乙サポ ー乙女ゲームで主人公をサポートする男装女子に転生したー

紅千智

文字の大きさ
76 / 126
第2章:第5節

今になって聞くことですか!?

しおりを挟む

八月中旬____



【紅薔薇寮】の寮長、濱田さんに女である事とヴァンパイアハンターであることがバレて二週間経ち、学生寮には帰省した生徒達が帰ってきていた。


「……フゥー、何とか終わったー!!」


私は夏休みの課題を全て終わらせて学生鞄の中へとしまい込む。


(うーん、課題を済ませたから何処か行こうかな。)


私はスマホを手にして表記されている時間を見ると、時刻は午前十時に回っていた。


クローゼットからショルダーバッグを取り出し、貴重品をバッグの中に入れる。服装を少し整えてからガチャと部屋のドアを開けて、リビングを通る。


「お前必ずといっていいほど、何処かに行ってるよな。」


リビング内にてミナトが肘ついて顔を手で支えながら、不満げな表情でこちらを見る。


「僕はアウトドアですので、ジッとしていられないんですよ。」


私は視線をミナトに向ける。ミナトはいつも気配を消すため、リビングは一見誰もいないように見えるが彼が居たりする。そして今日みたいに声をかけられるまで彼は気配を消している。


(また気配消してるよ。これが私だからいいんだけど………)


私にとってこれが日課になっているため、既に慣れてしまっていた。



「なぁ、聞きてぇことがあるんだけど……」
「何ですか?」
「だいぶ前から気になっていたんだが…………」


不満げな表情のまま尋ねられた私は、彼の質問を応じるとミナトはこう投げかけた。


「____お前、俺に隠し事してただろ。」


そう言われた私は、ギクリと反応して顔を強張る。


「隠す?僕が、ですか?」


喋り方がぎこちなくなって、冷汗が背中にタラタラと流れていく。


(ミナトに隠し事なんて、私がヴァンパイアハンターである以外にないんだけど…………!?)



私がヴァンパイアハンターであることがバレてしまったのだろうか。だいぶ前から気になっていたとミナトが口にしたからそれ以外に心当たりがない。


「………へぇ~、惚けるってか?」
「ヒャッ!?」


リビングで座っていたはずのミナトはヴァンパイアの能力を使い、私の背後に立って、後ろから私の耳元に囁く。いきなりミナトに抱きつかれた私は、嬌声に近い悲鳴を上げてビクリと体が反応した。


「ククッ、俺がこうするたびにいちいち反応するよな。」
「……っ………!」


ミナトの吐息が私の耳元に入ってきて、体が熱くなり変な気分になり始める。


「スピカ」
「……あっ……!」


耳元に顔を近づけたまま、ハスキーボイスで私の名前を呼ばれて胸が高鳴る。そしてミナトは耳たぶをパクリと甘噛みされて、私の口から小さな嬌声が漏れる。


「ミ、ミナト……」


私の耳たぶを甘噛みする彼の名前を呼ぶ。耳元で囁かれてるだけなのに、何故こんなにゾクゾクしているのか私は戸惑いを隠せない。


「……お前は明らかに囁き声に対して敏感に反応する。こういうの音フェチっていうんだろ?」
「そんなこと聞かれても、分からな…………っ!?」


戸惑いながらも言葉を紡ごうとした時、耳元の下辺りから痛みが襲いかかる。そこからミナトがチューと吸う音が聞こえてきて、痛みが生じることから私は吸血されてると気付く。


「ミナト、そこに牙の後残さないで…………」


私は吸血するミナトに懇願した。流石にそこに牙の後を残すと何かと大変だ。この暑い時期に首元を隠すのは無理があるし、髪を下ろせば見えなくなるが一発で女だとバレてしまう。


「……アホか。ワザと見えるところにつけてんだよ。こいつは俺のものだってな。」


そう言ってミナトは私の肩に滑らすように服をズラして、ブスリと牙を刺す。



「んっ……」


肩にミナトの牙が浸入して痛みがあるはずなのに、そこから火照り始めて体から快感の波がきて、私は目を瞑り口を噤む。



「お前こうやって、神無月に吸血されただろ。」
「えっ…………」


一旦牙を抜いて私に問いかける。私が予想していたことと違う質問されたことに落胆な声を出す。




(な、なんだ……そっちか。)



てっきりヴァンパイアハンターだとバレたのかとハラハラしていたが……


(…………ってあれ、あの時臭い消ししてたはず。どうやって気付いた?というか、今になってそれ聞く!?)



それと同時に何故今になってそれ聞くのかと疑問を抱き始める。葵君の部屋に泊まりにいく際に、一旦部屋に戻ったがリビングには誰もいなかったはず。


「あん時、お前が部屋に帰ってきた時にお前の体から神無月の残り香がしたぞ。」


そう疑問に思ってるとミナトが答えてくれた。



(えっ、この言い方……リビングにいたの?)



私は嫌な汗がタラタラと流れていく。


「んでその後、部屋から出てきたお前からその匂いは消えてだがな。」


ヴァンパイアハンターである私がミナトの気配に気づかないとは。余程ミナトに気付かれたくない一心で私は考えてたに違いない。



「………俺が気付かねぇとでも、思ってたのか?」



そういうミナトの声は何処か怒りが含んでいて…………



「お前の口から言うの待ってたんだが、いつまで立っても言ってこねぇからな。」




何かを企むように口元の角を上げた。





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

乙女ゲームに転生したので、推しの悲恋EDを回避します〜愛され令嬢は逆ハーはお断りです!

神城葵
恋愛
気づいたら、やり込んだ乙女ゲームのサブキャラに転生していました。 体調不良を治そうとしてくれた神様の手違いだそうです。迷惑です。 でも、スチル一枚のサブキャラのまま終わりたくないので、最萌えだった神竜王を攻略させていただきます。 ※ヒロインは親友に溺愛されます。GLではないですが、お嫌いな方はご注意下さい。 ※完結しました。ありがとうございました! ※改題しましたが、改稿はしていません。誤字は気づいたら直します。 表紙イラストはのの様に依頼しました。

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...