅薔薇寮】は女人禁制で【白百合寮】は男人禁制と決められているのだ。


私はそう思いながら階段を登り始めて自分の部屋に戻って行った。


※※※※※※※※※※



寮長室へと向かう中性的なオーラを放つ女性は、先程のスピカを脳裏に浮かべる。



スラッとしたしなやかな体に眼鏡越しから見る蒼い瞳、貧弱そうな色白い肌に男にしては少し高めの声、そしてスピカから漂う匂いに"彼女"は歩きながらある考えを辿り着く。




「面白いことが起こりそうだ………」



フフッと意味深な笑みを溢した"彼女"は、見た目に反して女性とは思えない低い声でボソッと呟いた。


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