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第2章:第5節
今になって聞くことですか!?
しおりを挟む八月中旬____
【紅薔薇寮】の寮長、濱田さんに女である事とヴァンパイアハンターであることがバレて二週間経ち、学生寮には帰省した生徒達が帰ってきていた。
「……フゥー、何とか終わったー!!」
私は夏休みの課題を全て終わらせて学生鞄の中へとしまい込む。
(うーん、課題を済ませたから何処か行こうかな。)
私はスマホを手にして表記されている時間を見ると、時刻は午前十時に回っていた。
クローゼットからショルダーバッグを取り出し、貴重品をバッグの中に入れる。服装を少し整えてからガチャと部屋のドアを開けて、リビングを通る。
「お前必ずといっていいほど、何処かに行ってるよな。」
リビング内にてミナトが肘ついて顔を手で支えながら、不満げな表情でこちらを見る。
「僕はアウトドアですので、ジッとしていられないんですよ。」
私は視線をミナトに向ける。ミナトはいつも気配を消すため、リビングは一見誰もいないように見えるが彼が居たりする。そして今日みたいに声をかけられるまで彼は気配を消している。
(また気配消してるよ。これが私だからいいんだけど………)
私にとってこれが日課になっているため、既に慣れてしまっていた。
「なぁ、聞きてぇことがあるんだけど……」
「何ですか?」
「だいぶ前から気になっていたんだが…………」
不満げな表情のまま尋ねられた私は、彼の質問を応じるとミナトはこう投げかけた。
「____お前、俺に隠し事してただろ。」
そう言われた私は、ギクリと反応して顔を強張る。
「隠す?僕が、ですか?」
喋り方がぎこちなくなって、冷汗が背中にタラタラと流れていく。
(ミナトに隠し事なんて、私がヴァンパイアハンターである以外にないんだけど…………!?)
私がヴァンパイアハンターであることがバレてしまったのだろうか。だいぶ前から気になっていたとミナトが口にしたからそれ以外に心当たりがない。
「………へぇ~、惚けるってか?」
「ヒャッ!?」
リビングで座っていたはずのミナトはヴァンパイアの能力を使い、私の背後に立って、後ろから私の耳元に囁く。いきなりミナトに抱きつかれた私は、嬌声に近い悲鳴を上げてビクリと体が反応した。
「ククッ、俺がこうするたびにいちいち反応するよな。」
「……っ………!」
ミナトの吐息が私の耳元に入ってきて、体が熱くなり変な気分になり始める。
「スピカ」
「……あっ……!」
耳元に顔を近づけたまま、ハスキーボイスで私の名前を呼ばれて胸が高鳴る。そしてミナトは耳たぶをパクリと甘噛みされて、私の口から小さな嬌声が漏れる。
「ミ、ミナト……」
私の耳たぶを甘噛みする彼の名前を呼ぶ。耳元で囁かれてるだけなのに、何故こんなにゾクゾクしているのか私は戸惑いを隠せない。
「……お前は明らかに囁き声に対して敏感に反応する。こういうの音フェチっていうんだろ?」
「そんなこと聞かれても、分からな…………っ!?」
戸惑いながらも言葉を紡ごうとした時、耳元の下辺りから痛みが襲いかかる。そこからミナトがチューと吸う音が聞こえてきて、痛みが生じることから私は吸血されてると気付く。
「ミナト、そこに牙の後残さないで…………」
私は吸血するミナトに懇願した。流石にそこに牙の後を残すと何かと大変だ。この暑い時期に首元を隠すのは無理があるし、髪を下ろせば見えなくなるが一発で女だとバレてしまう。
「……アホか。ワザと見えるところにつけてんだよ。こいつは俺のものだってな。」
そう言ってミナトは私の肩に滑らすように服をズラして、ブスリと牙を刺す。
「んっ……」
肩にミナトの牙が浸入して痛みがあるはずなのに、そこから火照り始めて体から快感の波がきて、私は目を瞑り口を噤む。
「お前こうやって、神無月に吸血されただろ。」
「えっ…………」
一旦牙を抜いて私に問いかける。私が予想していたことと違う質問されたことに落胆な声を出す。
(な、なんだ……そっちか。)
てっきりヴァンパイアハンターだとバレたのかとハラハラしていたが……
(…………ってあれ、あの時臭い消ししてたはず。どうやって気付いた?というか、今になってそれ聞く!?)
それと同時に何故今になってそれ聞くのかと疑問を抱き始める。葵君の部屋に泊まりにいく際に、一旦部屋に戻ったがリビングには誰もいなかったはず。
「あん時、お前が部屋に帰ってきた時にお前の体から神無月の残り香がしたぞ。」
そう疑問に思ってるとミナトが答えてくれた。
(えっ、この言い方……リビングにいたの?)
私は嫌な汗がタラタラと流れていく。
「んでその後、部屋から出てきたお前からその匂いは消えてだがな。」
ヴァンパイアハンターである私がミナトの気配に気づかないとは。余程ミナトに気付かれたくない一心で私は考えてたに違いない。
「………俺が気付かねぇとでも、思ってたのか?」
そういうミナトの声は何処か怒りが含んでいて…………
「お前の口から言うの待ってたんだが、いつまで立っても言ってこねぇからな。」
何かを企むように口元の角を上げた。
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