乙サポ ー乙女ゲームで主人公をサポートする男装女子に転生したー

紅千智

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第3章:第2節

オーナーの弟の話

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数時間後、私は気分転換で隣町に来て【MARGIN FRAME】へと訪れていた。


今の私は女性であるため抵抗することなく、お店の中へと入る。


(元々女だからいつも入れるんだけど。)


店内に入って私はブラウスやカットソーが並べられているトップスコーナーへと歩み寄り、物色する。


「いらっしゃい!一ヶ月ぶりだね、スーちゃん。」


店の奥からミリタリーコーデ姿のショウさんが現れる。


「お久しぶりです、ショウさん……」


私はこの店のオーナー、ショウさんに顔を向けて挨拶をする。


実はこのお店をちょくちょく来るようになり、ショウさんと仲良しで今となっては私は【MARGIN FRAME】の常連になっていた。


「今日はいつものボーイッシュ系じゃなくて、女の子の格好だね。しかもヴィック着けてるし、服装からしてガーリー系が好み?」


ショウさんはレジ前で頬に膝ついてニコニコと笑顔を振る舞う。ヴィジュアル系の服を扱ってるための才能だからなのか、ショウさんの観察力と洞察力は鋭い。



「ガーリーもそうですが、私はゴシックとフェミニンが好きです。」
「成る程。ゴシックとフェミニンかー………」


ショウさんはうーんと考え込み始める。こうなったショウさんは長いため、私はその間に気になった服を何着か私の腕にかけて、アクセサリーも手に取って、レジへと持って行く。


「これお願いしま……」
「……____スーちゃん。明日予定ある?」
「明日、ですか?」


私がお願いしますと言葉を言いかけてショウさんから聞かれて少々戸惑う。この流れはもしや、明日デートしよとか、お誘いの言葉ではないのだろうか。


「明日は学校があるので、夕方なら予定ありませんが……」
「よし、明日と明後日の二日にかけてゴシックとフェミニンを取り扱ってるお店を回って行こうか!」


戸惑いながらも私は正直に答えるとショウさんからやはりお誘いを受ける。お誘いは来るだろうなと予想していたが、デートのお誘いではなく服巡りのお誘いに私は少し肩の力が抜けて、ホッとしていた。


(というか、非攻略キャラからデートのお誘い来たらそれはそれで問題になるのでは?)


「明後日学校お休みのはずだから、大丈夫だよね?スーちゃん。」
「……はい、大丈夫です。」
「よし!決まりだ!」


心の中で半信半疑になりながらもショウさんの言葉を聞いて返事をする。ショウさんはレジに提示されてる商品にバーコードを読み取っていく。


「あのショウさん、お店はどうするんですか?」


返事してから私はふとお店のことを聞いてみる。明日はこの店は定休日だけど明後日はそうではないはず。


「それなら問題ないよ。俺の弟に店番するつもりだから。」
「……ショウさん、弟さんがいたんですか?」


バーコードを読み取りながらそうだよと苦笑いをする。


「よく常連さんから驚かされてるよ。ショウさんは一人っ子だと思ってましたって、よく言われてるから」


バーコードを読み取ったショウさんは今回のお会計を表示して、私は鞄から財布を取り出す。


「ショウさんの弟さんって、ショウさんみたいに中身はいい人ですか?」
「スーちゃんって時々、面白いことを言うね!」
「……正直に言っただけなんですが。」


一万八千円と専用のポイントカードをレジへと提示してショウさんに尋ねた。ショウさんは面白いものを見たかのようにククッとイタズラな笑みを浮かべたので、私はムスッと不機嫌顔を向けた。


「俺と違って弟はさ、移り気なんだよ。アレコレと取っ替え引っ替えでさ、兄である俺でも大変だったよ。」


ショウさんはポイントカードにハンコを押してからお会計して私にお釣りを渡す。お釣りとポイントカードを受け取った私は財布の中に入れて、鞄へとしまい込んだ。


「いわゆる、ショウさんの弟さんは中身は最低野郎ってことですか?」
「うーん、そうでもないんだよね。」
「………どういうことですか?」


ショウさんは苦笑を浮かべながら商品を袋詰めして喋り始める。


「なんていうか俺の弟は、俺と同じで相手のことをよく見てるんだよ。見た目はチャラチャラしてても、さ?」


商品の袋詰めを終えたショウさんは【MARGIN FRAME】のロゴが入ってる袋を入れて私に渡した。


「初対面で皆がみるのはまず見た目でしょう。次に見るのはその人がどんな性格をしているのか。大体人はこの二つだけで判断するんだけど、大富豪や権力を持つ人は性格見ずにその人の地位を見るんだよね。その人の善い悪いは関係なく。」
「……確かにそうですね。」
「表面上はさ、どんな性格してても見た目と中身が違う人も存在する。勿論、見た目通りの人もいる。ただ……____」



ショウさんの話し方はしんみりとしていて……____



「その人の性格は知っていてもその人がどんな人生で歩んだかなんて、その人自身しか分からないんだよね。血の繋がった兄弟でも歩んでる道は別々だし、息ピッタリの阿吽でも話して貰わないと分からないこともあるんだ。」


そしてショウさんの映る瞳には何処か悲しげに目を細めて遠い目をしていた。


「……それはつまり、その人には理由があると?」


私は一瞬、なんとも言えない空気に飲み込まれそうになったが、慎重に考えて言葉を発して踏み止まった。


「それもあるかもしれないし、ないかもしれない」


ショウさんは苦笑いをこぼして、レジカウンターを出る。



「アハハ、ゴメンね。なんか俺、しんみりするような話しちゃって!」
「いえ、誰かに話をすることは良いことだと私は思ってます。溜め込むのはあまり、体に良くないですから」


私はしんみりしているショウさんに向けて、少しでも元気になってほしいと太陽に輝くような笑みを浮かべた。


「…………っ!」


するとショウさんは目を見開いたまま、体が硬直する。私はそんなショウさんを見て不思議そうに見つめた。


「ショウさん?」
「……ああ、スーちゃん。入り口まで見送ってあげるよ。」
「はい…………」


私は不思議に思いながらもお店の入り口まで言って、ショウさんに見送られながら、帰路へと向かった。











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